ウレタン系断熱材の火災時の怖さを認識して使用していますか。 | スズキ建築設計

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スタッフの日頃感じていること

ウレタンは、別名、カルバミン酸エチル、又は、エチルウレタンと呼ばれ、性状は、無色の結晶性の固体または、白色の粒状粉末(融点49℃)。水に良く溶ける。昇華しやすい、物質です。(*1)

 

私達も、日常の生活の中でも、身近なところで、ソファーのクッション材、まくら、食器洗いのスポンジ、衣料品のパット、車の座席クッション下地等々と、日常の生活の中であれもこれもと思うほど至る所に使用されています。

たぶん、生活していて、ウレタン製品にいつも関わりの無い生活はない程、身近なものになっています。

 

建築の世界では、マット状になっているものや、発泡の吹き付けのものなどの断熱材や、すき間塞ぎの用途などで、無くてはならないものです。

 

ウレタンは、あまりも身近で日常使用しているためと、難燃剤の混入や処理がされていて、表示も「難燃処理」や、「難燃性」とかの表示で、燃えにくいと勘違いしている方が多いのかもしrてません。

 

先日、犠牲者の方が発生した、ウレタン断熱材のビル火災でも、新聞記事にあるように、「火事と伝えられて、5秒ほどで、黒煙に‥」とあるように、元々、石油由来の製品です。

 

最近では、断熱性能の数値競争や、大工職人不足によるグラスウール断熱材などの繊維系断熱材の作業軽減、作業者の作業ムラによる断熱性能低下などと、断熱性能が良いとか、作業がしやすく、すき間を造りにくいと言うことで、ウレタン吹き付け断熱施工も、住宅建築で多くなってきているようで、それを売りにしている住宅施工会社もあります。

 

製品には、メリット、デメリットがありますので、現場作業者はもちろん、エンドユーザーにも、良い部分だけでなく、マイナス部分も充分に説明をすることが大切です。

 

2018年7月27日 読売新聞

多摩・ビル火災

「気づいたら煙の中」 ウレタンに引火か

 

2018年7月27日 読売新聞

多摩・ビル火災

ウレタンの危険性認識 安藤ハザマ 消火役を複数配置

 

*2015年4月28日 読売新聞

発泡ウレタンに溶接作業中に引火か

 

実は、

2010/03/03 BIGLOBEウェブリブログで、ウレタン系断熱材について、ブログしていました。

ウレタン系断熱材が爆燃性とシアンガスが発生することを知っていますか。

環境共生住宅や、エコハウス、省エネ住宅、気密住宅、環境によい住宅などと、住宅の宣伝や広告のチラシなどでつくられたイメージで、住宅を選択している人たちが少なくありません。

日本のユーザーは、企業規模や、企業イメージ(広告会社が作り上げたイメージ)、ブランドで、バッグを買うような感覚で選択していませんでしょうか。
住宅に使用している建材などに、こだわって家づくりをしている人たちも多いのですが、こだわらない人たちも多いようです。

実は、断熱材の種類で、ウレタン断熱材があります。
このウレタン断熱材は、住宅にも多く使用され、また、マンションやビルなどにも使用されています。
このウレタン断熱材ですが、環境に対しても、住宅で生活する人にも有害で、危険を部分を持っているにもかかわらず、断熱性能が高いとか、価格が安い、施工性がよい等と、メリット部分だけが強調説明され、デメリットについては、「国が、国土交通省が認可している断熱材で安心です。」という説明をして、ユーザーもそれで納得して使用を許可しているのです。

ウレタン建材を断熱材として使用するには、空気の細かい泡を発生させて、この泡が断熱性を持つのですが、この泡を発生させるのにフロンで発泡させるのです。
フロン発泡と言われています。

このフロンは、オゾン層を破壊する物質なのです。このフロンが、ウレタン建材の中に大量に残っているのです。
また、オゾン層破壊だけでなく、温暖化促進効果(温室効果)が、二酸化炭素Co2の数千倍もあるのです。

最近では、オゾン層破壊や温室効果が大きな問題となっているので、代替フロンに切り替えていますが、この代替フロンも、温室効果は、二酸化炭素CO2に比較して、約2万倍以上もある物質なのです。

業界も環境問題に取り組んだ姿勢を見せないと、企業パッシングにあうので、一応取り組んだ姿勢を見せて、ノンフロン化に取り組んでいますが、2007年度で、約6%程度なのです。
それもフロン対策と言っても代替フロン程度なのです。

今まで、市場に出荷され、多くの建築物や住宅に使用されたフロンガス入りウレタン断熱材はそのままの状態です。

この今まで出荷されたフロン発泡ウレタン建材の量が、想像を超える量で、これらが、将来、建物解体などで、発生する量は、恐ろしく大量なの国や業界は、アスベストのように大きな社会問題になるまで触れないでいるのではないでしょうか。

