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コレ最強? クビンス「ヨーグルト&チーズメーカー」は発酵食品メーカーの決定版か

近年、健康志向の高まりからか、ヨーグルトメーカー甘酒メーカーフルーツビネガーメーカーなどの発酵食品メーカーが人気です。さまざまなモデルが登場しているため目移りしてしまいますが、せっかく買うなら1台でいろいろ作れるものが便利ですよね。今回ご紹介するのは、「2017年5月時点で最強なんじゃ?」とおぼしき、クビンス「ヨーグルト&チーズメーカー KGY-713SM」(以下、KGY-713SM)。数種類の保温時間と温度がプリセットされているため、多くのメニューがボタンひとつで調理できるほか、最長99時間も保温が可能という、使いやすいうえに汎用性も非常に高い1台です。

ヨーグルト、チーズはもちろん、甘酒、納豆、レモン酵素、フルーツビネガーなどなど、発酵食品をぜーんぶ1台で作れます!

<関連記事>甘酒も作れる! ヨーグルトメーカーのおすすめ8選と用途別の選び方

温度を20〜65℃、時間を1〜99時間で調整可能なハイスペック

ヨーグルトメーカーなどの「発酵食品メーカー」は、セットした材料を一定の温度で長時間保温する機能を持つ調理家電です。範囲に差はあれど、ほとんどの機種が保温する温度と時間の調整機能を搭載しているので、「ヨーグルトメーカー」「甘酒メーカー」と呼ばれていても、ヨーグルトや甘酒しか作れないということはありません。ただ、温度や時間を幅広く、かつ細かく設定できるほどいろいろな発酵食品を作ることができるため、汎用性が高くなってきます。

「KGY-713SM」はというと、設定温度の範囲が20〜65℃と広いだけでなく(他メーカーの製品は最低温度25℃のものがほとんど)、保温時間が1〜99時間で調整できるという怖いものなし(!?)なスペックを有しており、「超・長時間」保温が必要な発酵食品も作ることができるのです。

「KGY-713SM」は、キッチンに出しておきたくなるスタイリッシュなデザインも魅力。本体サイズは180(幅)×180(奥行き)×200(高さ)mmで、重量は1kg 。コード長は1.3m、消費電力は44Wです

また、発酵食品を作る場合、レシピによって温度と発酵時間を設定するのですが、「KGY-713SM」には、「ヨーグルト(ギリシャ)」「麹/チーズ」「納豆」「酢/酵素エキス」という、それぞれのレシピに適した温度とタイマーがプリセットされたモードが用意されているので、該当するモードを選択するだけで調理を簡単にスタートできるのが特徴。もちろん、手動での設定も可能です。さらに、ギリシャヨーグルトやチーズを作る際の水切りが簡単に、早く行えるという回転式脱水機能(手動)を備えているのもポイントです。

多くのレシピが、「メニュー」ボタンで該当するモードを選ぶだけで調理可能。温度や時間の調整が必要な場合は、「メニュー」ボタン下の「+/−」ボタンで調整します

本体内部は円柱型にくりぬかれたような形状。運転をスタートすると容器の底と側面が加温され、内側の設定温度がキープされることで容器内の食品の発酵を促します

セット内容は左から、専用容器×2と容器ふた、容器ハンドル、納豆を作る際に使用する納豆容器と納豆ろうと、チーズやヨーグルトの水切りに使用するチーズフィルターです。容器の容量は2Lとたっぷり!

54ものレシピが掲載されたレシピブックも付属。なぜか終盤には「KGY-713SM」を使用せずに作るレシピも掲載されるという、ちょっとおもしろいレシピブックです(笑)

4つの調理モードを活用していろいろ作ってみた

ではさっそく、4つの調理モードを活用して、ヨーグルト、チーズ、甘酒、納豆、レモン酵素、フルーツビネガーなどを作っていきます。

ヨーグルトは磐石な出来栄え(ヨーグルト(ギリシャ)モード)

「ヨーグルト(ギリシャ)」モードは、42℃で8時間保温するモード。今回はデフォルトの時間と温度で調理しましたが、温度と時間を手動設定すれば、カスピ海ヨーグルトなど、特殊菌の培養も可能です。また、「KGY-713SM」は最低温度が20℃と低いので、多くのヨーグルトメーカーでは培養が難しいとされるケフィアヨーグルトにも適した保温ができます(付属のレシピでは、ケフィアヨーグルトの培養に適した温度は24℃となっています)。

材料は無調整牛乳と、種菌となるヨーグルト。今回は両方とも常温のものを使用しました

材料は無調整牛乳と、種菌となるヨーグルト。今回は両方とも常温のものを使用しました

容器は、100mlほど水を入れて600Wのレンジで2分弱加熱することで消毒できます。容量2Lの容器を熱湯消毒するとなるとけっこうな量のお湯が必要なので、この方法で消毒できるのはうれしい!

