安倍総理サイドがメルマガの内容が虚偽であったことを一審、二審で認めたと私がブログで述べたことについて、複数の方から質問がありました。一審、二審の裁判記録を見ていただければ明らかになりますが、要点だけまず説明しておきます。

 

 安倍総理は2011年5月20日付のメルマガで、次のように書いています。「12日19時04分に海水注入を開始。同時に官邸に報告したところ、菅総理が『俺は聞いていない!』と激怒。官邸からの電話で、19時25分に海水注入を中断。(中略)やっと始まった海水注入を止めたのは、なんと菅総理その人だったのです。」そして翌日、安倍総理のコメント付きで同じ内容の報道が読売と産経新聞の一面に掲載されたのです。

 

 しかしその後5月26日になって、東電自身が海水注入の中断はなかったと発表。5月27日付の各紙が報道。また吉田所長の調書でも海水注入の中断を東電の武黒フェローから指示されたが、吉田所長は自らの判断で海水注入を継続したと述べています。

 こうした東電の発表もあって、安倍総理側は裁判の過程でメルマガで述べた「海水注入の中断があったと」いう主張を取り下げ、「菅総理が注水を止めた」というメルマガの主張もしなくなりました。

 
 つまり、安倍総理が最も強調してメルマガの読者に伝えようとした、「やっと始まった海水注入を止めたのは、なんと菅総理その人だったのです」との記述がウソであることを安倍サイドは裁判の過程で認めたのです。問題のメルマガは裁判が始まった時点では削除も訂正もされずに、アーカイブとして公表されていました。こちらから訴状で求めた削除要求は拒否しながら、裁判の進行過程で安倍サイドは問題のメルマガを一方的に削除しました。つまり,ウソであることがはっきりしたために安倍サイドが自ら削除したのです。
 
 以上が安倍総理サイドがウソを認めた過程です。
 
 裁判所はそうした安倍総理のメルマガの内容が間違い、つまりウソであったことは十分認識しながら、それでも「名誉毀損には当たらない」と判断したのです。政治家同士の争いに巻き込まれるのを避けたのかもしれません。納得のいかない判断です。
 
 裁判記録を読みたい方には申し出ていただければ協力します。もっとも膨大な量なので、ポイントだけを読んでいただければよいと思います。