2017年12月20日 20時11分00秒

Appleが古いiPhoneの性能を落としていることがベンチマーク統計から明らかに、その狙いは何なのか?

「iPhone 6sのバッテリーを交換したら劣化した性能が回復した」という報告が大きな話題になりましたが、ベンチマークソフトGeekbenchが、この主張を裏付けると推測できる統計を明らかにしました。Geekbenchは、「なぜAppleは意図的にiOS更新によって性能を下げているのか?」を推察しています。

iPhone Performance and Battery Age - Geekbench
https://www.geekbench.com/blog/2017/12/iphone-performance-and-battery-age/

「iOS11へアップデートしてから反応が悪くなったiPhone 6sのバッテリーを交換したら性能が回復した」という事件については以下の記事で確認できます。

iPhoneの反応速度が激遅になる現象は古くなったバッテリーを交換すると治る可能性アリ - GIGAZINE

バッテリー交換で性能が急回復したというRedditの投稿が出されて以降、同じ現象を確認したという報告が相次ぎ、iPhoneのバッテリー性能とCPU性能の関連性について大きな議論となりました。バッテリー性能の経年劣化は一般的でありユーザーも受け入れやすいところですが、CPUの性能が劣化することはユーザーの想定外であり、iOSの更新に合わせて意図的なパフォーマンス低下措置をAppleが採っているならば大問題だというわけです。

「iOSアップデートによって性能は低下するのか?」というiPhone 6/6sユーザーによる疑問に答えるために、ベンチマークソフトGeekbenchが、Geekbench 4で収集されたiPhone 6sとiPhone 7のiOSバージョン別のベンチマークスコアの統計を発表しています。

以下のグラフはiPhone 6sのiOS 10.2.0のGeekbench 4のスコアをカーネル密度推定によってグラフ化したもの。スコア2500弱に鋭いピークがあり、iPhone 6sのベンチマークスコアが2500前後で安定していることがわかります。

これに対して、iOS 10.2.1のiPhone 6sのスコアでは、「1000」「1400」「1700」「2200」に山が現れ始め、ベンチマークスコアにばらつきが生じ始めているのが確認できます。

iOS 11.2.0ではピークはより明確になり、5つの極大値を持つグラフが完成。つまり、iPhone 6sは5種類のCPU性能に分類されることが明らかになっています。

「iOS 11によってiPhone 6sのパフォーマンスが低下した」というユーザーの声が、ベンチマークスコアの統計から明らかになったわけですが、GeekbenchはiPhone 7についても同じような統計を明らかにしています。

iOS 10.2.0のiPhone 7端末のベンチマークスコアは3400前後に鋭いピークがあります。

iOS 10.2.1では、ピークは2つ確認できますが、性能差はベンチマークスコアが3300から3600の範囲内に収まっています。

しかし、iOS 11.2.0ではより低いベンチマークスコアにピークが現れ始めています。この現象はiPhone 6sのiOS 10.2.1とそっくりだとGeekbenchは指摘しています。

GeekbenchはiPhone 6sのiOS 10.2.0とiOS 10.2.1とを比較することで、「iPhoneの性能が低下するのはiOSのソフトウェア都合によるものだ」と結論づけています。iOS 10.2.0とiOS 10.2.1というリリース時期が極めて近いソフトウェア間で明確な差が出ている以上、ハードウェアの劣化という物理的な障害が原因だとは考えづらいというわけです。

今回の結果から、iPhoneが古くなるにつれてベンチマークスコアが悪化する傾向にあるのがわかりました。そして、Redditで指摘されている、「iPhone 6sが予期せぬシャットダウンを起こすというバグは、バッテリー交換プログラムによっても修正できなかったため、AppleはCPU性能を意図的に落とすことでシャットダウンを防ごうとしている」という指摘と親和性を持つ結果だと言えそうです。

ただし、これまでのところ「突然のシャットダウン」不具合が報告されていないiPhone 7についてもAppleがiOS更新を通じてパフォーマンスを低下させているように見える点は注目に値します。「最近、iPhoneの動きが遅くなったってきたなぁ」と感じるiPhoneユーザーが、「バッテリーが劣化しているからだ」と考えるのではなく「iPhoneが劣化しているからだ」と考えれば、ユーザーのiPhoneの買い換え行動を促すことになるためではないか?とGeekbenchは指摘しています。

・つづき
「iPhoneは早ければ1年後に性能が落ち始める」のをAppleが正式に認める - GIGAZINE

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