ポーランド首相、ベラルーシからの移民流入で事態悪化を警戒

ポーランド首相、ベラルーシからの移民流入で事態悪化を警戒
 ポーランドのモラウィエツキ首相は11月21日、ベラルーシ国境からの移民流入について事態がさらに悪化する恐れがあると警戒感を示した。ベラルーシのポーランド国境近くで、食料を受け取ろうとする移民を制止するベラルーシ兵(2021年 ロイター/Kacper Pempel)
[ワルシャワ/ビリニュス 21日 ロイター] - ポーランドのモラウィエツキ首相は21日、ベラルーシ国境からの移民流入について事態がさらに悪化する恐れがあると警戒感を示した。
欧州連合(EU)は、EUの制裁を受けているベラルーシのルカシェンコ政権がその仕返しとして中東からの不法移民をポーランド、リトアニア、ラトビアといった最も東寄りのEU加盟国に送り込んでいると非難。ベラルーシ側はこれを否定し、18日には国境近くの移民キャンプを取り払うとともに、一部をイラクなどに帰国させ始めた。ここ数日は、ポーランドとリトアニアの国境で入国しようとする人の数も減ってきている。
しかしモラウィエツキ氏はこの問題を協議するためエストニア、リトアニア、ラトビアを歴訪しつつ、危機が終わったと言うには程遠いと強調した。最新のポーランド紙の世論調査でも、55%の国民は国境での危機が軍事衝突に発展しかねないとの不安を表明した。
モラウィエツキ氏はリトアニアの首都ビリニュスで「われわれの眼前で展開するこれらの劇的な出来事は、さらに悪い状況の前兆ではないかと思う」と語った。
同氏は、ロシア軍がウクライナ国境近くだけでなく、ベラルーシ国内や、ポーランドおよびリトアニアに挟まれたロシアの飛び地領カリーニングラードで増強されており、直接侵攻の手段に使われかねないと指摘。またイスラム主義組織タリバンが権力を握った後のアフガニスタン情勢が、次の移民危機の火種として利用されるかもしれないとの見方を示した。
一方リトアニアのシモニーテ首相は、欧州の友好国に対してベラルーシと接する国が直面する問題を無視しないよう警鐘を鳴らした。
モラウィエツキ氏と会談したシモニーテ氏は「われわれにとって(ベラルーシとの)話し合いに当たってはリトアニア、ポーランド、ラトビアが連帯することが非常に大事だ」と語り、この3カ国はさまざまな種類の攻撃の矢面に立ちながら、EUとしてまだ何の決定も行われず、根本的な解決が棚上げされていると訴えた。
ポーランド政府は、ベラルーシが引き続き何百人もの外国人を国境付近にトラックで輸送し、寒さが厳しくなる中で10人前後が亡くなったとみられるとの見解を示している。
リトアニアのニュースサイトが20日、イラクからやってきたという十数人の移民に話を聞いたところでは、彼らがイラクに帰りたいと希望したのを無視したベラルーシ当局によって無理やり軍用トラックで運ばれてきたという。

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