任天堂・宮本さんと青沼さんが語る新しい「ゼルダの伝説」

ゼルダの当たり前をどのように見直したか

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「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は3月3日にいよいよWii UとNintendo Switch向けに発売される。据え置き機の完全新作ゼルダは約6年ぶりだが、シリーズがどのように進化しているのかが見どころとなるだろう。これについて、任天堂の宮本茂さんと青沼英二さんに話を伺った。 

当たり前を見直す?

任天堂は最初から、「ブレス オブ ザ ワイルド」でゼルダの当たり前を見直すと謳っている。だが、ゼルダは今までも、毎回新しい遊びを盛り込んでいるのではないか? 近年の作品だと「スカイウォードソード」ではモーションコントロールを用いて剣やその他のアイテムを自在に操れるようにし、「神々のトライフォース2」では絵になって壁に入ることができた。新しい仕掛けがかつてなかったゲームプレイを生み出し、それが新しいゼルダを作り出している。

「ゼルダの伝説 神々のトライフォース2」より

だが、同時に30年にわたってずっと守られ続けてきたものもある。

「プレイヤーが様々な困難を乗り越えていくことで成長し、キャラクターとの出会いを通して流れが変わり、プレイヤーが遊びながら得たものでその先を切り開いていく。それがゼルダの基本的なコンセプトだと思います。それをどういう風に拡張するのかが毎回の課題ですね」と青山さん。

シームレスにどこへでも行ける膨大な世界が広がる「ブレス オブ ザ ワイルド」も、結局はゼルダの基本に則った上で拡張されたゲームだろうか? はたまた、そのさらに上を行くタイトルになるのか?

秘密の工夫と前置きなしのゲームプレイ

「リンクは世界を救わないといけない、いつもの宿命です」と青沼さんは語る。ゼルダ姫も、ハイラル王国の姫としての、恒例の役割を担っているという。様々な人々から協力を得て、物語を進めていくのもいつもと変わらないらしい。だが、自由にどこへでも行ける「ブレス オブ ザ ワイルド」において、プレイヤーがどの順番でゲームを攻略するかがわからないとあっては、ストーリーに起承転結をもたらすことは非常に難しかったと言う。これは今までのどのゼルダと根本的に異なる問題だ。

青沼さんはプレイヤーにそれでもストーリーを楽しませるための"ある工夫"をしているという。それがどのような工夫であるかは、実際にプレイしての楽しみだが、同氏がゲームを作り始めた20数年前からずっと温め続けてきたものだという。

宮本さんにも今までのゼルダを振り返ってもらった。彼は「スカイウォードソード」のようにストーリーやキャラクター設定が複雑なタイトルについて、「面白い遊びの部分に入るまでが長かった」ことを1つの問題として挙げた。

「今回は前置きをやめて、できるだけ早くいろんなことができるようにしました」

リンクとプレイヤーがゲームを通して成長していく過程の中で、物語が自然と見えてくる仕様になっており、宮本氏は「それが今回のゼルダを見直すというところの一番大きなポイント」だと言う。

世界の在り方、ストーリーテリングの手法が今までと根本的に異なる「ブレス オブ ザ ワイルド」は、特定の新しい仕様を導入することで遊びを拡張した他の作品と比べて、ゼルダの当たり前を大きく覆す作品になるかもしれない。

"不思議な協力"をしてくれる仲間

「Listen!」と連呼する「時のオカリナ」のナビィ、上から目線だが憎めないミドナなど、リンクの冒険の多くには愛すべき相棒が付いて回る。彼らのような存在も含め、「ブレス オブ ザ ワイルド」にもやはりリンクの仲間と言うべきキャラクターがいるのだろうか?

「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」より

「協力してくれる仲間がいます。ただ、単純な協力とはまたちょっと違った、"不思議な協力"の仕方をすることになります」

青山さんの言う「不思議な協力」が具体的にどういう意味なのかは不明が、他者とのインタラクションにおいても今までのゼルダと一線を画す要素を仄めかしているように思う。

生活を営む人間とモンスターと動物

そもそも、「ブレス オブ ザ ワイルド」にはリンク以外の人間はどれくらいるのかという疑問がある。大自然がテーマとなっている本作は、フィールド上に人間の姿をあまり見かけないイメージがあるかもしれない。

「もちろんいろんな人が出てきます。街もあるし村もあります」と青沼さん。

村で生活を営むNPCとの交流がゼルダには欠かせない楽しみなので、一ファンとしては嬉しい情報だが、宮本さんによると、ゲームがシームレスになったことで村の臨場感も過去作の比にならない。

「山間のどこに村があるのかということがわかるし、いろんなところから村にアプローチできます」

「ブレス オブ ザ ワイルド」の人々にとって1つの拠点になっているのは「馬宿」だ。ここはリンクにとっても非常に重要な場所で、つかまえてならした野生馬を登録できるほか、情報収集や様々なキャラクターとの出会いもあるという。

NPCにとって、世界各地にある街道の途中にある馬宿は、旅の休憩ができる場所となっている。生活をしているように描写されている彼らも「ブレス オブ ザ ワイルド」の世界にいるモンスターたちと戦うことがあるらしいが、助けるとお礼を言われてアイテムをもらうようなこともあるようだ。モンスターも生活を営んでおり、ご飯を食べるといった演出があるので、いろいろと細かい作り込みを見るのも楽しそうだ。

動物もしかりで、青沼さんによると動物専任のデザイナーとプログラマーまでいる。特に馬は四足が地面を踏みしめて極めてリアルに歩いている。リンクがつかまえてならすことのできる野生馬は色や模様が異なるだけでなく、スピードなどのステータスも異なる。馬をつかまえること自体は初心者でもすぐにできるが、性能の高い馬をつかまえるのは一筋縄ではいかないだろう。

膨大な大自然がシームレスに広がる「ブレス オブ ザ ワイルド」はただ大きいではない。宮本さんと青沼さんの言葉に耳を澄ましていると、確かに絵画的な絶景と壮大な冒険が見えてくる。だが、同時にそこで静かに暮らす者たちの日常の香りもする。それがまさしく"Breath of the Wild"(野生の風吹)の意味するところだろう。

「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」はWii UとNintendo Switch向けに3月3日に発売する。

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