2018年06月15日 07時30分00秒

「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」というイメージはどこから来たのか?

「赤ちゃんはコウノトリが運んでくる」というイメージは日本やアメリカだけではなく、わりとグローバルに通用するものです。一体、どこからこのようなイメージが出てきたのか、その由来を掘り下げると、童話だけではなく神話にまでつながる部分がありました。

What’s Behind the Myth That Storks Deliver Babies?
https://www.livescience.com/62807-why-storks-baby-myth.html

現代の「赤ちゃんはコウノトリが運んでくる」というイメージに大きな影響を与えたのが19世紀の童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンであることは、まず間違いありません。1858年5月に刊行された「童話と物語の新集 第一巻第二冊」の中の一遍「沼の王の娘」に、子どものいないヴァイキングの夫婦にコウノトリが子どもを届けるという、まさにイメージ通りのくだりが登場します。

「コウノトリが赤ちゃんを運ぶ」という考え方自体はアンデルセンの創作ではなく、中世ドイツやノルウェーで確立されたものだと考えられています。当時、夫婦の婚姻は夏至の間に行うことが一般的で、夏に妊娠して翌春に出産するという事例が、渡り鳥のコウノトリが春に戻ってくることと重なって、「コウノトリが赤ちゃんを運んできた」というイメージが定着したというわけです。

一方、イギリス・チチェスター大学の英文学者であるポール・クインさんは、中世ヨーロッパの文学では「ペリカン」を若返りや若者の成長に結び付けていたので、この「ペリカン」が「コウノトリ」に置き換わったのではないか、という見方を示しています。

なお、古代ギリシャの著作家アントニヌス・リベラリスの「変身譚(Metamorphoses)」第16章に出てくるピュグマイオイ(小人族)の女性・オイノエ(オエノエ)の話が「鳥が子どもを運ぶ」のイメージにつながる起源である、という見方も興味深い意見です。

オイノエは「非の打ち所のない美女」でしたが、信心だけはなく、女神であるヘラやアルテミスを敬おうとしませんでした。これがヘラの怒りを買い、あるときヘラによって「高く飛ぶ鳥であるべきだ」と、鶴へと姿を変えられてしまいました。オイノエは息子モプソスのことを気にして家へ飛び帰りましたが、ピュグマイオイたちは誰も鶴がオイノエだとは気付かずに武器を持って追い払い、以後、鶴とピュグマイオイは戦う間柄になったそうです。収録されている話はここまでですが、「オイノエが息子と再会していたら」という仮定から「鳥になったオイノエが息子を連れて行く」というイメージが描き出される余地はある気がします。

ちなみに「コウノトリが子どもを運ぶ」ときは、かごに入れたり布にくるんだりしているイメージがありますが、新生児の後頭部にできるあざのことを「コウノトリの咬み痕」と呼ぶそうなので、直接くわえているのかもしれません。

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