無調整牛乳とヨーグルトをよく混ぜ、容器ふたと容器ハンドルを付けて本体にセット。ハンドルを付けることで容器の出し入れが楽になります

あとは「メニュー」ボタンで「ヨーグルト(ギリシャ)」に合わせるだけです。楽〜

あとは「メニュー」ボタンで「ヨーグルト(ギリシャ)」に合わせるだけです。楽〜

8時間後、ヨーグルトが問題なく完成しました。3時間以上冷蔵庫で冷やすと食べごろに

8時間後、ヨーグルトが問題なく完成しました。3時間以上冷蔵庫で冷やすと食べごろに

できあがったヨーグルトは、付属のチーズフィルターを使用して水(ホエイ)切りすれば、ギリシャヨーグルトになります。チーズフィルターは別途ペーパーフィルターなどをセットせずにそのまま手軽に使えるタイプ。ただし、調理用の容器の容量は2Lなのに対し、チーズフィルターの容量は1L程度。容器いっぱいにヨーグルトを作ってしまった場合、一気に水切りができないのでご注意ください。

容器に重ねたチーズフィルターにヨーグルトを注ぎ、冷蔵庫で6時間ほど水を切ります

容器に重ねたチーズフィルターにヨーグルトを注ぎ、冷蔵庫で6時間ほど水を切ります

ギリシャヨーグルトのできあがり。安定のおいしさです

ギリシャヨーグルトのできあがり。安定のおいしさです

できたてフレッシュチーズは罪なおいしさ(麹/チーズモード)

次に、「麹/チーズ」モードでチーズを作ります。「麹/チーズ」は、60℃で6時間保温するモード。チーズは買うと高いので、貧乏性の筆者はチーズを買ってもチビチビとしか使えないのですが、自作すれば惜しみなくたっぷり使えてうれしいです。しかも、「KGY-713SM」で作ったチーズは超美味なのです!

材料は、牛乳とレモン果汁(もしくは酢)、好みで塩を入れてよく混ぜたら準備完了

材料は、牛乳とレモン果汁(もしくは酢)、好みで塩を入れてよく混ぜたら準備完了

「麹/チーズ」モードで6時間保温すると、カッテージチーズが完成。冷蔵庫で3時間ほど凝固させ、ガーゼなどで水気を切ればおいしく食べられます

かたまり状の仕上がりにしたい場合は、ギリシャヨーグルトを作るのと同じように、チーズフィルターにカッテージチーズをそそぎ、冷蔵庫で6時間ほど水を切ります

しっかり水が切れたら、クリーム風チーズのできあがり。ワインに合うような深みのある味ではなく、新鮮なミルク味の超フレッシュチーズです。う、う、うまーーーーい!

マーマレードジャムを添えるだけで、レアチーズケーキのようになっておいしいし……

マーマレードジャムを添えるだけで、レアチーズケーキのようになっておいしいし……

トマトとバジルでカプレーゼにしても最高! 食事にスイーツにと大活躍で、たくさん作ってもすぐになくなってしまいます。これは、作る価値アリ

チーズの水切りをする際は、容器にふたをかぶせて回し、遠心力によって水分を飛ばす「回転式脱水機能」を使用すれば、より早く水が切ることができます。ただコレ、長時間だとキツいので、野菜の水切器についているようなハンドルが付属するといいなと思いました。個人的には、納豆容器よりこちらのほうが使用頻度が高いのではと思うのですが……。ちょっと残念ポイントでした。

容器にふたをした状態でふたのくぼみに指を当てて容器ごと回転させるのですが、指の位置が安定せず回しにくい……。どうしても時間が足りないという時しか使わない気がします

3分ほど回転させて切れた水の量は、このくらい。すでに3時間ほど水切りをした後ということもあるのですが、ここからさらに3時間冷蔵庫で水切りをしても、そこまで硬い仕上がりにはならなかったので、期待したほどの効果はない、かな?

甘酒は短時間で超甘くなる!(麹/チーズモード)

「麹/チーズ」モードは麹の発酵にも適しているので、最近人気の甘酒も作ることができます。「メインの用途は甘酒作り」という人でも満足できる仕上がりです。

材料は米麹、米、お湯

材料は米麹、米、お湯

合わせた材料を1時間ごとにかき混ぜながら6時間保温すると、とろっとろで甘い甘酒の完成です

合わせた材料を1時間ごとにかき混ぜながら6時間保温すると、とろっとろで甘い甘酒の完成です

容器の底の面積が広く材料が効率的に保温されるためか、比較的短時間で非常に甘くなります。5時間くらいで切り上げても十分かもしれません

納豆作りは下準備がちょっと大変(納豆モード)

「納豆」モードは、42℃で24時間保温するモードです。筆者は納豆が大大大好きですが、いくら好きでも手作りしようと思ったことはないので、うまくできるかドキドキです。準備にも時間がかかり、保温時間も24時間と長いので、失敗は許されません!

