シャオミがアップルを抜いてスマホ世界シェア2位に! スマホ参入から10年で成し遂げた快挙

文●末岡洋子 編集● ASCII

2021年07月22日 10時00分

 2020年に落ち込んだスマートフォン市場が、大きく回復している。2021年第2四半期の速報によると、市場全体は前年同期比の12%増。回復する市場で最も成功を収めているのはシャオミだ。

コロナ禍で大きく成長したスマホ市場だが、なかでも圧倒的な伸びがシャオミ。アップルを抜いて、ついに世界シェア2位にまで達した

シャオミが初の世界シェア2位、アップルは3位に

 調査会社Canalysが7月15日に出した速報値によると、2021年第2四半期(4~6月期)の世界スマートフォン市場は前年同期から12%の増加となった。

 Canalysはこれを「新型コロナからの回復とともにスマートフォン市場も回復」と表現している。ワクチン接種が進んでいるとはいえ、世界的に見ると収束したとは言い難い。今回の成長の背景には、生活が抑制されているストレスが出ているような気もするし、レジャーなどの消費に回せない分が回ったような気もする。そもそもの買い替え需要もあったかもしれない。

 ちなみに、2021年Q1(1~3月期)の増加率はさらに高く、前年同期比で27%増。これは、1年前の2020年Q1にコロナの影響を受けて消費が滞った中国において、市場が急減速していたからだ。

 Q2でもう1つ特筆すべきは、シャオミが創業12年目にしてシェア2位に上り詰めたことだろう。これはアップルを上回った結果による。Q1の時点でアップルとのシェアは1ポイント差に詰めていたので、新製品のリリースサイクルから外れるQ2にシャオミが追い越すことは予想できたと言える。

さらにトップのサムスンとの差はわずか2ポイントに

 Q2のシェアはトップがサムスン(シェア19%)、2位がシャオミ(17%)、3位アップル(14%)、4位Oppo(10%)、5位Vivo(10%)の順となっている。

 前年同期比での成長率ではシャオミは群を抜いている。サムスンが13%増、アップルがわずか1%増であるのに対し、シャオミは前年同期から83%も増加しているのだ。同じ中国メーカーのOppoとVivoの増加率はそれぞれ28%、27%増だ。

 Canalysはシャオミの好調の要因を、中国以外の市場にあると分析している。300%以上の成長率を収めているラテンアメリカ、アフリカでは150%、西欧圏では50%成長している。

 もちろん、ファーウェイの凋落もシャオミには有利に動いたはず。LG撤退もスマートフォン市場のダイナミクスに影響を与える要因だが、LGは主に米国で強かったのでシャオミには直接大きなインパクトはなさそうだ。

 シャオミの好調さはQ1も際立っていた。Canalysのレポートでは、シャオミ(3位)の前年同期比での増加率は62%。これは、上位5ベンダー(順位は違うが顔ぶれは同じ)中でトップだった。

スマートフォンを中心に据えたスマートリビング
課題は端末の単価 ハイエンドではサムスンやアップルと差

 シャオミは同社最初のスマートフォンを発表して、8月で10周年を迎える。共同創業者のLei Jun氏は従業員宛てのメッセージで、2016年から立て直しを図ったことなどを振り返りながら、世界シェア2位を“戦略の勝利”と綴っている。

 戦略とは2020年8月に公表した「スマートフォン×AIoT」だ。スマートフォン事業を中核とし、IoTデバイスとの接続性によりスマートリビングエコシステムを構築するというもの。狙うはスマートリビング市場となる。実行にあたっての3つの指針として「イノベーション」「価格対効果」「クールな製品を作る」を掲げている。

 研究開発費として2020年に100億人民元近く(約1700億円)を投入し、今年はさらに130億人民元(約2200億円)に増やすというが、その成果として今年は同社初のイメージングチップ「Surge C1」をローンチしている。また3月には、電気自動車分野に参入することも発表している。

 Canalysはシャオミ、Oppo、Vivoの中国勢の課題として、ハイエンドをあげている。シャオミの平均販売価格(ASP)はサムスンと比べると40%、アップルとの比較では75%低いと指摘している。最新技術を安価に提供することが同社が成長してきた理由であり、今後の方針でもあることを考えると、ハイエンド戦略は微妙な舵取りが求められそうだ。

 

筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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