みんなのケータイ

中国の無人コンビニは入店から会計まで全てがスマホ

【honor 8】

 少し前の話になるのですが、中国の深圳にオープンした「無人コンビニ」に行ってきました。お店の名は「Well Go」。

 お店に入店するには、セキュリティのために専用の会員証が必要なのですが、これがスマホのアプリになっています。「虹領巾」というこのチェーン店用アプリで、ここで「コンビニに入店する」をタップすると、ドアが解錠されます。

 店舗内はせいぜい10畳程度の広さですが、おにぎりやサンドイッチ、パン類といった日持ちしない食料品から、ジュースにビールのような飲料、ビジネス街にあるせいかノートやペンといったものまで売っています。中国の一般的なコンビニと比べると、肉まんのようなホットフードがないのと、トイレが無いくらいしか違いはありません。品揃え的には本当に、普通のコンビニエンスストアです。

 買い物をしたい場合は、ここで無人レジで、「支払」を行うのですが、これもスマホで行います。「会計区」という置き場に買いたい物を置いてレジにスマホの会計画面(「虹領巾」のほか、中国で一般的に会計に使われる「支宝付」「微信支付」でもOK)をかざせば会計完了。買い物袋に買った物を自分で入れて、入ってきた入り口から出るだけで完了です。この間、全く無人で、店員は介在しないのに、普通のコンビニ感覚で買い物ができるのは驚きです。

 Well Goのおもしろいのは、AIやディープラーニングといった先進技術でなく、現在使われている一般的な技術を組み合わせて無人コンビニを実用化してしまった点にあります。具体的には、「スマートホンと、RFタグという今ある技術で無人コンビニを実用化」したことです。

 とはいえ、日本のスーパーマーケットにもある無人レジのように商品のバーコードを一つ一つかざしていくような必要はありません。買う品物を全て「決算区」に置くと各商品の値段、合計の値段と支払い用のQRコードが自動的に表示されます。レジが、モノを置くだけでそれが何で、いくつあって、いくらなのかそれが全て判るのです。

 これは、商品一つ一つに付けられたRFタグが実現しています。RFタグには全て異なるIDが割り振られていて、「決算区」のリーダーがそれを読み取って、これらの情報を表示している、というわけです。

 ちなみに、ドアの手前にある「感応区」というマットが客の手持ちの商品が全部支払い済みであるかを確認し、全部支払い済みであればドアのロック解除、されていなければ「支払いを済ませてください」というアナウンスを行いドアを開けないようになっています。これも先ほどの「決算区」同様、RFタグのIDをチェックし、全て決算区で支払われたかを照会して実現しています。

 中国では、Well Go以外にも、中国では、さまざまな形で無人店舗のコンセプトを発表したり、実験店舗・実店舗をオープンさせているそうで、今年は、無人店舗ラッシュなのだそうです。

 たとえばアリババという「支付宝」を運営している企業は、このアプリがスマートフォンに入っていれば二次元バーコードをかざすだけで入場から、買い物、支払いまでできる「TAOCAFE(淘宝会員店)」というデモ店舗を杭州で開き、非常に注目を集めました。

 また、従来型のコンビニ・店舗を志向するだけでなく、中国独自の「未来型店舗」の試みも行われています。たとえば、広州にオープンしている「F5 未来商店」もジャンル的には「無人コンビニ」なのですが、「Well Go」とはかなり方向性が違っていて、販売は全て自動販売機となっていて、お客が直接棚から商品を取ることはできません。その代わり、肉まんや水餃子のようなホットフードも販売しています。また、中国のコンビニでは一般的なイートインの設備があり、食器を回収するゴミ箱までが自動化されているそうです。

 面白そうですよね。筆者は時間とお金が合ったら、世界中の無人コンビニを回るのが最近の夢です。