体軸DOJOでは体軸Bodyworkを通じて人が動く基礎をつくっています。
今回はコースや体軸DOJOで行うオリジナルワーク「軸プッシュ」についてご紹介します。
軸プッシュとは体軸を強める目的で行っているペアワークです。
肘を曲げている方が攻め手。肘を伸ばしている方が守り手です。対面して手の平を合わせて、肘を曲げている攻め手が肘を伸ばしながら相手を押していき、もう一方の守り手が肘をのばしたまま耐えるというワークです。
体軸DOJOでは体軸Bodyworkを行う前後で、その後の方が軽い力で相手を押せるようになることを体感頂いています。
内くるぶしの下は体軸ライン上を通過する部位であり、この部位の体性感覚を促通するこで、そこに関わる体軸ライン上のインナーマッスルが促通されたり、足部機能など身体を機能的に使いやすくなることで重心が安定し、効率的に力を発揮できるからです。
ゆるむことで、相手の力を吸収できるため守り手は力を伝達できなくなります。 (起き上がり動作で普通のベッドよりエアマットの方が起き上がりにくい。普通の道より砂浜の方が走りにくいなどは、加えた力を吸収され反作用の力をつかえないからです)
つまり軸プッシュは筋を固めることで力を発揮し強く押そうとしても、相手はその抵抗(反力・反作用)を感じさらに押さえ込みやすくなってしまいます。だからゆるむことで、守り手が抵抗できなくなる状態をつくることで、相手を押しやすくなっているのです。
ここで重要なことはただゆるむだけでは、グチャッと潰れてしまうし、相手に力を伝えることができません。ですので相手を押すための力(固める)も必要になるわけです。 つまりゆるめることと固めるという一見「二律背反」なことをメタ制御するシステムが必要で、これを可能にする体性感覚として重要視しているものが体軸であるということです。
こにように軸プッシュというワークは、ただ固めるだけの、筋力(ラフパワー)に頼ったトレーニングではなく、ゆるめながら固めるということを行うことで、最小限の力で最大の力を発揮できる状態(レフパワー)をつくるトレーニングを行っているということになります。
これを可能にする意識の使い方が
1.調和 2.支点揺動
ということで軸プッシュで身につけていきます。
◆調和とは◆
押すと押されるの間の状態、押してでも押されてでもない、相手と一体化している状態のことをいいます。
この状態は身体も思考もニュートラルな状態です。例えば思考がニュートラルな状態でない場合、考えすきだり、悩んでいると身体も固まってしまい相手を押すことができません。 逆に身体も思考もニュートラルな状態であれば、相手はどこが固まっているかなど相手の情報を捉えやすくなり相手を押すことができます。
実はこの調和というのはセラピストにとって重要である変性意識に入りやすくなる状態であるとも言えます。 例えばセラピスト側が治療において無理矢理変化させようとしても、 相手が変化しようせず、壁を作ってしまえば変化はしません。つまり、臨床上では変化する様な「状態(変性意識)」にする事=「調和」が患者の治療結果を左右する上でポイントになるのです。
この調和という状態は様々な体性感覚を使って行えますが、体軸リハでは体軸(3軸)を使って調和することを重要視しています。
◆支点揺動とは◆
両者が手の平を合わすと、守り手はフィードフォワード機構等で押されないように自分の身体を無意識に固めます。 攻め手はこれに対しさらに固めて返そうとすると、守り手に反力(反作用)が伝わり、どれくらいの力がどこから、どの方向に伝わるか予測されやすくなるため、守り手はその力に抵抗しやくなります。結果攻め手は押せません。
攻め手が押すには、上肢で押す方向(作用点)は同じ、自分の今もっている筋力(力点)も同じ条件で、どう相手を押していくかとなったときに、自分の支点となる部分を変えることが必要になるわけです。
攻め手が支点をずらす(支点揺動する)ことで、守り手は反力を認識できず押し返せない状態、フィードフォワード機構で予測できない状態をつくりだせます。 この状態で押されると、守り手はどのように押されているか分からないまま、一瞬の間に押されてしまうという現象がおきます。
攻め手が
このように、軸プッシュを通じてゆるみながら力を発揮する(調和と支点揺動を使って押す)ことで、どんどん無駄な力がゆるむ、ゆるむから軸ができ、軸ができるからさらにゆるむということで体軸を強めていきます。
結果として筋力に頼らない身体の使い方、最小限の力で最大の力を発揮できる状態を身につけていくのが軸プッシュというワークです。
はじめは分からなくても、やり続けていると体感として掴めてきます。そして鍛錬し続ける事でもっと臨床は変わってきますので、あせらずあきらめず継続し自分の体軸を確かなものにして行って下さい。