駅弁として「復活」した木更津の味~木更津駅「特製バーベキュー弁当」(772円) | 駅弁ブログ ライター望月の駅弁いい気分

駅弁として「復活」した木更津の味~木更津駅「特製バーベキュー弁当」(772円)


千葉始発の普通列車、いわゆる「房総ローカル」は、

京浜東北線から転じた209系電車が主役。

運転台のある車両は、ボックスシートに、

中間車には、トイレを設置する改造を受け、

千葉~安房鴨川といった長距離の運用にも、

一応、耐えられるようになっています。



内房線の特急といえば、「さざなみ」。

「さざなみ」は、アクアライン~館山道開通の

影響をもろに受けて、本数が激減。

この3月から定期列車は君津より先が廃止され、

週末運行の「新宿さざなみ」(画像)だけに。

(平日は館山まで特別快速が走るようですが・・・)

結局、海の真ん中を走る高速バスのほうが

安くて速いってことなんでしょうが、私の場合は、

高速バスは座席が狭くて、圧迫感があるのと

隣席に知らない人が来ると、近すぎてイヤ。

おまけに本を読んだり、書類に目を通したり、

PC仕事すると、頭が痛くなってしまいます。

バスに乗るなら、「路線バス」くらいが丁度いいもの。

移動時間を有効に活用できるのは、

やはり鉄道なんだと思うのですが・・・。



そんな内房線を代表する駅の1つ、木更津。

改札を出て、西口の階段を降りたところには、

NREの売店があって、駅弁の販売があります。

この日は、日が暮れてからだったのですが、

地元・木更津産の駅弁が1種類残ってました!

やはり地元産は、ちゃんと補充されたのか、

こういう時、頼りになりますよね。


余談ですが、去年、横浜駅弁・崎陽軒の方は、

「なぜ、シウマイ弁当は、港北ICの工場ではなく、

横浜駅のそばで作っているのか」という質問に、

鉄道が長時間ストップするなどのアクシデントがあって、

JRから差し入れなどが求められたときに、

スグに対応できるように・・・と仰っていました。

実は駅のそばの駅弁屋さんには、

鉄道における「危機管理」の一面もあるのです。

その意味でも、普段から意識して「駅弁」を守り、

育てることは、いざという時、きっと頼りになるハズ。




その木更津の駅弁といえば、

吟米亭浜屋の「特製バーベキュー弁当」!

木更津駅近く(駅西400m)に実在する

「証城寺(しょうじょうじ)」のたぬきが

イラストとして描かれています。



木更津の「バーベキュー弁当」、鉄道好きには、

昔からの駅弁としておなじみですが、

この15年ほどの間には、紆余曲折がありました。

いろんな情報をかき集めて、整理しますと・・・


1962(昭和37)年、

木更津駅弁「浜屋」の駅弁として誕生。

2000年頃、「浜屋」が撤退。

駅弁としての「バーベキュー弁当」は、

千葉駅弁・万葉軒がレシピを継承。

木更津市内では、江戸時代創業の米屋・泉屋が、

米飯事業部を設立して、吟米亭浜屋のブランドで

レシピを継承(木更津そごう内店舗などで販売)。


※「ライター望月の駅弁膝栗毛」(2003年10月)

http://www.ne.jp/asahi/eki-ben/hizakurige/mochiduki/0310/0310.htm

ページ最下部に「万葉軒」時代の「バーベキュー弁当」を紹介。

2000年代後半、千葉駅弁・万葉軒による

「バーベキュー弁当」の調製が終了、駅弁から消滅。

吟米亭浜屋による、木更津の街の弁当としての

「バーベキュー弁当」は継続。

2010年代前半(?)、

吟米亭浜屋の「バーベキュー弁当」が

木更津駅構内で販売されるように・・・。

2014年、JR東日本「駅弁味の陣」に、

吟米亭浜屋の「バーベキュー弁当」が

木更津の駅弁として出展。




「浜屋のバー弁」として親しまれてきたという

「バーベキュー弁当」。

国産の豚ロース肉を、継ぎ足しながら守られた

1枚1枚「秘伝のタレ」で焼き上げているといいます。

吟米亭浜屋(泉屋)は、江戸期からの米屋さんですから、

米が美味しいのは当たり前。

「店主自ら田んぼを回り、吟味した地元産の

美味しいお米を・・・」という案内文も納得です。




このちょびっと付いた肉の焦げ目が、

浜屋由来の「バーベキュー弁当」のキモですよね。

万葉軒に託した駅弁のバーベキュー弁当は、

無くなってしまい、万葉軒自体もかなり変貌。

その意味では、浜屋が駅弁から撤退した際、

2つの業者に、レシピを継承させたことが、

結果として、「木更津の駅弁」を守ることに

繋がったようにも感じます。

少し乱暴な言い方かもしれませんが、

会社の規模の大きさよりも、

地元の人の地元愛の大きさが勝ったということか!?

「バーベキュー弁当」の包装に書かれた

木更津愛が詰まった案内文を読みながら、

ふと、そんなことを感じました。