さて、とりあえず自分の気の済むまで読んだアメコミについて語ってみたかったのでじっくりとっくり語ることにします。

とはいえ私の「語る」ってダラダラ感想書いてるだけなんですが。

手始めに、ということで手堅く「キリングジョーク」からいってみることにします。


☆読んだ気になれるあらすじ☆

昔々あるところに売れないコメディアンがいました。脱サラしてまでコメディアンになったものの、全く売れないおっさんは日々の稼ぎも少なくほとほと困り果てていました。しかしそれでも文句の一つも言わずついてきてくれた妻のお腹には新しい命が宿っているので、その子のためにも頑張ろうとコメディアンのおっさんは決意するのでした。

ある日、悪い仲間に声をかけられたコメディアンのおっさんは、仲間が銀行強盗を企てていることを知ります。仲間に入れば金を分けてやる、その代わりお前が昔働いていた化学工場「エースケミカル」の中を案内しろと迫られます。いくらなんでも犯罪の片棒担ぐのは、しかしこれから生まれてくる子供のためにも何かと物入り。妻子のためなら……と首を縦に振り、計画を教わるおっさん。しかしそこに一本の電話が入ります。なんとおっさんの愛する妻が哺乳瓶の電熱器を試そうとして感電、生まれてくるはずだった子供共々死んでしまったというのです。絶望してその場に崩れ落ちるおっさん。おっさんは計画に乗る必要がなくなったからと仲間になることを拒否しましたが、一度首を縦に振ったことから仲間たちは抜けることを許しませんでした。

コメディアンのおっさんは、姿バレ防止にということで、昔話題になったギャング「レッドフード」の格好をさせられます。赤い円筒形の被り物を被せられたおっさんは視界が狭まって何が何だか分かっていません。エースケミカルを進んでいく一行でしたが、何故かそこにはいなかったはずの警備員がおり、仲間が次々射殺されていきます。パニックになったおっさんは走って逃げますが、とうとう行く手にバットマンが立ち塞がりました。あまりの恐怖に襲われたおっさんは、決死の思いで廃棄された薬液のタンクに飛び込んでしまいました。

タンクから薬品と一緒に排水管に流され、這々の体で工場の外に出ることが出来たおっさんでしたが、身体中がピリピリします。吐き気もして頭が痛みます。いつの間には外は雨が降っていました。おっさんは被り物をなんとか脱ぎ、水たまりに映った自分の顔を見ました。

そこには真っ白に脱色された肌、緑色に染まった髪、顔は引きつり口角は上がり、変わり果てた自分の顔が映っていました。

愛する家族が死に、人が死ぬのを見せられ、自分もいつ当たるかしれない銃弾に晒され、挙句バットマンに襲われかけ、自分の姿はまるで化け物。

とうとうおっさんは耐えきれず狂ってしまい、雨の中いつまでもいつまでも笑うのでした。

そうして世界一有名なヴィラン。バットマンの宿敵であるジョーカーが生まれたのでした。


時は流れて、ゴッサム市警本部長のジム・ゴードンとその娘のバーバラが家でまったりしていました。ところがそこに突然ジョーカーが現れ、バーバラは撃たれて下半身不随にされ、ゴードンは攫われてしまいます。それを知ったバットマンはジョーカーを追います。

一方、ジョーカーは廃遊園地を自分好みに改装し、ゴードンの服を脱がせ、家畜のように追い立て、狂わせようとします。ゴーストトレインに乗せられ、必死に耐えていたゴードンの目に、撃たれ、服を脱がされ、泣くバーバラの写真が何枚も突きつけられます。それでも必死に耐えていると、バットマンがようやく到着しました。

ジョーカーと戦うバットマン。やがて追い詰められたジョーカーは抵抗を諦めましたが、バットマンはジョーカーに語りかけます。

「我々の関係を、殺し合いで終わらせたくないんだ。多分、今夜が最後のチャンスだろう。もう自分を追い詰めるな、苦しみを一人で背負いこむな」

それに対してジョーカーは
「すまねぇ。けど……ダメだ、遅いよ。遅すぎるぜ……」と答え、得意のジョークを口にしました。

ジョークを言ううち、涙を流しながら笑い出すジョーカー。それを見て、バットマンも一緒に笑い出し、二人はひとしきり笑い転げ、そしてバットマンが手を伸ばし……。

後はただもう、雨が降り続くだけでした。

☆あらすじ終わり☆


とまぁ、今度映画化の噂もあるキリングジョークでした。

見所としてはアロハシャツ着てるジョーカーですかね。いつもスーツなのに珍しくアロハシャツ。ついでに短パンです。

邦訳アメコミ恒例の説明書きにはアロハシャツ状態の際に持ってる銃はピースメーカーだとか。皮肉やねぇ。

あとゴッサム最後の良心なゴードンさんを狂わせようとするシーンなんかも好きです。
あんまりジョーカーを好き好き言うとハーレイちゃんにぶっ飛ばされそうですが。私はリドラーと結婚したいとか言い出す人間なんで何も問題ないよハーレイちゃん。

最後のジョーカーがジョークを言ってバットマンと笑うシーンは切なくなります。またシチュエーションがジョークになぞらえられたような感じなのがまた雰囲気に拍車をかけます。

ジョーカーのオリジン話として多分最も有名なコミックです。ページ数もそんなに多くないのでサラッと読めていい感じです。

ジョーカーが果たしてどこで生まれてどう育ち、今の我々の知るジョーカーとして現れたのか誰も知りません。

設定としても謎のままにしてあるキャラですが、実はジョーカーというキャラクター、いつ生まれたのか、誰が産んだのかすらハッキリしないそうです。

大体の目星はついてるらしいのですが、具体的な登場コミックは分からないそうです。また、ジョーカーを産んだライターさんは誰なのかと問うと候補が3人くらい出てくるそうです。ジョーカーやべぇ。

あらすじでおっさんおっさん連呼してしまいましたが、年齢も不詳です。まぁ少なくとも若くはないでしょう。

キャラについては他で存分に語りたいのでこんなもんにしておきましょうか。

ジョーカーのオリジンを描いたコミックは他にも「バットマン:笑う男」や「バットマン:ラバーズ&マッドメン」なんかもあります。邦訳だけでなく原書も含めるとまだありそう。

コミック以外なら、ゲーム「アーカムビギンズ」(原題はアーカムオリジン)なんかもジョーカーのオリジンを描いたりしています。

また、キリングジョークを彷彿とさせるシーンはアーカムシリーズ最終作「アーカムナイト」にも出てきます。

余談ですが、アーカムナイトでこの時の若き日のジョーカーのモデルを眺め回し、短パンのポケットをズームすると、押掛け女房のハーレイちゃんのキスマークとサイン付きのハンカチが見えてます。この頃からラブラブだったのね。

ちなみに私の持ってるキリングジョークは完全版の奴です。ヴィレヴァンで買いました。意外とアメコミ売ってるヴィレヴァン。どこでアメコミ買えばいいのか分からなかった時重宝してました。たまに変なアメコミグッズも売ってますし。バットマンフォーエヴァーのトゥーフェイスのお面とか。

ジョーカーは基本的に邦訳にもコミックにも恵まれてますね。伊達に世界一有名なヴィランじゃない。