子どもの教育費はいくら必要?公立VS私立で徹底比較

2022-04-15

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子どもが成長するにつれ、負担が大きくなるのが教育費。わが子が小さいうちは、お金があまりかからないため、教育費についてもまだ漠然としているママも多いかもしれませんね。

しかし子どもが成長していき、ママ友から私立のお受験の話を耳にしたり、中学受験をするお友達が周りにあらわれたりすると、子どもの将来を考えて、公立だけでなく私立への進学を視野に入れ始めることもあるでしょう。

そうして進路の選択を考えるようになると、気になるのがお金の問題です。

そこで今回は小学校から大学までの教育費で、公立と私立、具体的にいくらぐらいの差が生まれてくるのか、実際の金額を解説していきます。

1.小学校の教育費はいくら?私立は公立の約5倍!

小中高のなかで、公立と私立で差が一番大きいのが、小学校の教育費。文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)によると、私立小学校と公立小学校では年間約120万円もの違いがあります。

大きな差が生まれる理由は、私立は公立に比べて、授業料や学校納付金等などからなる「学校教育費」が年間80万以上多くかかるからです。

■小学校の学習費(年間平均)(単位:円)

区分公立私立
学校教育費63,102904,164
学校給食費43,72847,638
学校外活動費214,451646,889
学習費総額(合計)321,2811,598,691

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より

1-1.私立小学校の学費はなぜ高い?

学校教育費の内訳をみていくと、私立の場合、最も構成比が高いのが「授業料」の約49万円、次に「学校納付金等」の約23万円と続きます。

公立の場合は、授業料がかからないこともあり、最も高い「図書・学用品・実習材料費等」でも約2万円となっています。

■小学校の学校教育費(年間平均)

区分公立私立
金額(円)構成比(%)金額(円)構成比(%)
授業料485,33753.7
修学旅行・遠足・見学費6,95111.044,8165.0
学校納付金等12,23519.4231,42525.6
図書・学用品・実習材料費等19,67331.232,0553.5
教科外活動費2,0413.210,5071.2
通学関係費18,03228.690,74910.0
その他4,1706.69,2751.0
学校教育費(合計)60,043100904,164100

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より 構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

公立と私立とで学校教育費が大きく異なる理由は、授業料の有無と学校が独自に徴収する学校納付金が大きく関係しているのです。

1-2.習い事や学習塾にかける金額の差も歴然!

「学校教育費」以外にも注目したいのが、「学校外活動費」。主に習い事や学習塾などにかかる教育費を指します。

■小学校の学校外活動費(年間平均) (単位:円)

区分公立私立
家庭内学習費14,76145,480
家庭教師費等13,01542,560
学習塾費53,313252,790
その他(補助学習費)1,3807,555
体験・地域活動4,34222,789
芸術文化活動35,40295,712
スポーツ・レクリエーション活動55,00282,902
教養・その他37,23697,101

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より

「学校外活動費」は全体的にどの項目も私立小学校が公立よりも高く、家庭内学習費や家庭教師費、学習塾費として使う「補助学習費」については、公立小学校が年間平均約8万円に対して、私立小学校はなんと約35万円となっています

私立小学校の6年生にいたっては、年間で平均64万円以上もの金額を「補助学習費」として使用しています。

さらに「学習塾費」をみてみると、私立小学校は小中高のなかで最も高く、全学年の平均で約25万円(年間)となっています。これは公立の約5万3,000円に比べて、4倍以上の金額になります。

2.中学校の教育費はいくら?私立は公立の約2.9倍!

学習費は、公立中学校の約49万円に対して、私立中学校は約141万円。小学校から中学校になり公立の学習費も上がっているため、公立と私立の金額差は、小学校時代よりも縮まったものの、やはり私立は圧倒的に高く、公立の約2.9倍ものお金がかかります。

■中学校の学習費(年間平均)(単位:円)

区分公立私立
学校教育費138,9611,071,438
学校給食費42,9453,731
学校外活動費306,491331,264
学習費総額(合計)488,3971,406,433

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より

2-1.公立の場合、学校より学外でかかるお金が増加傾向に!

