2019 05 17衆議院法務委員会 串田議員

 
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 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 今、井出議員から性犯罪の問題が質疑されておりまして、私も通告をさせていただいているんですが、冒頭だけ、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 前回、法務大臣との質疑が何となくうまくかみ合っていなかったんじゃないかと私は思っているんです。
というのは、懲戒の中に性犯罪というのが入ってはいないという法務大臣の答えで、それはもう当然のことでございまして、
要するに、暴行、脅迫というのが、
懲戒権、これは、
しつけというような言い方で暴行、脅迫を行っている事案
というのが去年もことしも起きたわけでございまして、そういったような、
暴行、脅迫というものが懲戒という形の中で行われて、
その先に傷害やあるいは性暴力というのが行われるのではないかということを質問させていただいたんです。

 八百二十二条の懲戒というものに対して、
子供の側から、
これは正しい懲戒で、
これは正しくない懲戒
というのを、
子供の側からは何を基準にして判別したらよろしいでしょうか。

山下国務大臣 まず、前提として、八百二十二条の懲戒権は子の利益のために行使されるべきものであり、
子の監護及び教育に必要な範囲を超える懲戒
は、懲戒権の行使として許容されない違法なものでありまして、
子もそれに従う義務はないものと考えられます。

 そして、ある行為が
民法第八百二十二条の懲戒権の行使として許容されるか否か
というのは、
社会と時代の健全な社会常識により判断されることになるものと考えられますが、
児童虐待に当たる行為が懲戒権として許容されないものであることは明らかであります。

 もっとも、児童虐待の場面においては、
子供がその判断を適切に行うことができるかどうかにかかわらず、
子供が親権者に対して抵抗することは困難な場合が多いと考えられます。
したがって、児童虐待の防止、これをしっかり取り組む必要があるということで、
その予防、早期発見、発生時の迅速的確な対応など、
総合的な対策を進めていくことが重要である、こう考えておるわけでございます。

串田委員 子供がそれに従う必要はないというところが、
子供としてどうやってそれを、
従う必要のない懲戒であるかどうかというのを判断したらいいのかということをお聞きしているんですね。

 例えば、体を押しつけられた、押さえつけられた。
それで終わる場合もあれば、
その後に殴られる場合もあれば、蹴られる場合もあれば、
その後に性的な暴力を加えられる場合もあるわけです。
体を押しつけられた時点で、子供はこれをはねつけていいんですか、
そして、そういうこと自体を子供ができると思いますか、法務大臣。

山下国務大臣 御質問ではございますが、
体を押しつけられたという、
その押しつけられる部位、あるいは
押しつけられた先の部位、あとは、
時間帯でありますとか、
どういう体勢であるのかとか、
そういったこともございます。ですから、
それは健全な社会常識により判断されることになるということで、
一概に判断基準をここでお話しするということはできないと考えます。

串田委員 仮に、抵抗というのが正当防衛的な意味で、
一般的には殴り返すとか、そういうようなことが通常には考えられたとしても、
子供が親を殴り返すということ自体はしたくないという子供だってたくさんいると思うし、
それはやはり道徳観念からもすべきでないというような考えを持っている子供
もいると思うんですよ。

 だから、どんなに親が、懲戒権の行使が違法であったとしても、
子供が必ずしもそれに抵抗できるとは限らないわけですよ。
その先に性的な犯罪が行われた場合ということが十分に、
犯罪の成否をするに当たっては考慮しなきゃいけない。
その時点での暴行、脅迫が、一般人の、
最高裁の二十四年五月十日の判例、著しく抵抗が困難であるかどうか、そういう暴力であったか、そういう脅迫であったかという、
一般人と同じような基準で
この親権者と未成年者の間の性的な暴力行為を同じように当てはめていくということに対しては、
国民は大変な違和感を持っているということなんだと思います。

