無情の世にも、天国の扉は開かれり~世界の歌姫オフラ・ハザの生涯 | Fleur De Vie

Fleur De Vie

人生に花を咲かせよう

最近聴いているのが、イスラエルの女性歌手オフラ・ハザ(עפרה חזה、Ofra Haza)です。

※今回はがんばって調べたつもりですが、間違いがあれば大変申し訳ありません!
死因や年代表記などが情報ソースによりまちまちなため、個人的に妥当だと思われる所を採用しております。

2000年2月23日に42歳の若さで亡くなっており、その死因は輸血によるHIV感染が引き起こした多臓器不全だといわれています。
ただ不明な点も多く、果たして反シオニズム(パレスチナ解放を強く願った)の立場が関係しているのか…?(あくまで個人的な見解ですm(_ _ )m)

当時の首相エフード・バラックが、その死に哀悼の意を表すほどの国民的歌姫。

「オフラはハティクヴァの貧民町から身を起こし、イスラエル文化の頂点を登り詰めた。
 彼女は我々全てに偉大な足跡を残してくれた」


彼女の訃報と共に全イスラエルのラジオ局がオフラの曲を流し続けて、喪に服したといわれています。
葬儀も国葬級だったとか。

1957年、イエメン共和国(中東・アラビア半島の西南端)生まれのミズラヒーム(イエメン系ユダヤ人)。
1962年、軍事クーデターにより当時のイエメン王国が崩壊。イエメン・アラブ共和国が成立するも、北イエメン内戦が勃発(~1970年)。難民生活を余儀なくされる。
9人兄弟の末娘である彼女を含めた一家全員が徒歩で砂漠を縦断し、イスラエルへ。

12歳で地元の劇団へ入団、多数の歌をレコーディング。
18歳でレコード・デビュー、2年間の兵役義務(!)。
数々の賞を授賞しイスラエルの最優秀女性歌手にも選ばれ、国民的歌手に。

1988年にリリースされたアルバム「Shaday」に収録された
「Im Nin'Alu(イム・ニン・アル)」
の原曲がヒップホップ・アーティストのエリックB.&ラキム(ERIC B.& RAKIM)マーズ(M/A/R/R/S)にサンプリング・ソースとして使用され、クラブシーンに浸透。
これを機にシングルカットされ、同年4月には全英チャート15位を記録。イスラエルから世界的歌姫へ。
★Ofra Haza - Im Nin Alu [1988] (Original Music Video from DVD source)


エリックB.&ラキム「PAID IN FULL(ペイド・イン・フル)」。
マーズの「Pump Up The Volume(パンプ・アップ・ザ・ヴォリューム)」はアレンジされすぎて原型を留めていないので、パスしました(。-人-。)
★Eric B. & Rakim - Paid In Full


1984年の「Im Nin'Alu」。
プロのシンガーだった母よりイエメン民謡を学んでいたことから、イエメン民謡をアレンジしたアルバム「YEMENITE SONGS(イエメン・ソングス)」をリリース。
両親に贈るつもりで録音したものだそうですが、それが欧米で大ヒットに。
★Ofra Haza - Im Nin'alu (Original Version - 1984)


1978年の「Im Nin'Alu」。
劇団ハティクヴァ(shechunat Hatikva:イスラエルの国歌と同名で「希望」という意味)でのワークショップ。
オフラ・ハザの原点ともいえる曲ですね。
※後にオフラのマネージャーとなるベザレル・アローニの監督下にある劇団名は「Matika」(CD「desert wind」のライナーノーツより)説もあり。抗議活動(政治的??)を行っていたようです。
★Im Nin'Alu - Ofra Haza


2000年の「Im Nin'Alu」。
どんどん洗練されていきますね!
★Ofra Haza Im Nin Alu 2000


1989年、第18回目の東京音楽祭 世界大会でグランプリを獲得した「Im Nin'Alu」。
80年代後半のエスノポップ・ワールドミュージックブームの火付け役として、日本でもその名は知られていたのでした。
★Ofra Haza / IM NIN' ALU


1989年、貴重な日本でのライブ映像。始めはインストゥルメンタル、3分頃に「Im Nin'Alu」が始まります。
★Ofra Haza - Live in Japan, 1989 Full show


個人的に好きな歌です。美しい映像は必見ですよ!
★Ofra Haza - You


あまりに重い、黄金の聖地・エルサレムの歴史。
オフラが願った「パレスチナが開放される日」は、やってくるのでしょうか…。
★Yerushalayim Shel Zahav - Ofra Haza


Forgivenessとは「許し」の意で、長く荘厳なインストゥルメンタル。
出てくる歌詞は、聖書の一節だそうです。
★Ofra Haza - Forgiveness


「Im Nin'Alu」とは…

無情の世にも、
天国の扉は開かれり。


↑は私なりの言葉に置き換えてみましたが、簡単にいえば「幸福の扉」。
「If there be no mercy left in the world, the doors of heaven will never be barred.(世界から慈悲心が無くなったとしても、天国への扉は常に開いている)」
という意味なのだそうですよ。

「I love you(愛しています)」の意味合いで使われている、とも。

紛争の多い地区に生まれた彼女がこの言葉を世界へ広めたのも、神の思し召しであったのでしょうか…。

Shaday (Mcup)/Ofra Haza

¥827
Amazon.co.jp

Yemenite Songs (Jewl)/Ofra Haza

¥1,055
Amazon.co.jp