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いよいよ登場!? スズキ 新型「ハスラー」発売前に徹底解説

今は「軽自動車」の人気が高く、新車で販売されているクルマの37%近くは軽自動車で占められている。また、小型・普通車では「SUV」が売れ筋カテゴリーとなっている。その2つの要素をあわせ持つのが、スズキ「ハスラー」だ。現行の初代ハスラーは人気車だが、発売が2014年1月なので、すでに6年近くが経過している。

「東京モーターショー2019」に展示されていたスズキ「ハスラーコンセプト」。ほぼ、新型「ハスラー」と見て間違いないだろう

先日開催された「東京モーターショー2019」のスズキブースに、「ハスラーコンセプト」と呼ばれるコンセプトカーが展示されていた。これは、まさしく新型ハスラーそのものだ。スズキの販売戦略が例年どおりであれば、2019年12月から2020年1月あたりに、ほぼ展示車のままの状態で新型ハスラーが発売されるはずだ。当記事では、東京モーターショー2019のスズキブースでハスラーコンセプトの実車に触れてきた筆者が、現地で見聞きして判明した新型ハスラーの情報について皆さんへお届けしたい。

新型ハスラーのプラットフォームやエンジンなどは、現行ハスラーと同様に「ワゴンR」がベースとなっている。現行ハスラーも先代のワゴンRをベースに開発されており、新型ハスラーは現行のワゴンRと基本部分が共通化されている。

スズキ「ハスラーコンセプト」

スズキ「ハスラーコンセプト」

比較として、現行モデルのスズキ「ハスラー」

比較として、現行モデルのスズキ「ハスラー」

新型ハスラーのエクステリアデザインは、丸型ヘッドランプの採用など現行ハスラーに近い。現行のデザインがハスラーのイメージとして定着しているから、外観を大幅に変えるのは難しいだろう。それでも、新旧ハスラーを比べると新型はボディサイドの上に向けた絞り込みが抑えられている。つまり、正面から見たときの台形フォルムが真四角に近付けられているのだ。ボディ上側の室内幅が広がり、外観のボックス形状が強調された。

スズキ「ハスラーコンセプト」のリアサイドには、新たに縦長のウィンドウが備わっている

スズキ「ハスラーコンセプト」のリアサイドには、新たに縦長のウィンドウが備わっている

新型ハスラーと現行ハスラーで、外観上もっとも大きく異なるのはサイドウィンドウだ。現行ハスラーは2分割であったが、新型ハスラーでは荷室の左右にも縦長のウィンドウが備わり、サイドウィンドウが3分割されている。開発者へ、その理由をたずねると、「新型ハスラーは、ピラーをしっかりと見せるボディ形状へと仕上げた。新型ハスラーは、斜め後方の視界を向上させるメリットもある」と説明した。後方視界はよくなったが、サイドウィンドウの下端は水平基調のデザインながら少し高くなった。そのために、側方視界は若干悪化している。

スズキ「ハスラーコンセプト」

スズキ「ハスラーコンセプト」

ボンネットの位置は、20mm高くなった。ボンネットが視界に入ると、車幅やボディの先端位置がわかりやすくなるので運転しやすくなる。ボディを横方向から見ると、タイヤの収まるホイールハウスとボディの下側に樹脂製のパーツが装着されている。これはSUVの定番装備で、現行ハスラーも備えているが、新型ハスラーでは幅をおよそ1.5倍に拡大して、ボディをしっかりとガードしてくれるオフロード感覚を高めている。

最低地上高は、現行ハスラーでは2WDが180mm、4WDが175mmだが、新型ハスラーはどちらも180mmだ。開発者によると、現行ハスラーでは「なぜ、4WDの最低地上高は2WDよりも5mm少ないのか」という疑問が聞かれたとのこと。そのため、今回は2WDも4WDも180mmに設定されているようだ。

スズキ「ハスラーコンセプト」のインパネ

スズキ「ハスラーコンセプト」のインパネ

スズキ「ハスラーコンセプト」インパネ中央に備えられているモニターは、スマートフォンを接続することでカーナビアプリなどを利用することができる

内装については、インパネ形状が変更されている。メーターパネルと同様の縁取りが、インパネ中央のモニター画面や助手席前側の収納設備にも採用されており、相似形のブロックが3つ並んでいるのが印象的だ。メーターは、サイズが大きくて見やすい。ATレバーやエアコンスイッチなどは、使いやすい場所に配置されていて操作しやすい。インパネ中央のモニターはスマートフォンとの連携が可能で、「Android Auto」や「Apple Carplay」を使ってカーナビアプリを利用することができる。また、多機能なメーカーオプションのカーナビも別途用意されている。

スズキ「ハスラーコンセプト」のリアシート

スズキ「ハスラーコンセプト」のリアシート

居住性については、新型ハスラーになって大きく向上している。新型ハスラーのホイールベースは、現行に比べて35mm長い2,460mmとなった。※ホイールベースの数値に誤りがございましたので修正いたしました(2019/11/08 編集部)

