3月21日の大阪府知事選公示に続いて、明日24日、大阪市長選が公示されますね。この両選挙の「争点」が「大阪都構想」なわけですが、


都構想で大阪が成長するという根拠が分からない。「変われば良くなる」というフワッとした期待か?
嘉悦報告書もデタラメである事が判明してるし。
なぜ大都市の中心核を廃止解体すれば成長できるというのか、意味が分からない。維新子飼いの学者以外の100人以上の学者が反対しているんだよ。

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「大阪都構想」については、
京都大学教授の藤井聡さんが、今から4年前の2015年5月5日に「大阪都構想の危険性」について記者会見を行ない、同年5月9日付で、108名の学者所見が出ています。

くわしくは藤井聡さんのホームページをご覧いただきたいのですが、108名の学者所見抜粋を3回にわたって貼り付けます。

いろいろな面から都構想のデタラメさがわかりやすく展開されていると思います。





〈以下、転載〉
『大阪都構想』の危険性に関する学者所見(抜粋コメント)

(5月9日現在、計108人分)

「大阪都構想」、すなわち「特別区設置協定書」に基づく大阪市の廃止と五分割については、大阪市民の暮らしや都市の在り方に直結する様々な「危険性」が、行政学、政治学、法律学、社会学、地方財政学、都市経済学、都市計画学等、様々な学術領域の研究者から数多く指摘されている。

しかしながら、マスメディアではそうした「危険性」についてはほとんど論じられておらず、イメージ論が先行した議論が繰り返されている。このままでは、大阪市の廃止・分割という不可逆的な決定を迫られる住民投票において、大阪市民が適正な判断を行うことが著しく困難であることが強く危惧される。今求められているのは、危険性、リスクを明らかにしたインフォームドコンセントなのである。

こうした実情を鑑み、大阪市民が理性的判断を下す支援を行うことを企図して、「都構想」が大阪市民の暮らしや大都市大阪そのものに及ぼす「危険性」を様々な視点から明らかにしている学者達から、その具体的内容についての所見を、呼びかけ人(京都大学藤井聡教授・立命館大学森裕之教授)から公募したところ、4月27日から僅か一週間で124名から所見供出意向の申し出があった。そして現在(5月9日現在)、108名から所見が供出された。

以下、その108名の学者からの所見から抜粋したコメントを、項目ごとに紹介する。

地方自治論(行政サービス論)

「大阪市を分割し、権限・財源を大阪府に吸収すれば、大阪市民への生活サービスの低下は避けられない。」高寄昇三 (甲南大学・名誉教授) 財政学・行政学

「都構想」は大阪市を解体し市民へのサービスを低下させるものでしかありません。財源の多くが大阪府に吸い上げられ、その使い道を市民が決めることはできません。碇山 洋 (金沢大学・教授) 財政学

「大阪都構想は、住民サービスを著しく低下させかねない地域切り捨てです。」 上園昌武 (島根大学・教授) 環境経済学

きめ細やかな施策で地域住民の暮らしに寄り添い、地域の環境を守るためには自治体の規模は小さい方がいいと私は考えています。大阪市を解体し五つの特別区を設置するという「都構想」なるものは私の考えとは相反します。青山政利 (近畿大学・名誉教授) 環境学・エネルギー学

「これは大阪府への集中・集権であり、隷属への道である。縮小された権限と財源の下で、特別区は団体自治も住民自治も発揮することができず、特別区間での財政調整をめぐる争いと、住民間での負担増または歳出減の押し付け合いに終始することとなろう。」梅原英治 (大阪経済大学・教授) 財政学

「「介護保険制度」ば、5区がつくる一部事務組合に移され、窓口も担当職員も見えにくくなる。…(中略)…高齢化社会で求められる介護、医療、福祉を統合した「地域包括ケア」からは遠ざかる一方となるに違いない。当然医療費を下げることはますます困難になる。それが若い世代の負担をより重くすることが強く危惧される。」澤井 勝 (奈良女子大学・名誉教授) 財政学

「都構想では、いかにお金を儲けるかのみがうたわれ、広域な区になる結果住民へのサービスが低下し、介護など福祉も低下します。」田結庄良昭 (神戸大学・名誉教授) 地質学

「都構想」は市民社会の基盤を弱体化させる。自治は制限され、安全、医療、福祉、生活環境の水準は低下し、公営住宅入居も一層困難になろう。政令指定都市である大阪市の廃止は、市民の暮らしを損なうことになる。」 早川和男 (神戸大学・名誉教授) 環境都市計画