材料は、大豆と種菌となる納豆。ヨーグルトと同じ要領で増やしていくんですね

材料は、大豆と種菌となる納豆。ヨーグルトと同じ要領で増やしていくんですね

15時間水に浸した豆を、やわらかくなるまで5時間ほど煮ます。この作業が非常に大変だったのですが、大豆の水煮を使えばもっと手軽に作れるのかもしれません

納豆容器に熱いうちに納豆を混ぜ、納豆ろうとをかぶせて24時間保温したらできあがり。本当に納豆になってる!

味はというと、大粒の大豆を使ったせいか、普段小粒慣れしている筆者には「豆感」が強すぎるような気がしました。もっと長く発酵させればよかったのか? 個人的には、納豆は買ったほうが手軽で安くておいしい、という結論です

レモン酵素がたったの3日で完成!(酢/酵素エキスモード)

「KGY-713SM」の超・長時間保温機能を生かして、レモン酵素にも挑戦。「酵素」が健康によいのは知っているけれど、市販の酵素ドリンクは毎日摂るにはコストが高いし、とはいえ、室温下で作るとなると2週間程度、時間がかかるそう。ところが、「KGY-713SM」の「酢/酵素エキス」モード(50℃で72時間保温)を使用すれば、材料を混ぜて本体にセットしたら、あとは丸3日間、家のブレーカーが落ちないよう気をつけて生活するだけで作れます。

材料は切ったレモンと砂糖だけ。よく混ぜて本体にセットします

材料は切ったレモンと砂糖だけ。よく混ぜて本体にセットします

72時間で発酵完了! チーズフィルターで果肉と酵素に分離したら、甘酸っぱくておいしいレモン酵素のできあがりです

炭酸割りや豆乳割りで飲めば、手軽においしく酵素が摂れます。サワーに入れてレモン酵素サワーにするのもいいですね

フルーツビネガー(酢/酵素エキスモード)

「KGY-713SM」の調理モードはとても便利ですが、手動で温度や時間を設定して調理することも可能です。ということで最後は、手動で時間を調整してフルーツビネガーを作ります。フルーツビネガーは50℃で12時間保温すれば完成するので、「酢/酵素エキス」モードに設定した状態で、保温時間だけ調整すればOKです。

材料は、イチゴ、ブルーベリーなどのフルーツ、酢、氷砂糖。材料をすべて混ぜて本体にセットします

材料は、イチゴ、ブルーベリーなどのフルーツ、酢、氷砂糖。材料をすべて混ぜて本体にセットします

「酢/酵素エキス」モードを選択し、「時間/温度」ボタンを1回押してパネルの「時間」が点灯している状態になったら、「+/−」ボタンで時間を12時間に設定します。なお、モードを選択していない状態からでも「時間/温度」ボタンを押せば、温度と時間を調整することができます

室温下で作った場合、通常1週間程度かかるといわれるフルーツビネガーですが、12時間保温すれば完成。甘酸っぱい香りが漂います

赤い液色が見た目に美しく、炭酸や牛乳などで割るとおいしいです。残ったフルーツは、砂糖と水と合わせて煮れば、ヨーグルトやチーズと相性抜群のジャムになります

まとめ

「KGY-713SM」を毎日のように使用して感じたのは、まず、多くのメニューがボタンひとつで調理できる点が楽! ということ。ヨーグルトや甘酒など、何回作っていても、「えーと、○℃で◎時間でよかったっけ?」と、心配になってレシピを見返すことがあるのですが、「KGY-713SM」ならそんな事態はまず起こりません。また、最長99時間という超ロング保温が可能なため、「KGY-713SM」だからこそ作れる発酵食品も多くあり、レパートリーが広がります。いろいろな発酵食品を作りたい方や、料理好きの方も満足できるのではないでしょうか。汎用性の高さでいうと、2017年5月現在、「KGY-713SM」に匹敵する製品を探すのは難しそうです。

ただその分、値段は10,980円(2017年5月29日時点の価格.com最安価格)と、ほかの「発酵食品メーカー」と比べて高め。「ヨーグルトや甘酒が作れれば十分」という人ならば、半額以下で必要十分な機能を備えた製品が手に入ることを考えると、ボタンひとつで手間なく調理ができる便利さにどれだけありがたみを感じるかや、長い保温時間の活用度などによって、コストパフォーマンスへの評価は分かれそうです。

大泉瑠梨(編集部)
Writer
大泉瑠梨(編集部)
美容・健康家電を中心に新製品レポートやレビュー記事を担当。時には体を張って製品の実力をチェックします。
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