新型ハスラーでは、その35mm分をすべて前後席に座る乗員間距離の拡大に充当している。したがって、リアシートに座る乗員の膝先空間も35mm広がった。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ少々と相当に広くなっている。また、リアシートに座ったときに足がフロントシートの下側に収まるので、リアシートのスライド位置を前寄りにして、膝先空間を握りコブシひとつ半程度まで詰めたとしても、さほど窮屈には感じない。そのため、旅行などで4名乗車して荷物をラゲッジに積み込んだとしても快適だろう。

スズキ「ハスラーコンセプト」のラゲッジルーム

スズキ「ハスラーコンセプト」のラゲッジルーム

ラゲッジルームのアレンジは現行型と同様で、リアシートを前に倒すと座面も連動して下がり、荷室をフラットにすることができる。リアシートは左右独立可倒式で、前後スライドも可能だ。ラゲッジルームは、汚れが落ちやすい素材が使われており、床下には収納ボックスも設けられている。この収納ボックスは、取りはずして洗えるようになっていて便利だ。リアゲートは大きく開き、荷室の床も低めなので重い荷物なども積み込みやすい。

エンジンは、現行よりも進化したマイルドハイブリッドが搭載される。モーター機能付き発電機が備わり、減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、モーター駆動の支援を行う。停車状態でATレバーをDレンジに入れ、ブレーキを緩めると、モーター駆動のみでクリーピング、徐行する機能が備わっている。また、新型ハスラーでは現行モデルと同様にターボが用意されるから、長距離を移動するニーズにも対応できる。モーター機能付き発電機によるアイドリングストップ後の再始動は、スズキの他モデルですでに試乗しているが、ノイズや振動が小さくて快適だ。

※ターボモデルについての表記を一部修正いたしました(2019年11月19日 編集部)

プラットフォームは、現行ワゴンRと同じタイプではあるものの改良が施されており、足まわりの設定も見直される。現行ハスラーは乗り心地がやや硬く、過敏に回り込むような操舵感(旧来のスズキの軽自動車に多く見られた特性)であったが、新型ハスラーでは自然な運転感覚に仕上げられる。

スズキ「ハスラーコンセプト」を見る限り、「デュアルカメラブレーキサポート」が搭載されているようだ

スズキ「ハスラーコンセプト」を見る限り、「デュアルカメラブレーキサポート」が搭載されているようだ

新型ハスラーでは、安全装備の進化にも注目したい。現行ハスラーは、2つのカメラをセンサーに使う「デュアルカメラブレーキサポート」が採用されているが、その後に登場した現行ワゴンRや「スペーシア」には、単眼カメラと赤外線レーザーを併用する「デュアルセンサーブレーキサポート」が採用されている。スズキからは、「2種類の異なるセンサーを使うほうが、機能を互いに補えて合理的」といった話も聞かれたが、新型ハスラーを見ると、採用されているのは現行と同じデュアルカメラだ。デュアルセンサーを経て、ふたたびデュアルカメラに戻るのかも知れない。

なお、新型ハスラーではデュアルカメラブレーキサポートの機能を使って、ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」と同じように車間距離を自動制御できる「全車速追従型クルーズコントロール」が採用される。ただし、パーキングブレーキは電動式ではなく足踏み式だから、追従停車した後、パーキングブレーキを自動作動させて長時間停車することはできない。タントと同様に、数秒後には自動的に発進するからドライバーがブレーキを操作する必要がある。

新型ハスラーは、現行型の路線を踏襲しながら、居住性、走行性能、乗り心地、安全装備、クルーズコントロール、カーナビなどの快適装備まで、機能を幅広く向上させる。冒頭で触れたように、今は軽自動車とSUVの人気が高いが、両方の要素を兼ね備えたハスラーが従来の魅力をいっそう増して登場することで、再度注目されることは間違いない。

特に、スペーシアやN-BOXのようなスライドドアを備えた軽ハイトワゴンが必要ではないのなら、ハスラーという選択肢は合理的で楽しいだろう。スライドドアを装着せず全高が1,600〜1,700mmのボディでも、新型ハスラーは必要十分な実用性を備えている。

新型ハスラーの発売日については、現時点では明らかにされていない。以前なら12月下旬頃に発売して、正月の「初売りフェア」で積極的に販売するという方法が採られていたが、スズキの販売店に確認したところ次のようにコメントしている。「完成検査問題などの影響で、発売が少し先送りになっているようだ。詳細な予定は、まだメーカーからは聞いていない。初売りのときに、予約受注を行うというタイミングではないだろうか」。販売店の話によると、新型ハスラーの発売は2020年1月になる可能性もありそうとのこと。どちらにしても、まもなく登場する新型ハスラーを期待して待ちたいところだ。

渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車関連を担当。クルマ好きのため、週末はフラフラと1000km超を運転する長距離ドライバーと化します。
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