しかし、未来の子供達に、オゾン層破壊と温室効果と言う、大きな負の遺産を私たちは送ってしまうのです。

もっと身近な問題は、ウレタン断熱材は、爆燃性と、燃焼時に発生する有毒ガスのシアンガスの問題があるのです。

ニュースにもなりました、建設中の高層住宅のエレベーターシャフトのウレタン吹付け断熱材の火災などの例もあります。

爆燃の事故については、東京の葛飾区において、入居中のアパートで、壁の中のウレタン断熱材にどのようにして引火した原因は不明ですが、内壁が吹っ飛んだという事故が発生しています。

引火し、燃焼時には、シアンガスが発生し、毒性も強く、死亡に至らせます。

このような、ウレタン断熱材が使用された住宅が、なぜ、環境に優れた住宅なのか、私には理解できません。
断熱性能が、良ければそれでよいのですか。

国は、今まで大量に使用され、今も認可をし、使用され続けられているので、業界に対しての影響が大きいので、触れることが出来ないという噂を聞きましたが、本当ですか。

アスベストのように、社会問題になったときに、企業責任を問うよりも、私たちの税金で対処するつもりですか。
 
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ここまでが、2010/03/03 BIGLOBEウェブリブログの内容です。
 
このブログを書いたところ、このような反響もありました。
 
 
私は、国産材や自然素材などを使った住まい造りに関するブログが多いので、私が、ウレタン系の断熱材を使用したことがないと思われるかもしれませんが、実は、1987年頃には、F級(フリーザー級)の魚介類関係を保管する -30℃以下のF1級の水産加工会社の作業加工場や冷凍倉庫の設計、施工監理を数物件、関わっています。
 
当時の発泡ウレタン系断熱材は、環境への悪影響が少ないものはなく、第1世代 CFC11での発泡ウレタンのフロン発泡や、冷凍機の冷媒などは、二酸化炭素に比べて、数千倍から1万500倍の温室効果と言われ、更に、オゾン層を破壊するフロンが使用されていました。
 
環境に配慮した建材の使用のことや、石油由来の建材を出来るだけ使用しない方向の家づくりなど論じ、国産材や自然素材の家づくりを提唱していますが、非住宅の特に、冷凍設備の場合は、断熱材などは、現在もそうですが、フロン発泡のウレタン断熱材の施工が一般的です。
 
下記の、年表からもわかりますように、1987年~1989年午後は、第1世代のCFC11です。
 
*発泡剤に関する環境対策年表(*2)
 
 
現在では、世界的な環境問題の流れで、地球温暖化効果の高く、オゾン層を破壊する、フロン特定フロン(CFC・HCFC)の使用禁止や、環境に影響の少ない発泡剤の使用に業界全体が努力しているようです。
 
1987年10月竣工
*某魚類・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫の全景

 

*某魚類・加工及びF級(-40℃以下、-50℃未満)F1級の冷凍倉庫の魚類加工場

 

*某魚類・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫の冷凍倉庫

夏場でも、冷凍倉庫に入庫すると、鼻毛も眉毛も凍ります。((^0^))

 

この冷凍庫で、仕上げで見えている壁部分は、ホワイトキ-ストンプレート t-0.8㎜ですが、壁内部は、150㎜の厚みで、発泡ウレタンを吹き付けています。

 

*某魚類・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫の冷凍用の機械室

この当時は、冷媒は二酸化炭素に比べて、数千倍から1万500倍の温室効果と言われ、オゾン層を破壊するフロンです。

 

F級の冷凍設備については、当時、江東区にある、前川製作所がダントツに強く、こちらの設備はお願いしました。

 
実は、現場を工事している、1987年に、アメリカで、ウレタン断熱材の大きな事故があり、ウレタン断熱材は、難燃性があると言われていましたが、私達の現場でも、作業所長から、冷凍倉庫の工事では、大量のウレタン発泡をして、冷凍倉庫を使用するので、タバコなどの喫煙はもちろん、厳重に注意が、出入り業者、職人にまで伝達されました。
 
難燃性と言うことが、燃えにくいと勘違いしてしまうことが怖いところです。
 
また、この当時は発泡ウレタンの発泡は、環境に影響の大きいクロロフルオロカーボン(CFC)が使用されていましたが、最近は、環境に影響の少ない代替フロンが使用されています。
 
但し、エアコンや、冷凍設備やヒートポンプなどの冷媒に使用された、規制前のフロンや、発泡ウレタン建材に使用されたフロンガスの適正な回収が大切ですが、実際はコストや回収方法、コントロールの問題があり難しいようです。
 
このようなフロン発泡の場合は、解体時には、大量のフロンの回収、及び、改修方法、解体方法が解体業者への伝達、義務化などが今後の課題です。
 
話は、脇にそれますが、私の体験でも、公共建築物の大型エアコン機器の撤去の場合は、フロン回収の予算も組んであり、フロン回収の施工工程の写真、回収証明書等を提出しますが、民間の場合は、建築物のオーナーが、ムダな費用として、フロン回収をしないだけでなく、スクラップとして金属回収業者に売り払って、既に経理上は原価償却されているので、小遣いにしてしまう業者はすくなくありません。
 
