高山勝成、再びプロで現役復帰へ…五輪逃して引退表明も一転

スポーツ報知
再びプロで現役復帰する高山

 プロボクシング主要4団体の元世界ミニマム級王者で、アマに転向して東京五輪予選に挑戦した高山勝成(36)が、再びプロで現役復帰することが9日、分かった。近日中に正式発表される。五輪切符を逃した昨夏に一度は引退を表明も闘志再燃。今年に入り練習を再開していた。新型コロナウイルスの影響で復帰戦は国内と海外両プランが浮上。新たな所属先は元WBA世界スーパーウエルター級暫定王者・石田順裕氏(44)が会長を務める大阪・寝屋川石田ジムに決まった。

 高山がプロ→アマ→プロという日本ボクシング界史上初の道を進む。2017年春に日本で初めてプロ世界王者からアマに転向し、反対した当時の山根明・日本ボクシング連盟会長の圧力を乗り越えて東京五輪予選に挑戦。昨年8月に全日本選手権東海ブロックで敗れて引退を表明したが、昨年末に「まだまだ戦える」と翻意し、2月から地元大阪や在籍する名古屋産大で本格的に練習を再開した。師事していた中出博啓トレーナーとのタッグも再結成。3ラウンド決着のアマから最長12ラウンドのプロへ再び適応する。

 高山は5月12日で日本ボクシングコミッション(JBC)が定める国内プロボクサーの定年37歳となるが、身体の状態が問題ないと判断されれば、元王者の実績から特例で定年延長となる見通し。この特例は最終試合の日から3年を超えた37歳以上の選手には適用されないため、16年8月の最終試合から3年半あまりが過ぎた高山は、37歳となるまでにプロ復帰戦を行う必要がある。新型コロナウイルスの影響で現在、国内では興行が休止中のため、東南アジアなど海外での復帰戦も見据えている。

 水面下では複数のジムが新たな所属先に名乗り出ていたが、高山と同じ元世界王者の石田氏が会長を務める寝屋川石田ジムが合意した。かつて高山と石田氏は、ほぼ同時期にそれぞれ日本を飛び出して海外を転戦。13年3月30日、石田氏がモナコでWBA世界ミドル級王者・ゴロフキン(カザフスタン)に挑みKO負けした同じ日、高山は敵地メキシコでマリオ・ロドリゲスに判定勝ちしIBF世界ミニマム級王座を奪取。高山は“同志”石田氏のもとで再出発する。

 ミニマム級で世界4団体王座を獲得した高山は今後、WBC王者・寺地拳四朗(28)=BMB=、WBAスーパー王者・京口紘人(26)=ワタナベ=の日本人の世界チャンプ2人がいるライトフライ級に参戦し、2階級制覇を目指す可能性が高い。歴戦の高山が2度目のプロ人生でも頂点を狙う。

 ◆ボクシング界のプロアマ事情 国際オリンピック委員会は16年、プロボクサーの五輪出場を解禁。同年リオ五輪には、後に村田諒太とWBA世界ミドル級戦で2度戦うエンダム(カメルーン)らプロ4選手が出場し、ライトヘビー級のボーダリーキ(フランス)は銅メダル獲得。4選手は五輪後、プロのリングへ復帰した。日本人は現役プロボクサーが五輪、同予選へ出場したことはない。元プロでは高山や元東洋太平洋ミドル級王者・佐藤幸治が東京五輪予選に挑んだ(いずれも敗退)。

 ◆高山 勝成(たかやま・かつなり)1983年5月12日、大阪市生まれ。36歳。中学2年からボクシングを始め、高校には進まず2000年10月、17歳でプロデビュー。05年4月、21歳でWBC世界ミニマム級王座奪取。以後WBA暫定、IBF、WBO同級王座を順に獲得し、日本人初の世界4団体王座制覇。14年春に30歳で愛知・菊華高へ進学。卒業した17年春、名古屋産大入学と同時にプロ引退とアマ転向を表明。通算成績はプロ31勝(12KO)8敗1無効試合、アマ2勝1敗。身長158センチ、右ボクサーファイター。両親、兄、弟。

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