「(国民健康保険事業は)一部事務組合によって運営されることになれば、これまでと比べて住民の要求は反映されにくくなり、地域医療が後退する可能性が懸念されます。」藤井えりの (岐阜経済大学・専任講師)地方財政学

「住民の声は行政に届きにくくなり、「住みづらさ」が蔓延する失望の都市に変わってしまうでしょう。」保母武彦 (島根大学・名誉教授) 財政学・地方財政学

「行財政運営は混乱し、地域住民生活への深刻な影響、しわ寄せが懸念される。」山田 明 (名古屋市立大学・名誉教授) 地方財政学

新たに設置される財政調整資金の配分をめぐり府と特別区および特別区相互の間で、絶えざる紛争が生まれる可能性があります。このため、大阪市民が現在享受している市民サービスが解体され、特別区の間で格差が発生し、低下してしまうことを危惧します。」横田 茂 (関西大学・名誉教授) 地方財政学

自治喪失論

「一見、民主的な印象を与える住民投票でカモフラージュしているが、今の大阪市の状況は、手続的にも内容的にも民主主義と地方自治の危機である。」真山達志 (同志社大学・教授) 行政学

「「大阪都構想」…(中略)…その本質は、市民の命と暮らしの砦である大阪市の解体にあります。」宮入興一 (愛知大学・名誉教授) 地方財政学

「大阪都構想は、大阪市の解体に他ならない。大阪市は自治権を失い、大阪府によって直接統治される。都市計画決定をはじめ、多くの権限を大阪府に吸い上げられる。こんなものが地方自治の伸長に役立つはずはない。」 山口二郎 (法政大学・教授) 政治学

「大阪市における住民自治を崩し、住民から行政を遠ざける大阪都構想には強く懸念を抱かざるをえません。」関 耕平 (島根大学・准教授) 財政学

「橋下・維新の会のもとでは、災害対策は重視されず、予算は削減されてきました。「都構想」でも、災害対策や教育・医療・福祉などの住民サービスを削り、大阪市民から吸い上げた財源をカジノや大型開発に投じようとしています。…(中略)…歴史と伝統をもつ大阪市を廃止する特別区の設置には重大な問題があるといわざるをえません。」山崎文徳 (立命館大学・准教授) 技術論

「大阪都構想は、経済成長という目的のために、大阪市民の政府である大阪市を解体して、市民のいのちと暮らしのための税金を成長戦略のために使うものであり、憲法の保障する住民自治と団体自治を侵害するものである。」村上 博 (広島修道大学・教授) 行政法学

地方自治論(衰退論)

「大阪市は126年の歩みのなかで形成された有機的総合行政体。市を解体し、5特別区と前例のないマンモス一部事務組合に分割することは生木を裂くに等しく、大都市の活力をそぎ、長期低迷を生む」木村 收 (阪南大学・元教授) 地方財政学

「大阪市は戦前の名市長関一のもとで都市行政の先進的な事例を数多く生み出し、都市基盤の整備や環境政策、文化行政などの分野で全国の都市の手本となる成果を挙げました。…(中略)…大阪の再生は、こうした先例にこそ学ぶべきであり、都市の解体によって再生を果たすことは決してできないでしょう。」鶴田廣巳 (関西大学・教授) 財政学

「「大阪都構想」が通れば、大阪市民は共同体としての大阪市を失うとともに、共同体がもつ大都市行財政権限を失うことになる。その損失は計り知れない。」平岡和久 (立命館大学・教授) 地方財政学

「大阪地域は京都市や神戸市に比べて都市力や都市格ははるかに低いものになるであろう。」 宮本憲一 (元滋賀大学・学長/大阪市立大学・名誉教授) 財政学・都市経済学

「大阪都構想は、財源の低減により都市機能を低下させ、大阪市の発展と市民の暮らしを困難にするものだ。」 山口英昌 (元大阪市立大学大学院・教授/元美作大学大学大学院・教授) 食環境科学

地方自治論(都区制度論)

