よみがえれ女子プロレス人気! スターダム買収の木谷オーナー、アイデア続々披露

スポーツ報知
ブシロードの傘下に入ったスターダムの選手たちは、スターダムの「S」マークで新体制を盛り上げることを誓った

 新日本プロレスの親会社である総合エンターテインメント企業のブシロードが、女子プロレスの運営に乗り出す。17日、女子プロレス団体「スターダム」が、ブシロードのグループ企業でキックボクシング「KNOCK OUT」を運営するキックスロードと事業譲渡契約を締結。キックスロードは12月1日付で「ブシロードファイト」に改称し、KNOCK OUTとスターダムの運営を担う。ブシロードグループはプロレス、キックボクシングに続いて3つ目の格闘技団体を傘下におさめることとなった。

 スターダムは2010年、女子プロレス界のプロデューサーであるロッシー小川(小川宏)氏が設立し、2011年に旗揚げ興行を行った。「今を信じて、明日に輝け!We Are STARDOM」がキャッチフレーズ。岩谷麻優、星輝ありさ、木村花、林下詩美など、平均年齢21歳の若手女子レスラー26名が所属し、かつては紫雷イオや宝城アイリ、高橋奈七永(旧名・高橋奈苗)、グラビア出身の愛川ゆず季らもリングに上がった。

 木谷高明オーナーは、約2年前から女子プロレス運営の構想があり、リサーチを始めたと明かした。当初は新日本に女子がいないことから新日本と女子プロレスの融合を構想したが、スターダムを実際に観戦して女子プロレス自体にライブエンターテインメントとしての魅力があると考え、傘下に加えることにしたという。木谷オーナーは〈1〉選手が試合をする環境の整備、〈2〉ブシロード主催のイベントやテレビ番組、CMなどへの出演で露出を増やす、〈3〉ライブエンターテイメントとしての魅力の発信と、以上3つの目標を掲げ、「(スターダムを)もっともっと大きなものにしたい。いろいろな新しいことをどんどんやっていきたい」と意気込む。70年代にビューティ・ペア、80年代にクラッシュギャルズが一世を風靡(ふうび)し、90年代には全日本女子、JWP、LLPWなどの団体が並立してアジャ・コングらが人気を博したが、これらの時代に匹敵する女子プロレスの振興と人気回復に意欲を見せた。

 男子の新日本プロレスと交わることは当面ないというが、木谷オーナーの構想は新日本もスターダムも巻き込み、男女問わずバトルを軸にした総合エンターテイメントとして人気を博している米国WWEの日本版を育て上げること。「この2年間が勝負」と、女子プロレス人気の回復に自信をのぞかせた。

 すでにブシロード流の仕掛けは始まっており、今年12月にブシロードが米アナハイムで行う「CharaExpo USA2019」での試合開催、来年4月29日に東京・大田区総合体育館で7年ぶりとなるビッグマッチ開催、2021年には旗揚げ10周年記念興行を行うことを発表。さらに来年1月から専門誌をジャックしたり、交通広告、テレビCM、ブシロード主催イベントへのゲスト出演、TOKYO MXとBS日テレでのレギュラー番組開始なども発表され、選手のメディア露出を集中的に行う方針だ。

 木谷オーナーは、現在の女子プロレスの問題点を「ファンの年齢層が高い」「女性ファンがいない」と指摘し、かつての黄金時代、女の子が女子レスラーに熱狂した時代の復活を目指し、女性限定興行を行う構想も披露。「プロレスはキャラクターコンテンツ。人間が感動するのはキャラクターとストーリー。頑張っている人を応援したいという文化が今は強い。そこをアピールしたい」と語った。

 ブシロードはガールズバンドを題材にした「BanG Dream!(バンドリ!)」や舞台を題材にした「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」など、様々なメディアミックスプロジェクトを行っているが、「裾野が広がってきたらありでしょうね。そこは考えていきますよ」と木谷オーナー。人気が上がってくれば、プロレスを題材にしたオリジナルコンテンツの制作も視野に入れている。「バンドリ!」「―レヴュースタァライト」に出演する人気声優・相羽あいなは一時期プロレスのリングに上がったいたこともあるが、相羽がスターダムと試合解説などの形で関わるプランにも「本人には言っていませんが、やりたいと言うと思いますよ。リングに上がるのは止めるけど、かかわりたいとはすごく思っているんじゃないかな」と、本人さえよければウェルカムの姿勢を打ち出した。

 選手たちも、基盤がしっかりした運営母体の傘下に入ることに歓迎ムード。今年4月に新日本のニューヨーク・マジソンスクエアガーデン大会でリングに上がった所属選手の岩谷麻優は「自分の目標としては、海外に行かずに日本にいながら世界に注目される選手になりたいという目標があるので、世界一有名になれるんじゃないかという希望があって嬉しかった。ここだったら安心してプロレスラーとして安心して打ち込める環境なので、これから楽しみです」。ブシロードは集中的な広告展開やメディア露出によって、経営不振に陥っていた新日本プロレスの人気と業績をV字回復させた実績があり、スターダムも“ブシロード流”でさらなる飛躍を目指す。

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