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フラを通して「目の前の人を幸せにしたい」まつりインハワイに出演したHula Studio PuameliaにBIHIが独自インタビュー

今年で38回目を迎える『まつりインハワイ〜Pan-Pacific Festival』が2017年6月9日〜11日まで行われた。
このまつりは、国際親善と理解の促進、友好関係の助成、そして多様性の受容を目標としており、ワイキキ・アラモアナのオープンステージでの演目や、カラカウア大通りを一時的に封鎖してパレードなどが行われた。

日本から出演のために渡米し、アラモアナセンターステージでトリを務めたHula Studio Puameliaは、和太鼓とフラの共演で多くの観客を引き付けた。終演後にHula Studio Puamelia代表の大澤めぐみさんと、ハワイ滞在中の現地ツアーを企画したコーディネーターのEijiさんにインタビューを行った。

――大澤めぐみさんとフラとの出会いを教えてください。

めぐみ

昔からハワイにはよく訪れていたのですが、フラには興味がありませんでした。
しかし、父の病気の介護がきっかけで、何か他の事をしたほうがよいなと思い、教室に通ったのがきっかけです。習ってみると恋に落ちるようにフラが好きになってしまいました。

――フラを先生として教えるようになったキカッケは?

めぐみ

習い始めて1年が経とうとした時、先生が具合が悪くなり代行でレッスンを教えたのが先生になったキカッケです。だから生徒歴は1年しかないんです。その後、私はフラの経験が浅く、先生としてのレッスンはお断りしていたのですが、次々と生徒さんが集まってきてくれて、気付いたら先生を辞められない状況になっていました。

――今回のハワイ滞在をコーディネートしたEijiさんはハワイ生まれですか?

Eiji

はい、ハワイ生まれです。
4歳までハワイで生活し、それから日本に渡り大学を卒業してから再びハワイに戻ってきました。それからは旅行代理店に勤務し、3年前に独立して今に至ります。

――今回のツアーについて教えてください。

めぐみ

まつりインハワイでフラを踊り、空いている時間をツアーという形でEijiさんに託しました。
今回でEijiさんにコーディネートをお願いするのは3回目なのですが、生徒の皆さんに本当のハワイを見せてあげたかったんです。

Eiji

まつりインハワイで踊る曲を主軸にして、ステージで着る衣装や演目の曲の背景を知ったり、ハワイを感じたりするツアーを企画しました。

めぐみ

今回のメンバーの中には始めてハワイに来る人もいます。フラダンスの踊りには波・風・虹など、その一つ一つに意味のあるハンド・モーションがあり、それをただ踊るのではなく心で踊って欲しいと思っています。実際にハワイの風を体験すると、日本でハンド・モーションが上手く出来なかった生徒さんも自然とハワイでは出来てしまうんです。

――具体的にツアーはどのように組み立てたのですか?

Eiji

今回の演目の中に『ハワイカマハオ』という曲があり、その曲の歌詞をを見たときに「この歌詞の表現はこんな景色を見てたんだろうな」というイメージを私なりに感じ、それを元にツアーを構成しました。

車で『ハワイカマハオ』の曲をかけながら、数日間オアフ島を走りまわり、ツアー場所を構成しました。私有地に入ってしまい怪しまれるハプニングもありました。(笑)

――ツアーの様子を教えてください。

めぐみ

滞在1日目と3日目のツアーをEijiさんにアレンジしていただいたのですが、
1日目は私たちが舞台で着るパウスカートをハワイの天然染め職人Bozoさんの所に受け取りに行きました。

Eiji

ただ用意された衣装を着るのではなく、現地の職人さんが丁寧に作った衣装を手渡しで受け取り、それを着てステージに立てる喜びを感じて欲しかったんです。

めぐみ

実はBozoさんのパウスカートを着るのがフラを始めた頃からの憧れだったんです。
当時はそのパウを着れるほどの踊りではなかったので諦めていましたが、今回Eijiさんにツアーを組んでいただいて、ようやくその時が来たのかなと思いました。

――3日目のツアーはいかがでしたか?

