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激増するサウナのマナー違反…若者の「ドラクエ行為」を『サ道 2021』も問題視か?

文=エリンギ
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『サ道 2021』は7月9日深夜放送開始。またもやサウナ旋風を巻き起こすのか?(画像はGettyImagesより)

 2019年7月クールで放送され話題を読んだドラマ『サ道』が、『サ道 2021』として2年ぶりに帰ってくる。

 同ドラマは、タナカカツキによるマンガ『マンガ サ道〜マンガで読むサウナ道〜』(講談社)を原作とし、お笑いトリオ・ネプチューンの原田泰造演じる主人公が日本各地の実在のサウナを訪問するという趣向。真にサウナを楽しむためのサウナ道=「サ道」がテーマとなっており、熱いサウナと冷たい水風呂による温冷交互浴によってもたらされるディープリラックス状態を指す「ととのう」などの言葉も広く知られるようになった。

 しかし一方で、これまで中年サラリーマンたちの疲れを密かに癒してきたサウナ業界には異変が起きているという。この『サ道』のヒットによって現実世界にも空前のサウナブームが巻き起こり、以前とは違った“新規サウナファン”が各地のサウナを訪れるようになっているのだ。

 今では、多くの芸能人やインフルエンサーが「サウナー」(サウナ愛好家)を名乗り、YouTube等にサウナ施設のレポート動画を公開。また、サウナ関連のムック本も相次いで出版され、サウナというジャンルはやおら“ドル箱”となっているのである。結果、人気のサウナ施設ともなればサウナルーキーの若者たちで溢れかえる大盛況に。これは、市場規模がそう大きいわけでもない温浴業界にとってはさぞや喜ばしい事態……かと思いきや、そうでもないらしいのだ。

 東京都内のあるサウナ施設経営者が、匿名を条件にこう語る。

「サウナに興味を持ってくださる方が増えるのは喜ばしいことなのですが、都内でサウナに特化した施設の多くは、郊外型の独立施設ではなく、ビルの1階などに居を構える雑居型。当然ながらあまり広くはないのに、ドラマ『サ道』で取り上げられたお店は“聖地”化しており、今はどこも非常に混んでいます。

 結果、入場待ち、サウナ室待ち、そして水風呂待ち……と、行列ができてしまうことさえ珍しくはない事態に。コロナ禍もあって、どこのお店も予約制にしたり人数制限をしたりしながら対応していますが、これまでの常連さんのなかには、その状況に嫌気が差して足が遠のいてしまった方もいらっしゃいますね」

 どうやら、コロナ禍で旅行や飲み会を自粛せざるを得なくなったアクティブな若者たちにとって、銭湯やサウナが新しいプレイスポットになっているようなのだ。

「今は飲食店は20時には閉まってしまいますが、サウナや銭湯は遅くまでやっています。サウナが、友人とのちょっとした遊び場所になっているのかもしれませんね。もちろんお客さまが増えること自体はありがたいことなのですが、新規客が増えれば、どうしてもマナーの悪い方が一定数はいらっしゃる。私たちも浴室の巡回を増やしたりして対応していますが、従業員の数も多くないので限界がありますし、あくまでも“マナー”ですから、明確なルール化まではしたくない。なので、貼り紙やウェブ上で注意喚起することくらいしかできないのが現状です」(前出・サウナ施設経営者)

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『マンガ サ道〜マンガで読むサウナ道〜』第1巻。多数のメディアにも注目され、もはやサウナーのバイブル。サウナ施設の読書コーナーで見かけた方も多いだろう。週刊マンガ誌「モーニング」(講談社)にて連載中。
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日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」なら、エリアはもちろん、サウナ・水風呂の温度などお好みの条件で絞り込み、あなたにぴったりのサウナ施設が見つかります! (画像は同サイトのトップページより)

「汗流しカットマン」「かけず小僧」「水風呂ダイバー」などの“名言”がSNSで共有される

 では、サウナ施設おけるマナー違反とはどのようなものなのか? サウナ事情に詳しいライターに聞いた。

「基本的には、公共の場だから他人に迷惑をかけるようなことはひかえよう……というだけのことなんですけどね。でも、そうした“常識”を持ち合わせない人が意外と多いんです。

