*写真はイメージです

 2017年6月、架空の土地取引で55億5000万円もの資金をだまし取られた積水ハウス。今月下旬に同社の株主総会が開かれるが、どうやらそこで波乱が起きそうな雲行きだ。

代表取締役4人が解任の危機

 すでに同社では前会長と現役の役員が「株主提案」を行い、会社側とプロキシファイトに突入しているのだが、そこで大きな役割を果たすのが機関投資家に対してその保有銘柄の議決権行使に関して助言を行う「議決権行使助言会社」である。その助言会社の大手、米「インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)」が、積水ハウス側が提案している会長の阿部俊則氏と副会長の稲垣士郎氏の選任について「反対推奨」を出したのだ。また同じく米「グラスルイス」は、積水ハウスの現代表取締役4人全員について、「反対推奨」を出している。

 一方で、「株主提案」については、ISSは元TDKの取締役専務執行役員でルネサスエレクトロニクスの社外取締役の岩城二郎氏と、米ファンド「チャートグループ」のCEOでマネーロンダリングや安全保障関連の投資に造詣の深いクリストファー・ブレイディ氏の選任に「賛成推奨」を出している。またグラスルイスは積水ハウスの前会長の和田勇氏、現役の取締役である勝呂文康氏、また社外取締役候補のブレイディ氏と、企業法務のスペシャリストの加藤ひとみ氏について賛成を推奨した。

「株主提案」を出していたのは前会長の和田勇氏と現役の取締役である勝呂文康専務執行役員。和田氏は2年前に現会長の阿部氏によるクーデターで失脚した経緯があり、今回の株主提案はその「お家騒動」の第2ラウンドと目されていた。ただ、和田氏は79歳の高齢ということもあって「老害批判」や「復権批判」も沸き起こっていたことから、当初「勝ち目はない」というのが一般的な見方だった。

 しかしここにきてISSとグラスルイスが和田氏側の提案に一部、理解を示したことから、意外にも和田氏の株主提案が善戦している状況が明らかとなった。一方で会長、副会長の実力者がISS、グラスルイス共に解任を促されたことから、現経営陣は窮地に追い込まれたことになる。