特に注目したいのが、小学校時代は約40万円の差があった公立私立の「学校外活動費」が中学校ではほぼ同じであること。

なかでも公立の場合は、「補助学習費」が小学校時代に比べて約3倍に増え、年間平均で約24万円となっています(私立は約22万円)。

また「学習塾費」に関しては、公立が私立を上回っているのが特徴的。なんと公立中学校の「学習塾費」の年間平均額は20万円以上にものぼります。

これらの結果から、今後受験に備える公立中学生と、すでに小学校時代に受験を終え、中高一貫の私立中学校などに通う私立中学生との違いを読み取ることができます。

■中学校の学校外活動費(年間平均)(単位:円)

区分公立私立
家庭内学習費13,22928,534
家庭教師費等20,77731,174
学習塾費202,965153,365
その他(補助学習費)6,6187,273
体験・地域活動1,48410,040
芸術文化活動15,86545,181
スポーツ・レクリエーション活動29,16724,385
教養・その他16,38631,339

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成28年度)より

2-2.年間約100万かかる私立中学校の教育費

私立の中学校は、授業料や学校給付金などが学校教育費の割合の多くを占めていますが、そのほか、遠くから通う生徒も多いため通学費もかかっています。さらに、修学旅行などの行事にかかるお金が公立に比べ約3倍かかっています。

■中学校の学校教育費(年間平均)

区分公立私立
金額(円)構成比(%)金額(円)構成比(%)
授業料428,57440.0
修学旅行・遠足・見学費26,21718.982,5787.7
学校納付金等16,75812.1305,13028.5
図書・学用品・実習材料費等25,41318.350,1984.7
教科外活動費29,30821.155,7965.2
通学関係費37,66627.1140,76513.1
その他3,5992.68,3970.8
学校教育費(合計)133,640100997,435100

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より 構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

3.高校の教育費はいくら?私立は公立の約2.1倍!

年間で約60万円の差が見られる私立高校と公立高校の学習費。

しかし「学校教育費」に関しては、公立と私立の差が小学校で約81万円、中学校で約86万円あったものが、高校になってからは約48万円とかなり縮まっています。

とはいえ、私立高校の方が学習費にお金がかかるのはなぜなのでしょうか?

■高等学校(全日制)の学習費(年間平均)(単位:円)

区分公立私立
学校教育費280,487719,051
学校給食費
学校外活動費176,893250,860
学習費総額(合計)457,380969,911

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より

3-1.私立は授業料と学校給付金の負担が大きい

私立高校は、私立小学校・中学校と同様に「授業料」と「学校納付金等」にかかる費用が公立高校に比べて、かなり高額になっています。

そのほか、「修学旅行・遠足・見学費」「通学関係費」なども、公立に比べて2~3万円ほど支出額が上回っているのがわかります。

■高等学校(全日制)の学校教育費(年間平均)

区分公立私立
金額(円)構成比(%)金額(円)構成比(%)
授業料25,3789.0230,02632.0
修学旅行・遠足・見学費35,57912.753,9997.5
学校納付金等55,36019.7215,99930.0
図書・学用品・実習材料費等41,25814.742,6755.9
教科外活動費40,42714.456,2247.8
通学関係費79,43228.3114,04315.9
その他3,0531.16,0850.8
学校教育費(合計)280,487100719,051100

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より 構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

3-2.高校から再度逆転!「補助学習費」は私立高校が上!

私立中学校に比べ、公立中学校の方が高かった「補助学習費」の年間平均額は、高校生になると再び入れかわり、私立高校が約19万円に対して、公立高校は約15万円となります。

■高等学校(全日制)の学校外活動費(年間平均) (単位:円)

区分公立私立
家庭内学習費16,76927,205
家庭教師費等12,83620,020
学習塾費106,884129,313
その他(補助学習費)11,38617,407
体験・地域活動2,1406,098
芸術文化活動8,50714,596
スポーツ・レクリエーション活動5,78415,101
教養・その他12,58721,120

