●全日本柔道連盟の不祥事から考える公益法人のコンプライアンス | 公益認定専門の行政書士 齋藤史洋「知って得した起業・独立で法人をつくる話」 株式会社,合同会社,NPO,社団設立,財団設立,公益認定

公益認定専門の行政書士 齋藤史洋「知って得した起業・独立で法人をつくる話」 株式会社,合同会社,NPO,社団設立,財団設立,公益認定

法人設立の専門家 銀座の行政書士 行政書士齋藤史洋事務所 齋藤史洋です。株式会社,合同会社,LLC,NPO,社団設立,財団設立,公益認定。公益法人移行の実績多数。ご相談は年間100件以上。

公益認定の専門家
銀座の行政書士 齋藤史洋です。


いつもありがとうございます。

仕事柄、公益法人やNPO法人の不祥事は興味深くチェックしています。

最近特に気になっているのは、全日本柔道連盟ですね。

<全日本柔道連盟 公益法人の適格性疑う>
http://mainichi.jp/opinion/news/20130325k0000m070115000c.html


<助成金不正受給の全柔連「組織ぐるみの詐欺罪」架空計画書の書き方も指示>
http://www.j-cast.com/tv/2013/03/25170884.html


暴力的指導やセクハラ、助成金の不正受給。

このような状況が事実だとすれば、全日本柔道連盟は公益法人ではなくて、単なる犯罪者集団ではないのかと思ってしまいます。

このような不祥事を起こした公益法人を他山の石として冷静に分析することは、まじめに活動を行いたい公益法人のコンプライアンス向上に役立ちます。

そこで、「暴力は許せない!」「ハラスメントは許せない!」などの情緒的な憤りではなく、どのように公益認定法に違反しているのか、公益認定法の観点から簡単に考察してみます。

1.公益認定法第5条第1号違反の可能性


公益法人は、公益目的事業を主たる事業とする必要があります。

具体的には、公益目的事業比率が50%以上である必要があります。

ここで、暴力やセクハラが蔓延しているような団体の活動が、「公益目的事業」に該当するか否かが問題になります。

一般的に、スポーツ団体の公益法人は、スポーツ・競技を通じて「国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養すること」(別表9号)に該当する公益目的事業として公益認定を受けています。

しかし、選手に対する暴力的指導やセクハラをよって成り立つ事業を通じて、「国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養すること」は、一般市民の良識から考えると難しいでしょう。

そうすると、事業内容がそもそも公益目的事業に該当しないことになりますから、公益目的事業比率が50%を下回り、公益認定法5条1号違反となります。

公益認定法5条各号の基準を満たさない公益法人に対しては、行政庁は公益認定を取り消すことが「できます」(認定法29条2項・任意的取り消し)。

2.公益認定法第5条第2号違反の可能性



公益法人は、公益目的事業を実施するに足りる「技術的能力」が必要とされます。

「公益活動を実施します!」という口先だけでは公益認定は受けられません。

公益活動を実施できるだけの能力やノウハウがあること、人員や設備等が整っていることが求められます。

ここで、暴力やセクハラによる指導を行うスポーツ団体に、「技術的能力」があるか否かが問題になります。

暴力やセクハラによる指導を行うなんて、スポーツ団体の指導としては最低ですよね。

スポーツ団体としての適切な指導能力が欠如していることの表れと言えます。

このように考えると、公益目的事業を実施するに足りる技術的能力が欠如していますから、公益認定法5条2号違反となります。

公益認定法5条各号の基準を満たさない公益法人に対しては、行政庁は公益認定を取り消すことが「できます」(認定法29条2項・任意的取り消し)。


3.偽りその他の不正の手段により公益認定を受けた可能性


上記のような違法・不正な状況は今に始まったことではなく、かなり昔から、つまり、公益認定申請時点でも存在した可能性があります。

仮に公益認定申請時に暴力やセクハラの問題が明らかになっていれば、そもそも公益認定を受けられなかったはずです。

八百長問題が発覚してしまい、公益財団への移行が難航している相撲協会の例を見れば分かりやすいですね。

そうすると、暴力的指導やセクハラのような違法・不正な状況が存在するにも関わらず公益認定を受けたとすれば、そのような状況を隠ぺいして、真実を偽って公益認定を受けたことになります。

偽りその他の不正の手段により公益認定を受けた者は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金です(認定法62条1号)。

偽りその他の不正の手段により公益認定を受けた公益法人は、行政庁から公益認定を取り消されます(認定法29条1項2号)。

これは必要的な取り消しです。

行政庁は必ず公益認定を取り消さなければならないことになっています。

あれ?全日本柔道連盟って、既に終わりじゃないですか?

<全柔連立ち入り検査検討 内閣府の公益委、助成金問題で>
http://www.asahi.com/sports/update/0325/TKY201303250039.html

全日本柔道連盟の理事らが選手を指導していないのに日本スポーツ振興センター(JSC)から指導者を対象とする助成金を受け取っていたとされる問題で、内閣府の公益認定等委員会が全柔連の立ち入り検査を検討していることが25日分かった


流石に内閣府も重い腰を上げましたね。

このような法人の公益認定は、内閣府・公益認定等委員会の威信にかけても取り消すべきでしょう。

全日本柔道連盟から公益認定申請サポートの依頼を受けてなくて良かったです(笑)

私が顧問先の公益法人にも常にお話していることですが、公益法人は実体が重要です。

形式に書類を整えて公益認定を取得すればいいという問題ではなく、法令順守の体制も含めて公益法人に相応しい実体を形成することが最も重要になります。

私が、公益法人化を目指す団体から依頼を受けて公益認定のサポートをする際にも、実体の形成を最も重要な課題としてお手伝いをしています。

公益法人として相応しい実体が形成されれば、公益認定申請書類は後から勝手に出来上がります。

そんな感じです。

不正行為が蔓延しているような実体を隠し、形式的な書類だけを整えて公益認定基準を潜り抜けた「似非公益法人」は、遅かれ早かれ不祥事が暴かれて、市民からの信頼を失います。

これから公益認定を目指す団体や既に公益法人化した団体は、ニュースで話題になるような不適切な公益法人を反面教師として、市民から信頼される公益法人として誠実な活動を積み重ねることが大切です。

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