 例えば、古くから銭湯などでは禁止されてきた毛染め。これは、タイルの目地に色が着いてしまうからNGなのですが……若い方は『洗い場の自分の持ち場でやるなら別にいいじゃん』と考えるのか、堂々とやっている方もたまにいますね。それから、サウナに入る前に身体を洗わない。あるいは、サウナ室内で汗を手で飛ばす通称“汗スプラッシュ”などは、衛生的な点でもマナー違反ですね」

 サウナのあとには欠かせない水風呂についても、いくつかの嫌われる行為があるという。

「サウナのあと、かけ湯やかけ水で汗を流さずにそのままドボンと水風呂に入る行為は、『汗流しカットマン』、あるいは『かけず小僧』と呼ばれ、嫌悪されています。また、水風呂に頭まで浸かる『水風呂ダイバー』もマナー違反。汗を流せば潜水可能としている施設もあるので、許された場所でだけやるようにしてください」(前出のライター)

 近年は、日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」のレポートやTwitterなど、サウナ情報を交換する場も増えており、そういったマナー違反者たちが、上記のような奇妙なネーミングとともに共有されるようになっているそうだ。

「最近、急速に増えているのは、『ドラクエ』への苦言ですね。大学生と思しきビギナーに多いのですが、2〜5人くらいの集団でやってきて、サウナも水風呂も休憩も、どこへ行くにもぞろぞろと一緒に行動する。その様子を、ドラクエのパーティにたとえてこう呼称されているわけです。

 単純に場所が占拠されるので迷惑なのですが、特にやっかいなのはおしゃべり。元来、サウナ室での会話は歓迎されないのですが、コロナ禍で『黙浴』が推奨されている現在においては、もはや明確なマナー違反。彼らは注意をすれば素直に大人しくしてくれることがほとんどなのですが、本音をいえば、そもそもサウナくらいひとりで行ったらどうなんだとは思いますけどね……」(前出のライター)

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7月9日深夜から放送予定の第2シーズン、『サ道 2021』。出演者は前作に引き続き原田泰造・三宅弘城・磯村勇斗。今回はどんなととのいの物語になるのか? (画像はテレビ東京公式サイトより)

水をかける「違法ロウリュ」、嫌悪感漂う「汗ロウリュ」…苦言を呈するヌシの再来が望まれる

 もちろん、マナー違反の不届き者は、ビギナーにばかり多いのではない。

「注意をしても聞かなかったり逆ギレしたりするのは、むしろ中高年の自己流サウナユーザーに多い印象です。彼らはこちらが驚くような大胆な行動におよぶことも。

 私は、昔ながらの古いサウナ施設で、サウナストーブに水風呂からくんできた水をかける『違法ロウリュ』をする荒くれ者を何度か目撃しました。ロウリュとは、熱したサウナストーンに水をかけ水蒸気を発生させて体感温度を上げる、フィンランド式の温浴法。最近はセルフロウリュのできる施設も増えていますが、専用のストーブでなければ故障の原因になるので、絶対にやってはいけません。

 これと類似したもので、自分の汗が染み込んだタオルをサウナストーンめがけてしぼる、『汗ロウリュ』なる嫌悪感を抱かせるマナー違反も。かつてはあらゆるサウナに、一見客のマナーに目を光らせる『ヌシ』と呼ばれる常連客がいて煙たがられたものでしたが、近年のサウナ環境の大変動によって、その存在感も薄れつつあります。もしかしたら『ヌシ』は、サウナにおける“大事なもの”を守っていたのかもしれないなと、今になって思いますね」(前出のライター)

 2019年に放送された『サ道』第1シーズンでは、「汗ロウリュ」に苦言を呈する場面があり、サウナ愛好者のなかには溜飲を下げた者も多かったという。7月9日深夜から放送予定の第2シーズン、『サ道 2021』でも、サウナそのものの魅力を描くだけでなく、ブームの功罪を意識したマナー向上のメッセージも発していただきたいものである。

(文=エリンギ)

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