このようなことが現実です。
 
1989年10月竣工
*某水産会社・本社社屋・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫併設の全景

 

*某水産会社・本社社屋・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫入り口

 

*某水産会社・本社社屋・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫併設の冷凍倉庫

天井:断熱パネル厚さ120㎜

壁:仕上げ材+断熱材・ウレタン断熱材吹き付け厚150㎜+防湿層+建築外壁材

床:仕上げ材・押えコンクリート厚120㎜+防水層+ポリスチレン成型板・耐圧品厚200㎜(75+75+50)+防湿層+アスファルト防水

・約30年近く経過していますが稼働しています。

 

*某水産会社・本社社屋・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫併設の冷凍倉庫

 

*某水産会社・本社社屋・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫の冷凍用の機械室

この当時も、冷媒は二酸化炭素に比べて、数千倍から1万500倍の温室効果と言われ、オゾン層を破壊するフロンです。

 

F級の冷凍設備については、当時、江東区にある、前川製作所がダントツに強く、笑い話ですが、コストダウンをするために、他の東証一部上場のプラント会社がアプローチをして来ていたので、そちらと打合せをしていたら、当事務所の前川製作所の担当者が、そのプラント会社の担当者で、情報が筒抜けで、他社に浮気をしているのがわかり、当時、冷凍機器の世界では、F級の冷凍設備は当社に来ますといわれ、業界の狭さと、その世界で、トップになり、君臨していることのすごさを体験しました。

 

それからは、F級の冷凍設備は、前川製作所ですね。((^0^))

マイコンです。

 

1989年9月竣工

*某イカ類等加工水産会社・本社社屋・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫併設の全景

 

*某イカ類等加工水産会社・本社社屋・加工及びF級(-30℃以下)F1級の冷凍倉庫

 

冷凍設備の発泡ウレタン建材の使用した、物件を掲載しましたように、ウレタン建材も使用してきています。

 

建材には、裏表があるように、長所、短所がありますが、特に住宅建築については、高気密断熱の家や、ZEH(ゼロエネルギーハウス)の住まいづくりの方向に国も舵を取るようになっていると、断熱材なども断熱性能値の数値のみがピックアップされ、マイナス部分のデメリット部分の説明を行わないで、数値のみで選択するのではなく、火災はもちろん、日本は自然災害の多い国です。

 

火災時に延焼促進や、有害ガスの発生、床下・床上浸水被害の時に、再利用不可能のため、廃棄処分とするのか、更には、それらの廃棄物の処理時の有害揮発ガスや大地に還らないものなのかなども考慮して、エンドユーザーにも説明し、理解を得ておく必要があります。

 

建材についての環境や健康についての問題が発生しても、その時は話題になりますが、その後は話題にも名なら無くなり、私達の環境や健康を著しくむしばんでいます。

 

例えば、

・クロルデンの防腐防蟻処理、

・木材の防腐防蟻処理のCCA(クロム・銅・ヒ素)溶液による処理木材の最終処分、

・ヒ素含有の石膏ボードの処理

(古い建物解体で、石膏ボードの製造年度や製造メーカーを調べて解体することは皆無です。)

・アスベスト材の処理、

(これなどは、公共建築物や、大型物件等の対応は、行っていますが、中小物件の解体は不法解体も多いようです。

アスベスト含有建材が、リサイクル砂利、リサイクル砕石(RCR)に、混入していて、駐車場などに再利用されていることも目にします。)

・産業廃棄物の適正処理

(マニフェストにより、管理をされていると言いますが、いつどんなかたちで、チェック管理しているのということです。

産廃を依頼した業者が、不法投棄した時には、マニフェストは役に立ちますが、‥)

・エアコン等空調設備機器、ヒートポンプ機器などの冷媒として使用されているフロンガスの適切な回収

(公共建築物の空調設備機器の交換や廃棄の場合は、適切な回収するための予算は組まれるが、民間の場合は、コスト主義で、適切に回収されることはあるのかな。

エアコンアドも、金属回収業者に売却し、現金収入にしているケースを多く見かけます。)

・発泡ウレタン建材の、フロン回収などは、行えない状況ですね。

 

ウレタン材は、私達の生活の隅々にまで張り込み、私対も日々使用してて、大変便利に使っています。

その一方、ウレタン系断熱材は、高気密高断熱住宅づくりを国土交通省が推し進めてから、断熱数値を求める家づくりに拍車が掛かり、発泡ウレタン系断熱材の利用が多くなってきています。

 

ユーザーは、リスクや環境に関しての問題などの説明を受けているのだろうかと思っています。

余計なお世話かもしれませんね。

 

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*用語の解説

・特になし

 

*参考・参照文献

*1:有害物質小事典・改訂版 泉 邦彦著 研究社

*2:発泡剤に関する環境対策年表 ニチアス技術資料 2014年1号№364 硬質ウレタンフォームの発泡剤をめぐる環境問題対策のどうこうについて。 より

 

 

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