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広島東洋カープの「侍」前田智徳選手が、2007年9月1日、2000本安打を達成しました。史上36人目ということです。
この偉業達成を我が目に焼き付けるため、単身、広島市民球場に駆け付けました。 残り3本として甲子園から帰ってきた前田は、8月31日の中日戦で4、5打席目にヒット2本を打ち、残り1本としていました。 右足の怪我が長引いて、一時期は走攻守とも精彩を欠いていた時期もありましたが、8月31日の試合では、ダイビングキャッチを見せて長打を防ぐなど、かなり状態も上がっている様に感じました。 市民球場手前のそごう広島店西側入り口に掲げられたカウントダウンボード。おー、ついに1を並べたか。ちなみに此処の地下1階で売られている「鳥ごぼう」は甘辛くて美味。ピールに良く合います。 店内に入ると入り口に前田の入団時からの写真が飾ってありました。これは今年のオールスター第1戦での初ホームランの写真ですね。成績が上がらない中、セリーグ野手トップで選出されていながら、7月はスタメンで出場できない試合が多く、選出時の会見も嬉しそうじゃありませんでした。落合セリーグ監督からも、「状態が悪いなあ。酷い打ち方をしている。中日の選手にはお手本にさせているんだから、ちゃんとしてくれよ」と言われたそうですが、ラミレスの逆転ホームランの後代打で登場、低めのストレートを上手くライナーで打ち込んだワザありのホームランでした。よっぽど嬉しかったのか、1、3塁を回る時も柄にもなくガッツポーズが出たりして・・・・、でも本当はこういう暑苦しい男なのですよ、前田は。 午前10時に並んでやっと入りました。珍しく超満員です。拙者は侍見物がしたいので、ビジター側のレフト定位置の後ろに陣取りました。この球場では陣取ってからそごうに買い出しに行くのがコツの様です。 キャッチボールする前田。グラウンドに出てくるだけで球場は大声援。異様な雰囲気に包まれます。そういや珍しくボールを観客席に投げ入れてたな。 試合は広島・高橋、中日・小笠原で開始。1回表に1点取られましたが、その裏、先頭の梵のソロホームラン、新井の2ランで逆転しました。新井のホームランは久しぶりでしたが、珍しく早いカウントの外角球をライトに運びました。あれが何時でもできりゃ、もっと打てるんですがね。 前田の最初の打席は、前日よりも凄い声援で迎えられました。良い所に転がったんですが、2塁手・荒木の好守備でセカンドゴロと終わりました。 何時の間にか不人気の内野2階席まで満員です。 試合は高橋の乱調で6回表までに中日に7点を取られ3対7とされ、何時もなら敗戦ムードも漂い出すのですが、6回の裏に、これまた早いカウントの球を、栗原がバックスクリーン横に叩き込んで4対7とし、7回裏には梵、東出、アレックスの連続安打で2点返し、6対7まで盛り返します。しかし、前田の併殺打でその回は終わってしまいました。 その時点で計算すると、この試合、3人出ないと再び前田まで回りません。ちょっと達成に暗雲が垂れ込めました。日曜日の夕方に抜けられない仕事の懇親会があったので、拙者は非常に困りました。拙者、前田の背中に何とか打ってくれと祈りました。 しかし8回の裏、カープ打線が今年一番の粘りを見せます。まず、栗原四球、広瀬送りバント、石原の所で代打森笠がレフトとショート間にポトンと落ちる汚いヒットで1、3塁とします。 ここで代打・嶋。この所の不調で全く期待していなかったのですが、やっぱり人気あるんですね、スタンドは総立ち。拙者は座って静観していましたが、なんと初球をレフトに3ラン。一気に逆転してしまいました。 そうするとまたこれが困る訳です。このまま8回に前田まで回らないと、9回は順当に抑えればそれでゲームセットとなり、9回の攻撃は無いわけです。そうなると今日の2000本安打達成は無くなるわけです。複雑な気持ちで嶋のベースランニングを見ていました。 だが、そこからが凄かった。梵が四球、東出がまたレフト前に汚いヒット、アレックスは投ゴロでしたが東出の足が速くてゲッツーにできません。送った形になり2アウト2、3塁で4番新井。もう球場は新井に対して兎に角、塁に出て前田に回して欲しいがために大声援です。一球毎に地鳴りのするような大声援が中日ピッチャー・久本にはプレッシャーとなったのか、かの球団の投手陣には考えられない1イニング3個目の四球が新井に与えられました。 そうなると2アウト満塁で前田です。そこでまだ強烈な大声援が送られました。中日・久本は完全に飲み込まれてしまい、コントロールも定かではありません。1ボールの後、すっぽ抜けた球がインコースのグリップ際に投げ込まれて前田は転倒。そうすると球場は怒号の嵐です。言葉の荒い広島市民球場の怒号ですから、久本にはだいぶ堪えたでしょう。3球目は打って下さいと言わんばかりの甘い球が外よりに投げられ、前田はキレイに打ち返します。ライト線よりに早い打球がすとんと落ちてライト前2点タイムリーヒット!! やったー、2000本安打達成の瞬間です。拙者は、隣に座られていた方に抱きつかれました。拙者も両手の拳を天に突き上げ、声にならない雄叫びを上げていました。あんなに興奮したことは最近ではとんとありません。歓喜に我を失ってしまいました。 前田は1塁上でご子息、中日・立浪、広島・新井から花束をもらっていました。もうホンマ、拙者の目から涙が出ましたよ・・・・。 それだけでも異常に興奮したのに、打者一巡後の次打者・栗原が、動揺した久本からまたもやホームラン(3ラン)を打って新井と前田を帰したのは嬉しかったですね(久本はちょっと可哀想でしたが・・・・)。 結果的には嶋が10号、栗原が20号に到達した訳ですから、彼らにとっても意義のある大花火大会でした。 9回表、何度も帽子を取って観客席に礼をする前田。もう拙者は拍手するしかなかったっす。 セレモニーでは、入団から若く才能を迸らせてベストナインを連続して取った95年までの栄光、95年の神宮球場でのに右アキレス腱断裂、その後地道なリハビリを経て此処まで回復した2000安打までの簡単な道程の紹介の後、前田のインタビューがありました。内容を起こそうかなとも思いましたが、まあ「you tube」で見て頂いた方が良いでしょう。笑いあり、涙ありの前田らしい、熱いインタビューでした。 帰りは記念グッズを買うのに1時間位並んで、その後野球鳥に行ってちょっと飲んで、ホテルで特集番組を見ました。拙者にとって、一日中、前田を満喫した記念すべき日となりました。 おそらくは前田のことを一番良く理解している中日・落合監督の前で達成できたことは、素晴らしいことだと思います。落合は良いことを言ってます。「子どもが一番真似して良いのが前田のフォーム。トップの位置から無駄な動きが無くバットが出ていく。逆に真似しちゃいけないのが落合、王、イチロー」「前田が天才だって?天才なら10割打て。誰だって天才じゃない」 バットを抱いて寝る位の野球バカ・前田智徳。次は300本塁打、その次は史上6人しか達成していない2500安打を目指して、怪我無く打ち続けて欲しいですね。
by jazzamurai
| 2007-09-06 02:28
| 無頼漢 広島カープ三昧
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