 昨日も、あの名古屋の三月の判例を前提にした番組が流されていました。
こういったようなことが何回も流されているということは、
この無罪判決に関して国民はやはり違和感を持っている。
親と未成年者との間は、未成年者は抵抗をすることが大変困難な状況であるということを、
この判例自体が、判断自体が考慮されているのかどうかということに対して、
大変、国民としては違和感を持っているんじゃないかなと私は思います。

 そういう意味では、この最高裁の判例が
親子の関係でも当てはまると言っていない以上は、
一般人と同じような基準で、メルクマールで、これを当てはめる
ということに対しては、
子供の人権を守ることができない
のではないかと、私としては、まあ提案といいますか、
その点についての子供の人権というものの、
懲戒というものは子供が抵抗しちゃいけないんだ
という回答がありましたから、
抵抗しちゃいけないという回答があった
のに、
一線を越えたときは、あるいは何か別の目的のときには抵抗していいんだ
というようなことを言われても、
子供としては現場では非常にそんなようなことはできにくいということを、
これは判例を判断するときには十分配慮していかなきゃいけないんだということを指摘して、
次の、今回の法案について質問をさせていただきたいと思います。

 この特別養子制度は、大臣の趣旨説明ですと、
児童養護施設に入所中の児童等に養育環境を提供する
というふうになっております。
そうであるなら、本法案は
児童養護施設の入所中の児童等に限る、
当面はこれに限る
というように大臣としては断言していただきたいんですが、いかがでしょうか。

山下国務大臣 私の趣旨説明でそのように申し上げたところですが、
これは、特別養子縁組の対象となる子供は、
保護者がおらず、又は虐待を受けているなどの理由で
児童養護施設に入所中の子供
が多いと思われることから、そのように例示をさせていただきましたが、
これは、
児童等に
ということで申し上げているものでございまして、
それに限るものではなくて、
法律上は
児童養護施設に入所中の児童等
に限定されておらず、
この点は本法律案による改正後も変わらない
ということでございます。

串田委員 といいますのは、今、日本は単独親権下であります。
こういったようなときに、
同居親と新たな再婚相手との間でこの特別養子制度というものが適用される
ということに対しては、
大変不安を持っていらっしゃる別居親
というのがいらっしゃるんですね。

 どうしてかといいますと、先ほど石原委員が大変すばらしい質問をしていただきましたが、
親子の縁を完全に切られるわけですよ。
そして、現在、面会もままならない状況なんです。
ですから、本当は養育を一生懸命やりたいけれども、養育をやらせてももらえない状況の中で、今度は
親子の縁を切られてしまうんですよ。

 それを今、二十四カ国ですか、調査を開始している、
共同親権、共同養育というものを取り入れようと検討している中で、
この単独親権という、
面会をもさせてもらえないような状況で、
親子の縁を切る
という法案を先に成立をさせるということについては
大変問題だと思うんですが、法務大臣の御意見を伺いたいと思います。

山下国務大臣 まず、前提として、串田委員がおっしゃっている例というのは、
子供がいる夫婦が離婚をし、
その一方が親権者となった場合で、
その親権を有する親
相手と再婚した後に、
その再婚相手と子供との間で特別養子縁組を成立させるといった事例
をお尋ねなんだろうというふうに思います。

 いずれにせよ、こういった特別養子縁組の場合には、
第一段階におきまして、そもそも、
実親による子の監護が著しく困難又は不適当であるか、あるいは
実親の同意があるか
といった要件について、
これはしっかり審理をしていただくということになりますので、
その過程で、
不適切な、そういった不当に親子の関係を終了させるといったところは、
家庭裁判所の調査等において、
審理の段階において
適切に対応があるのであろうというふうに考えております。

 実務的なことについては、当局にも答えさせようと思います。

串田委員 ただ、民法の八百十七条の六では、実親の同意がなくてもいい場合が書かれているわけです。

 先ほど、民事局長の回答からも、
原則という言い方をされた。
原則は同意が必要であるという、
この原則というのがくせ者でして、
例外というのが八百十七条の六に書かれているんですけれども、
これは、
虐待や悪意の遺棄その他
養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合はという中で、
養育さえも面会さえもさせてもらえない状況の中では、
これは、
その者との間で親子の関係をずっと続けるよりは
養親の方がいい
だろうという判断をされるおそれがあるから、質問しているんですよ。

