2015年03月06日 15時00分22秒

なんでも撥水加工でき摩耗でも性能が落ちない「酸化チタンナノコーティング」が開発される

疎水性(撥水性)を高めて水をはじくさまざまなコーティング剤が開発されており、吹き付けるだけでiPhoneを防水加工できるものも市販化されています。しかし、ほとんどの撥水コーティング剤は耐磨耗性に乏しく、時間が経つにつれて撥水性能が低下するという問題を抱えていました。そんな中、酸化チタンをナノコートすることで、磨耗しても撥水性能を維持でき、さらに水で汚れが自然に洗い流されるセルフクリーニング機能も合わせ持つコーティング剤(以下、「酸化チタンナノコーティング」と表記)が新たに開発されました。

Robust self-cleaning surfaces that function when exposed to either air or oil
http://www.sciencemag.org/content/347/6226/1132

Water droplets bounce off these new self-cleaning surfaces | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2015/03/water-droplets-bounce-off-these-new-self-cleaning-surfaces/

酸化チタンナノコーティングで色々な素材表面を加工した効果は、以下のムービーで確認できます。

lu2 - YouTube

まずはガラス表面にコーティングして、上から水滴を落としてみます。

ガラス表面に当たった水滴は、押しつぶされることなくすべて跳ね返されています。まるで壁にボールを当てて跳ね返しているような光景です。

どんどん水滴を降らせますが、バウンドが落ち着いたいくつかの水滴はガラス表面で静止してしまいました。

次は鉄の表面をコーティング。先ほどと同様に、水滴の雨を降らせます。

ガラス表面とまったく同じようにバウンドする水滴。

ガラス、鉄に続いて柔らかい素材の脱脂綿をコーティング。

柔らかい繊維が入り組んだ表面ですが、問題なく水滴をはじきまくっています。

繊維と繊維の間に挟まれた水滴は球形を保ったままで、中に染み込む気配はありません。

最後はろ紙。

紙素材に対しても、やはり高い撥水性能を示します。

酸化チタンナノコーティングはユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのルー・ヤオ教授が開発したコーティング剤で、酸化チタンをエタノールとトリエトキシ-1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチルシランの溶媒に溶かしたものだとのこと。なお、酸化チタンナノコーティングを施した素材表面は、汚れが付着しても水によって洗い流されるセルフコーティング機能があることも確認されているそうです。

従来のコーティング剤の多くは表面が摩耗したり皮脂などの脂分が付着することで撥水性能が劣化するという難点があったのに対して、酸化チタンナノコーティングは、脂分やひっかき傷、表面摩耗によっても撥水性能が落ちないとルー教授は述べています。油分によってもコーティング性能が落ちない酸化チタンナノコーティングは、撥水処理だけでなくボールベアリングでの表面加工への活用も期待されています。

 

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