Eiji

3日目はハワイの女性チャンター(祈祷師)さんにチャント(祈祷)をお願いしました。

めぐみ

そこでチャントの仕方を教えていただき、今日も本番前にメンバー全員で輪になってチャントを行い、メンバー全員が無事に踊れる事を感謝してから本番に望みました。

Eiji

ツアーではその後、『ハワイカマハオ』の歌詞のイメージを生徒さんに体験していただくために、カネオヘにあるヘエイアに向かいました。
ヘエイアはワイキキから山を越えた北側にあり、ダイアモンドヘッドのある南側とは違うハワイの自然を体感できる場所です。フラスタジオの生徒さんが東京のスタジオの中では拾いきれない歌詞の表現を実際の山や海、生物に触れる事で体験をして欲しかったのです。

めぐみ

ヘエイアの自然の中でフラを踊りました。
生徒の皆さんは自然に感動し思いのままに感情で踊っていたのですが、実はそれが大きな間違いで、フラから教わる事の一つに情熱冷静という考え方があります。
気持ちだけで踊ってしまうと自分は満足でも、客観視ができなくなってしまいます。
前のめりになる感情を抑えて踵に重心を据え、自然と一体化してフラットな気持ちでクリアな状態で踊ることが大切だと生徒の皆さんに伝え、踊り直しました。

Eiji

最初の踊りと、先生が想いを伝えた後の踊りは全然違いましたね。

めぐみ

本当!?
東京だとスタジオで踊っているので、つい鏡に向かって踊ってしまうのですが、生徒の皆さんにハワイの地面、山、空を感じて冷静と情熱のバランスを感じて踊ることを体験してもらいたかったんです。

――本番のステージでは和太鼓との共演がありましたが、詳しく教えてください。

めぐみ

ハワイで和太鼓奏者として活躍されている中井勉(Tsutomu Nakai)さんと食事をする機会があり、お互いのレッスンへの想いが同じような考え方で自然と意気投合し、その後すぐにまつりインハワイでの共演が決まりました。
ちょうど同じ時期に中井さんが『Dancing Dragon』というCDを制作され、その表題曲の『Dancing Dragon』で踊ろうという事が決まりました。

――フラの振り付けはどのように構成されたのですか?

めぐみ

中井さんに曲の想い・イメージを伺ったところ
「嵐の中でも、強い風の日でも、天気のいい日でもドラゴンがどんどん前に進んでいく曲です。」と仰り、太鼓の音や曲の展開を元にフラのハンドモーションを考えました。
基本的にフラのハンドモーションは曲の歌詞を元にしているので、太鼓のサウンドのみを頼りに構成を考えるのは大変でした。完成までに4ヶ月もかかってしまいました。

――ハワイと日本で和太鼓との本番前のリハーサルはどうされたのですか?

めぐみ

本番までリハーサルはありませんでした。
今回はカラカウアのオープニングパフォーマンスとアラモアナのセンターステージの出演だったんですが、実は和太鼓と実際に合わせるのは本番が始めてだったんです。
本番はとても気持ち良く踊ることができました。

――最後に「ハワイカマハオ」を今回選曲された理由を教えてください

めぐみ

ハワイカマハオを英語に直訳するとワンダフルハワイになります。
この曲はエレガントで優美で、なおかつ力強く、ハワイを表現する全てが揃っている曲です。

通常は3ヶ月くらいで1曲を教えるのですが、6ヶ月以上かけて1つ1つ丁寧に生徒さんに教えました。

今年は教室を開いてから節目の年になります。
「目の前の人を幸せにしたい」という想いを回帰させ、ハワイに対する感謝の気持ちを込めて、私の中のハワイの原点だと感じている曲を選びました。

以上、まつりインハワイに出演した、Hula Studio Puameliaのインタビューを行った。
フラとは自分だけが楽しむものではなく、相手に対して体を使って手話のように伝える踊り。自然と一体化してフラットな気持ちで踊るという大澤めぐみさんの言葉が深く心に残った。

BIHI
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