東京五輪…観客が30人倒れただけで、都心の救急医療体制は破綻する

「オリンピック疎開」のススメ

パニックは必至

「選手が何人か倒れ、観客が30人くらい同時に倒れて救急車を呼ぶと、東京の救急体制がパニックを起こします。そうすると例えば自宅で心筋梗塞の発作を起こし救急車を呼んだ患者さんのところに救急車が来ず、そのために亡くなるといったことが起こる可能性があります」

このコメントは、2020年東京オリンピックの男女マラソンと競歩の会場を東京から札幌に移す計画が発表になった直後のAERA (2019年11月4日号)に掲載された『東京五輪マラソンで救急医療体制が破綻の恐れ? 「パニック起こす」の声』で、中京大学の松本孝朗教授が述べたものだ。

炎天下の中、競技が行われる可能性がある「有明テニスの森公園」(東京・有明)photo by gettyimages
 

松本教授は、一昨年と昨年、東京五輪のマラソンと競歩のコースで「暑さ指数」の実測を行い、熱中症予防の観点からスタート時間繰り上げ等の必要性を訴えていた。

結局、移転騒動は、マラソン、競歩とも札幌開催ということで決着がついたわけだが、実は、マラソンと競歩が札幌に移ったくらいでは、オリンピック時に東京の救急医療体制が破綻する不安は変わらない。

そもそも、「選手が何人か倒れ、観客が30人くらい同時に倒れて救急車を呼ぶ」ぐらいでパニックを来す東京の救急医療体制って、脆すぎないか。

関連記事