(出典)文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)より

補助学習費のなかで「学習塾費」は、公立・私立とも最もお金をかける部分であり、公立高校の場合でも年間10万円以上かかっています。

「学習塾費」を学年別にみると、学年が上がるほど費用がかかる傾向にあり、私立高校の3年次が年間平均約18万円と最も費用がかかっています。これに対して、公立高校3年次は、年間平均約15万円と、私立と公立で3万円ほどの差が見られます。

4.大学の教育費はいくら?進路によって違う大学の学費

国公立なのか私立なのか、私立でも理系なのか文系なのかで、かかる金額にかなりの違いが生まれる大学の学費。

パターン別にざっくりと入学から在学中にかかる学費の総額を算出してみました。

国公立大学であれば、4年間通っても約250万円でおさまりますが、私立の理系に進んだ場合は、その2倍以上となる約550万円がかかることになります。

さらに私立大医歯系に進学した場合は、入学金で100万円以上、6年間で総額約2,400万円の学費がかかる計算です。

4-1.国立大学に進学した場合

まずは、国立大学の学費をみていきましょう。国立大学は、文系・理系による学費の差はありません。

■国立大学の学費(4年間)(単位:円)

入学金282,000
授業料535,800×4年
4年間合計2,425,200

※このほか施設費、実習費、諸会費などを徴収される場合あり ※単純に4倍としているが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性あり

4-2.公立大学に進学した場合

次に、公立大学の学費をみていきましょう。ほとんどの公立大学は、入学者の住所によって入学金額が変わります。国立大学同様、文系・理系による学費の差はありません。

■公立大学の学費(4年間)(単位:円)

入学金384,699
授業料533,451×4年
4年間合計2,518,503

※入学金は地域外入学者の平均額を記載(地域内入学者の入学金の平均額は221,144円) ※このほか施設費、実習費、諸会費などを徴収される場合あり ※単純に4倍としているが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性あり

4-3.私立大学文系に進学した場合

続いて、私立大学文系の学費をみていきましょう。

■私立大学文系の学費(4年間)(単位:円)

入学金225,651
授業料815,069×4年
施設設備費148,272×4年
4年間合計4,079,015

※単純に4倍としているが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性あり
※文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果をもとに、くらしのお金にて算出

4-4.私立大学理系に進学した場合

■私立大学理系の学費(4年間)(単位:円)

続いて、私立大学理系の学費です。文系に比べ、4年間で140万円ほど高くなります。

入学金251,029
授業料1,136,074×4年
施設設備費179,159円×4年
4年間合計5,511,961

※単純に4倍としているが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性あり
※文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果をもとに、くらしのお金にて算出

4-5.私立大学医歯系に進学した場合

最後は、私立大学医歯系。学費の高さが際立ちます。

■私立大学医歯系の学費(6年間)

入学金1,076,278
授業料2,882,894×6年
施設設備費931,367×6年
6年間合計23,961,844

※医学部・歯学部系統は6年制と4年制があるが、ここでは6年間で算出
※文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果をもとに、くらしのお金にて算出

5.まとめ:進路の決定には家族の話し合いが大切!

私立への進学は、授業料など学校内でかかる費用が高額なうえ、習い事や塾代への支出もかなり大きいことがわかりました。そのため、家計の状況をきちんと把握したうえで、本当に私立に進む必要があるのか、家族でしっかり話し合いをすることがとても重要です。

さらに入学はできたものの、その後の授業料が払えないということがないように、入学前から将来に備えて、貯蓄をしっかり行っておきましょう。

教育資金の備え方については、以下の記事を参考にしてみてください。 ・教育費の貯め方!お金のプロが教える3つポイント|ママがFPに聞く!シリーズ6学資保険は必要か?その判断基準と選ぶときの6つのポイント

※本記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています。

倉沢れい(編集者・ライター)執筆:倉沢 れい (編集者・ライター)
大学卒業後、IT企業や翻訳会社を経て、出産を機にライターとしての活動を開始。子育てや女性の生き方の分野を中心に、ママがよりよく子育てを楽しむための情報をわかりやすくお伝えしています。


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