 そして、今、
単独親権の場合には、
片方の親が片方の別居親をずっと悪く言い続けるという制度
だから、
これは改正しなきゃいけないというのをさんざん言わせていただいているんです。
 
要するに、争わなくてもいい夫婦が、
別れるときになって、
一人だけ親権者にさせられる、
一人だけ監護者に選定される
という、この極めてまれな制度を我が国がとっているから、
争いを生じさせて、
相手の方を悪く言う、
双方が悪く言って、
自分が親権者になるようなことをさせているのが
今の日本の法律なんですよ。
そういうようなことが成功しているから、一人が監護者になっている。

 この成功するような方法で、八百十七条の六が適用されることがあるんじゃないかということを心配しているんですが、いかがでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、原則として、特別養子縁組の成立には実の親の同意が必要でございます。

 例外的な場合としましては、
その意思を表示することができない場合、あるいは、
父母による虐待、悪意その他
養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合
はこの限りでないとなっております。

 いろいろ、当事者間に紛争がある場合に、
一般論として申し上げますれば、
家事審判の手続の中で、
当事者が
自己の主張を正当化するために
他の者を非難したり、あるいは
その主張を否定したりすること、
こういったこと自体はしばしば生じ得る
ものと認識しております。
もっとも、裁判所におきましては、
そのようなことがありましても、
証拠に基づいて適正な判断をすることが期待されており、また、かつ、
現にそのような運用がされているものと承知しているところでございます。

串田委員 今、例外は証拠に基づくという話がありましたが、
そうした場合には、
同意の場合には何ら問題がないのかというところを考えていただきたいんです。
前に大岡裁きの話を予算委員会でさせていただきました。
子供が痛いと言うから手を離した、
今は手を離した方が不利に扱われるのがこの国の制度なんです。

 そして、今回の特別養子制度も、
面会も養育もさせてもらえない、
もう二年間も会わせてもらえないという別居親がざらにいるんですよ。
そういう中で、今度特別養子制度を採用したいといったときに、
自分は子供にも会えない、
この子供にとっては自分という親としての存在を、
この子供の福祉には十分に愛情を注ぐことができない、
泣く泣く同意をする親は結構、私はいると思いますよ。
この制度で、そういうような、
追いやって、諸外国では救われているような親が、
我が国だけは単独親権、単独監護だから子供にも会えない、面会もできない、
だから子供にとっては自分の存在自体が幸せにはできないと思って、泣く泣く同意をする親だってたくさんいると思うんですよ。

 大臣、こういうので同意があるということで、この特別養子制度を採用していいと思いますか。

山下国務大臣 串田委員御指摘のところは、
面会交流、これを、
別れた子供と
親権を持っていない親との間でもしっかり行うべきだというふうな前提に立たれるんだろうと思いますし、
その点においては我々も全く同じでございます。

 ただ、特別養子のこの制度自体においては、
これは第一段階の手続、第二段階の手続に分かれておるわけですが、
その第一段階の審理において、実親の同意が本当にあるのかどうか、真意に基づくものであるのかどうか、そういったものも審理されるでしょうし、
実親の同意がないと判断されるような例外的な場合というのが、これはまさに例外的な場合ですから、
本当にそのような、
監護が著しく困難であるとか、
子供の利益を著しく害する事由があるかどうか
については、
これは家庭裁判所においてしっかりと審理されるというふうに考えておりますし、
そのような運用を期待しているところでございます。

串田委員 そのような運用がなされていないから、国連からも勧告されているんですよ。

 今、エビデンスの話が先ほど民事局長からありましたので、
ちょっと質問の角度を変えさせていただきたいんですが、
外務省のハーグ条約室では、
ハーグ条約は国際結婚に限るものではない、
例えば、日本の夫婦のうちの一方がアメリカに子供を連れ去った場合には、
このハーグ条約によってその子供は連れ戻されるという理解でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、ハーグ条約の対象は国際結婚に限られるものではございません。