「集権的な体制をつくるため、東京府・東京市が廃されて東京都・特別区がつくられた歴史的経緯を忘れるわけにはいかない。」荒井文昭  (首都大学東京・教授) 教育学

「もともと東京都の特別区制は、憲法の「法の下の平等」原則に反する疑いがあり、現実にも、多摩地域(30市町村)、島嶼各町村との間に無視できない格差が生じていて、特別区間の格差もまた深刻である。こうした現実の下で、…(中略)…なぜ「都」になりたいのか、全く理解できない。」 池上洋通 (千葉大学・元非常勤講師) 地方自治論

「新たに設置される「特別区」は憲法上の地方公共団体とは解されておらず、その制度的な根拠は立法政策に委ねられることになり、その存在は不安定なものであると言わざるを得ません。」今井良幸 (中京大学・准教授) 憲法・地方自治法

「特別区になったその日から自治権拡充の闘いが始まることを覚悟しなければならない。」 今村都南雄 (中央大学・名誉教授) 行政学

「今回の都構想では都(知事)への集権的体制を作り上げることになり、分権の流れに逆行する。」入江容子 (愛知大学・教授) 行政学・地方自治論

「大阪都になって、住民のための自治は拡大しません。東京都23区の多くは、数十万の人口を擁しているのに、市ではなく自治を大幅に制限されているのです。」紙野健二 (名古屋大学・教授) 行政法

「「大阪都」という行財政制度をつくれば、東京都に匹敵する経済力・行財政力になるというのは本末転倒した錯覚としか言いようがない。」 遠藤宏一 (大阪市立大学・名誉教授) 財政学・地方財政論、地域政策論

「東京都は大規模すぎて、自治の実体を持たない「非自治体」です。だから法律上の「都民」はいても、地方自治の担い手たる「自治体民」はいません。市民・住民のいないところに市民自治・住民自治は存在しません。東京都制はすでに失敗しているのです。」白藤博行 (専修大学・教授) 行政法

「特別区という制度は、東京の特別区自身が切に抜け出したいと思っている最悪の制度です。」菅原敏夫 (法政大学・元非常勤講師) 地方財政学

(都区制度は)「本質的には中央集権化の手段として案出されたものであり、地方分権に資するという議論は、理論上は考えられても現実的なものではありません。」竹永三男 (島根大学・名誉教授) 歴史学

「府の役割が重要なのは、市町村による活動を支援しまた調整することにあり、決して市町村に取って代わることではありません。」槌田 洋 (前日本福祉大学・教授) 地域経済学・地方財政学

「今回大阪市を解体し、あらたに5つの特別区を設置しようとする動きは市民自治を拡充することを目指すことを目的とせず、むしろ後退の虞がある。それというのも「解体」は大阪市の持っていた権限や財源の府への集中を進める一方で、やせ細った特別区をつくることになるからである。」 西寺雅也 (名古屋学院大学・教授(元多治見市長)) 自治体経営学

「「大阪都構想」は「大阪市」をリストラして、中身のはっきりしない「特別区への格下げ」という"粗悪品"である。」堀 雅晴 (立命館大学・教授) 行政学

地方自治論(政治哲学論)

「大阪市廃止構想の本質的な瑕疵は、『自治』の問題であるにもかかわらず、徹底的に『効率』の問題として語られていることです。市民の自治権と効率的な行政サービスの交換取り引きに応じようとする人たちは、一度放棄した自治権はもう回復できないことを忘れています。」内田 樹 (神戸女学院大学・名誉教授) 現代思想

「住民として市による「都構想」説明会に参加した。住民は「行政サービスの消費者」…(中略)…というのが市長の「住民自治」であった。自治体としての形はもちろんだが、住民も「消費者」に成り下がってしまってよいのかという問いが突きつけられている。 栗本裕見 (大阪市立大学・特別研究員) 政治学

「市の廃止は「大阪市」という一つの社会有機体の「死」を意味し、柳田国男が徹底批判した「家殺し」に他ならない。」 藤井 聡 (京都大学大学院・教授) 公共政策論、国土・都市計画

橋下政治の最大の罪は、同じ大阪人の間に内部対立を煽り立てたことにある。以前の大阪は、支持政党や思想信条の違いがどうであれ、もっと人情味に溢れた街であった。だが、今の大阪には刺々しい相互対立が蔓延している。…(中略)…真の「One Osaka」は、役所や行政の形式ではなく、人々の心の中で実現すべきものなのである。薬師院仁志 (帝塚山学院大学・教授) 社会学

私には「失うものは確実だが、得られるものは全く不確実」な改革の典型だと思えてなりません。(柴山桂太 京都大学准教授 経済思想・現代社会論)