「ドラゴンクエストXI」が初週で200万本を超えたのはどれくらいすごいことなの?

過ぎ去りし景気を求めて

「ドラゴンクエストXI」が初週で200万本を超えたのはどれくらいすごいことなの? - ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて
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株式会社メディアクリエイトのゲーム週間販売ランキングによると、7月24日~7月30日の週において「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」は3DS版、PS4版合わせて約209万本の販売本数を記録した。本作が発売したのは7月29日であるため、これは最初の2日だけの販売本数になる。この数字に同梱版「ダブルパック 勇者のつるぎボックス」は含まれているが、デジタル版は入っていない。3DS版の販売本数は114万本、PS4版は95万本だった。

この時代において、これは度肝を抜かれる数字と言って良い。ここ数年のベストセラーや「ドラゴンクエスト」シリーズの過去作と照らし合わせて少し詳しく見ていこう。

国内でゲームの初週販売本数が200万本を超えたのはいつぶりだろう? 2017年は、初週でミリオンセラーになったタイトルすらない。ここ4年で初週に最も売れた5タイトルを比較対象として下記してみよう。こちらも株式会社メディアクリエイトのデータを使っている。

1.「ポケットモンスター サン・ムーン」(3DS、2016年11月発売)189万本

2.「ポケットモンスターX・Y」(3DS、2013年10月発売)186万本

4.「モンスターハンター4」(3DS、2013年9月)171万本

5.「ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア」(3DS、2014年11月)150万本

いずれも3DS専用ソフトで、「ポケットモンスター」シリーズか「モンスターハンター」シリーズのどちらかである。IPの力、近年の携帯ゲーム機の人気が窺い知れる。

初週で「ドラゴンクエストXI」よりも多くの本数が売れた最後のゲームは7年も前に遡る。2010年9月に発売したDSソフト「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」は最初の2日だけで255万本売れた。「ドラゴンクエストXI」よりも約50万本多いが、デジタル版も加われば近差かもしれない。

では、「ドラゴンクエスト」シリーズの他のナンバリングタイトルの初週販売はどうだったか? こちらは株式会社メディアクリエイトのデータがないため、海外のゲームソフト売上集積サイトVGChartzのデータを引用する。ただし、VGChartzも「ドラゴンクエストIII」以前のデータがないのでご留意されたい。

1.「ドラゴンクエストIX」(DS、2009年7月)233万本

2.「ドラゴンクエストVIII」(PS2、2004年11月)226万本

3.「ドラゴンクエストVII」(PS、2000年8月)182万本

4.「ドラゴンクエストVI」(SFC、1995年12月)152万本

5.「ドラゴンクエストIV」(FC、1990年2月)112万本

パッケージ版が209万本の「ドラゴンクエストXI」だが、デジタル版がその1割ちょっとでも売れていれば「ドラゴンクエストIX」を超える初週販売本数だったということになる。3DS版とPS4版は特徴が大きく異なるので両バージョンを購入したユーザーも多い可能性が高く、単純に比較できないとはいえ、思わず目を見張る数字であることに変わりはない。

3DS版の114万本はある程度予想通りの結果と言えるだろう。だが、据え置き型ゲーム機がマイナー化した日本市場において、PS4版はどれくらい売れるのかが大きな疑問だった。初週95万本は筆者の予想を大きく上回る本数だった。PS4の普及台数は現在約500万台であるため、約5分の1のユーザーが購入したはずだ。

PS4の他のビッグタイトルと比較したいが、据え置き型ゲーム機で初週30万本を超えればヒットと言える昨今の日本市場において、「ドラゴンクエストXI」ははっきり言って敵なしである。本作はたった2日でPS4の史上2番目に売れたソフトになり、来週はかなり差をつけて現在約100万本の「ファイナルファンタジーXV」から首位を奪うだろう。

PS4ソフトで初週販売数が最も多かった「ファイナルファンタジーXV」の69万本も「ドラゴンクエストXI」には敵わないし、好調であるNintendo Switchの目玉タイトル「Splatoon 2」の初週64万本もやはり「ドラゴンクエストXI」の相手ではなかった。もちろんどちらも「ドラゴンクエストXI」のように別プラットフォームでもミリオンセラーになっているわけでもない。2017年に初週95万本はもはや「異常」というほかないだろう。

据え置き型ゲーム機ソフトの初週販売本数で「ドラゴンクエストXI」より多かった最後の作品は2009年12月の「ファイナルファンタジーXIII」で、VGChartzによると146万本売れた。だが、「ドラゴンクエストXI」と違ってこちらはデジタル版なしの独占タイトルだった。

最後にもうひとつ、興味深い点を紹介しよう。3DSシリーズ(2DS含む)の国内普及台数は2017年6月時点で約2278万台と、PS4の500万台よりも遥かに多い。だが、「ドラゴンクエストXI」が発売した週にPS4本体の販売台数は約10万台、3DSシリーズは約14万本だった。3DSが上回った要因として考えられるのは、まだゲーム機を持たないカジュアル層にとって3DSはより買い求めやすく、携帯ゲーム機の気軽性も魅力的だったのかもしれない。

PS4版を買ったユーザーの大半がPS4本体をすでに持っていたことからすれば、購入者の大半は「普段からゲームをする」比較的コアなユーザーであったと考えられる。国民的RPGと謳われる「ドラゴンクエスト」シリーズについて、筆者は「普段は家庭用ゲーム機でゲームをやらない」カジュアル層が珍しく手を出す作品というイメージが強い。だが、今回の数字からすればすでにゲーム機を所持していた購入者が大半を示していることがわかる。

昨今は国産タイトルがたくさん発売し、海外でも高く評価され、人気を再獲得している。「ドラゴンクエストXI」の初週売上からすれば日本市場も期待が持てるし、据え置き型ゲーム機もまだ希望があることがわかった。筆者は本作の今後の売れ行きにも注目していきたい。

IGN JAPANの「ドラゴンクエストXI」レビューも近日お届けする予定なので楽しみにしてほしい。

2017/8/3 修正

記事内では「ファイナルファンタジーXV」をPS4独占タイトルとして紹介していましたが、Xbox Oneでも発売されているので修正しました。申し訳ありません。コメントでのご指摘ありがとうございます。

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