 したがいまして、例えば、
子が日本から米国に不法に連れ去られた場合ですけれども、
日本に残された親は、
日本の中央当局であります外務省領事局のハーグ条約室に対して返還援助を申請することができます。
日本中央当局は、援助決定後、米国中央当局と連絡調整を始めるとともに、当事者に対して必要な支援を行うという形になります。

 また、不法に連れ去られた場合でなくとも、
面会交流をしたいという場合には、
同様に、中央当局間の協議によって面会をアレンジするということが可能でございます。

 不法な返還の部分に関して申し上げれば、
最終的に子の返還を求める裁判がアメリカで申し立てられた場合には、
返還命令が確定し、
その場合には、州によって手続は異なりますけれども、
連れ去った親が子の返還に応じない場合には、
裁判所侮辱罪が適用されるなど、
制裁金や身柄拘束が命じられることなどがありまして、
これでもって執行を確保する、そういう流れになってございます。

串田委員 法務大臣もよく聞いていただいたと思うんですけれども、
日本の夫婦の片方の親がアメリカに連れ去ったときには、
しっかりと日本の政府も加わって、子供が連れ戻されるんですよ。
ところが、
日本の夫婦の一方が東京から例えば埼玉だとか千葉だとか神奈川だとかに連れ去ったときに、
日本は返してあげないじゃないですか。
おかしいと思いませんか。
外国に連れ去ったら戻されるのに、何で国内だったら戻されないんですか。

 だから、これを改正しなければ余りにも不平等であり、諸外国から比べればおかしいと指摘されるのは当然なんですよ。

 ところで、返還を拒絶することもできる場合がありますとハーグ条約の質問欄では書かれていて、
子の返還拒否事由を主張する当事者は、
それを裏づける資料を裁判所に提出する必要があります
と書いてありますが、
この裏づける資料というのはどういったものなんでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 返還拒否事由、
子の返還が子を耐えがたい状況に置くこととなる重大な危険があること、
こういう返還拒否事由がございますが、
その判断に当たっては、
常居所地国において
子が申立人から身体に対する暴力等を受けるおそれの有無や、
相手方及び子が常居所地国に入国した場合に
相手方が申立人から
子に心理的外傷を与えることとなる暴力
等を受けるおそれの有無
等の事情を考慮することとされております。

 そして、
過去における配偶者等からの暴力の被害を立証するための証拠資料
といたしましては、これは個別の事案によるものでございますが、
例えば、
子の常居所地国における医師の診断書ですとか写真、あるいは、
一時避難先の関係者の陳述書
警察や在外公館等に対する相談時の申立人の状況
等の照会結果等が考えられるところでございます。

串田委員 これからいろいろな実務的なものも確認させていただくことは出てくると思うんですけれども、
今、最初の医師の診断書はいいですよ。
だけれども、
相談事例までも裏づけ資料になるから、
現在、日本の場合には、相談するということを勧めるわけでしょう。
そうすると、
相談しただけで証明書が出るから、
それをもって拒絶をすることができるという扱い方をされていて、
別居親としては大変な悲しい思いをさせられているという声が多いわけですよ。

 恐らく、今言われたのも、
その相談事例だけではこのハーグ条約の返還拒否事由には
私は当たらないというふうに思っているんですけれども、
相談事例だけでこのハーグ条約拒否事由ということになる
というふうにおっしゃるんですか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 証拠資料といたしましては、先ほども申し上げましたように、
さまざまなものが考えられるものでございますので、
そういったものを総合的に判断するということになろうかと思います。

 また、先ほど相談についても申し上げましたけれども、
この相談につきましては、その相談した事実といいますよりも、
相談時の申立人の状況といったようなところが
この考慮事由としては考えられるのかなというふうに思っているところでございます。

