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カヌー 石巻出身の永沼峻選手、仕上がり順調 5月五輪選考会

初漕ぎを楽しむ永沼選手。今年は五輪出場が目標だ=1月2日、旧北上川

 石巻商高カヌー部出身でカナディアンシングルで国内無敵の実力を誇る永沼峻(りょう)選手(26)=立命館大卒、ユアテック=が、5月5~7日の日程でタイのパタヤで開かれる東京五輪出場選考会を兼ねた「カヌースプリント・アジア選手権大会」に向け、順調な仕上がりを見せている。「プレッシャーは感じているが、今できる最大限の努力を重ね、地元の皆さんの期待に応えたい」と、静かに闘志を燃やしている。

 永沼選手は、1月初旬から香川県坂出市内の府中湖に場所を移して日本代表選手らと一緒に強化合宿を今月中旬までこなす。この後、ナショナルトレーニングセンターがある石川県小松市内で調整し、日本代表切符の獲得に向けた「大一番」に臨む。

 アジア選手権は当初、昨年4月26~29日にタイのチョンブリで予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で今年3月11~14日に変更となり、さらに2カ月延びた。

 永沼選手は「最初の大会に向けて調整してきただけに一時はモチベーションも下がった」と、昨年からの一連の出来事を振り返る。

 それでも気持ちを緩めず練習に励み、昨年9月のカヌースプリント日本選手権のカナディアンシングル500メートルで4連覇、1000メートルで3連覇の2冠を達成。日本ナンバーワンの実力を示した。東京五輪では500メートルの種目がないため、1000メートルでの出場を目指す。

 2カ月に及ぶ合宿では「新型コロナに細心の注意を払いながら練習メニューに取り組んでいる」と説明。技術面での再確認はもちろん、筋力、持久力のアップなどフィジカル面の強化に重点を置いてきた。

 3月の大会に備え、確かな手応えをつかんでいたが、さらに2カ月の延長が決まった。「一時はまたかと落ち込んだが、他の有力選手と条件は同じ。気持ちを切り替えた」と心境を語る。4月からはスピードアップを重視した練習メニューに取り組み、いつでもレースに臨めるよう最後の仕上げに入る予定だ。

 大会での最大のライバルは中国の選手といい、「ここ2年の間に急成長してきたウズベキスタン、カザフスタン勢も侮れない」と気を引き締める。

 「勝負は時の運。自分の能力を発揮した上で勝つか負けるかのどちらかだ」とも強調。「何が起きるかわからないのも勝負の世界。そういう意味では楽しみだ」と、当日を心待ちにしている。

 永沼選手は石巻市河北地区出身。二俣小、河北中での野球経験を経て、石巻商高でカヌーを始めた。五輪出場が決定すれば、地元や石巻商高などから後援会発足の動きも出てきそうだ。

 大会では、原則として各種目の1位の国・地域に五輪出場枠が与えられる。日本カヌー連盟は、出場枠を獲得した選手を五輪代表にする方針。開催国枠を使う場合は5月29、30日に小松市で開かれる選考会で決定する見込み。

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