ソフトバンクを「業界のバークシャーに」 孫社長が投資に意欲

ソフトバンクG、中間営業益は+3.5% 国内通信が堅調
 11月7日、ソフトバンクグループが発表した2016年4─9月期連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比3.5%増の6539億円となった。写真は都内で2014年12月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 7日 ロイター] - ソフトバンクグループ<9984.T>の孫正義社長は7日の決算説明会で、同社はテクノロジー界の米バークシャーを目指していると述べ、新ファンドによる投資に意欲を示した。
バークシャーは米投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社で、傘下に保険会社などを抱えている。
孫社長はソフトバンクの方向性について「テクノロジー業界のバークシャー・ハサウエイを目指している。彼らは保険というキャッシュローを生み出す事業を片方で持ちながら、投資を行っている」と述べ、同じくキャッシュフローを生み出す国内携帯電話事業を抱える同社の姿を重ねた。
ソフトバンクは10月14日、世界規模でテクノロジー分野に投資する10兆円規模のファンドを設立すると発表。今後5年間で250億ドルを出資、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)も同期間に最大450億ドル出資する方向で検討している。さらに複数の投資家とも交渉中で、孫社長は「10兆円は調達できると思う」と自信を示した。投資先は「十数年でエグジットすることが前提」という。
<バランスシート改善に自信>
今後、数百億円以上の投資については原則、新ファンド経由で行う方針。孫社長は「年間6000億円のフリーキャッシュフローがあって、新たな投資は原則としてファンド経由でやるので、借入比率は自然に改善する」と述べ、相次ぐ買収で膨らんだ負債に対する投資家の不安を払しょくした。
現在4.0倍程度の純有利子負債EBITDA倍率は数年以内に3.5倍まで縮小させる方針。
<国内通信堅調で営業増益>
2016年4─9月期連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比3.5%増の6539億円だった。アスクル<2678.T>子会社化による一時益がはく落したヤフー<4689.T>は減益となったものの、米スプリントの回復や安定成長期に入った国内通信が利益を押し上げた。
売上高は前年比0.2%減の4兆2718億円だった。前年同期よりも円高水準にある為替レートがスプリントの売上高を目減りさせた。
同期には中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングの一部売却関連でデリバティブ関連損失1700億円を計上したが、この損失は商品設計上、今後3年間で累計9億ドルになることが決まっている。
*内容を追加します。

志田義寧

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