串田委員 ハーグ条約の場合には、日本同士の夫婦においても、
これは監護権があるというだけで、このハーグ条約が適用されるわけですよ。
日本の場合には、債務名義がなかったら強制執行してくれないわけですよ。
そして、今言ったようなことで返還もされない。
こういうように極めて不平等な扱い方をされている中で、親子の縁を切られるという不安感を持つのは当たり前なんです。

 ですから、この特別養子制度は、そういう観点から、
児童養護施設というのは私は大いに賛成ですよ、
そういう家庭環境を子供に与えるというのは。
ただ、今のような、
単独親権下の、共同養育をも与えてもらえないような、親の縁を切られるような今の不平等な扱い方をされているのは事実なんですから、
ここら辺についての適用については認めない方向で適用させていただきたいと思っているんです。

 民法七百六十六条の改正のときの趣旨をお聞きしたいと思いますが、
これは連れ去りを阻止するために設けられたと言われていますが、事実でしょうか。

山下国務大臣 平成二十三年に成立した民法等の一部を改正する法律により、
民法第七百六十六条が改正されました。
これは、家庭裁判所における調停又は審判の際のみならず、
当事者間における協議の際にも、
面会交流など、子供の監護について必要な事項を定めるに当たっては
子の利益を最も優先して考慮しなければならないとの理念
を明記することとされております。

 また、これにつきましては、
例えば子の監護費用の負担とか、そういったことも七百六十六条にも含まれているところでございまして、
この二十三年改正は
子供の利益を重視することを示したというものでございまして、
子供の連れ去りの防止そのものを目的とするものではないということでございます。

串田委員 当然なんですけれども、それは。

 連れ去りを少なくすることができるという趣旨というのが
七百六十六条の制定の中では言われていた事実
があるかどうかを確認させてください。

山下国務大臣 一般論としては、
夫婦で離婚について協議している際、また
その協議をする前に
子供を不当に連れ去り、
一方の親と子供との交流を一方的に絶つことにより
子供の利益が害される場合があるものと考えられます。
このような場合においては、
平成二十三年の民法改正の趣旨に照らしても、
不当な連れ去りがあったということは
子の監護者等を定める際に考慮されるべきでありまして、
平成二十三年の国会審議でも
当時の法務大臣から同様の認識が示されておるところでございます。

串田委員 平成二十五年の国会での安倍総理も同じような趣旨であって、
七百六十六条が改正されたときには不当な連れ去りというものをなくすということも制度趣旨の中に入っているというふうになっているわけです。

 とするならば、先ほど言われたような
連れ去ることの正当事由というものが証明できない限りは
連れ去りというのは不当であって、
これは連れ去った側に不利益な扱い方をすべきであるというような運用が現在なされているという理解でよろしいでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 国内における子の連れ去りの場面におきましては、
一般に、
連れ去られた親の方は、
子の監護に関する処分の審判を申し立て、
その手続において、
子の引渡しを命ずる旨の審判を求めることになると考えられます。
このように、
国内における子の連れ去りの場面では、
一般に、子の父母のうちどちらを親権者又は監護権者とするのが相当であるかを判断した上で
子の引渡し請求の当否が判断されることとなる点で、
こういった実体的判断を伴わないハーグ条約実施法の適用場面とはその前提が異なるものと考えております。

 したがいまして、子の引渡しが認められるか否かの判断に当たりましては、
現在の実務では、
従前の監護状況、
現在の監護状況や
父母の監護能力等々、
さまざまな事情を総合的に考慮しているものと認識しております。

串田委員 時間ですけれども、七百六十六条は、
正当な理由がない限りは不当な連れ去りであるから不利益にならなきゃいけないんだというのがこの七百六十六条の立法趣旨というか、
その制定過程の中でそうやって議論されているわけですから、
しっかりとこの議論に基づいた運用を実務でもしていただきたいということを申し上げ、
またこれを続けてやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で串田誠一君の質疑は終了いたしました。