パナソニックは、新開発の「6枚刃システム」を搭載したリニアシェーバー「ラムダッシュ」6枚刃シリーズ3機種を、2021年6月6日より発売する。
6枚刃シリーズは、従来モデルに搭載されていた「スリムコームスリット刃」を一新した「アゴ下トリマー刃」を2枚と、「くせヒゲリフト刃」と「フィニッシュ刃」というネット刃・各2枚の合計6枚の刃を搭載。この新しい「6枚刃システム」により、アゴ下部分などの長いくせヒゲのカット率が、従来モデルの約4倍と大幅に向上したという。
市場想定価格は、全自動充電洗浄機と「USB充電ケース」が付属する最上位モデル「ES-LS9AX」(充電式)が66,000円(税込)、USB充電ケースが付かない「ES-LS9N」(充電交流式)が55,000円(税込)、そして本体のみの「ES-LS5A」(充電式)が44,000円(税込)。
ここでは、2002年より電気シェーバー業界を牽引してきた「ラムダッシュ」が満を持して発表した6枚刃シリーズの進化ポイントを解説しつつ、実際に最上位モデル「ES-LS9AX」でシェービングしてみて、その使い心地をレビューする。
6枚刃シリーズ最上位モデル「ES-LS9AX」の本体
「ES-LS9AX」のセット内容。「USB充電ケース」(左上)と「全自動洗浄充電器」(右上)が付属する。このほか、専用洗浄剤と専用オイル、掃除用ブラシが同梱される
6枚刃シリーズの進化ポイントは、大きく分けると、
●「6枚刃システム」×「リニアモーター駆動」
●「新密着5Dシステム」
●新デザインとUSB充電が可能な収納ケース
の3つだ。
いちばん上の「6枚刃システム」は、ヒゲの剃り残しを減らすために、短いヒゲから長いくせヒゲまでアプローチできる3種類、計6枚の外刃を使用。まずは、新採用の「アゴ下トリマー刃」が長いクセヒゲを短くプレカットし、短くなったヒゲを2種類のネット刃が、厚刃60μm部分で肌をガードしながら、41μmの薄刃部分で根元から深剃りする。なお、内刃は、「ラムダッシュ」おなじみの「30°鋭角ナノエッジ内刃」を採用。
上から3枚は、さまざまなヒゲを深剃りするネット刃「フィニッシュ刃」、長いクセヒゲをプレカットする「アゴ下トリマー刃」、寝たヒゲをすくい上げて深剃りする「くせヒゲリフト刃」で、中央を境にしてシンメトリーに、「くせヒゲリフト刃」「アゴ下トリマー刃」「フィニッシュ刃」という順に並ぶ
本シリーズは、最高の剃り味を実現するために、刃にもこだわっている。素材は、日本の刃物の多くで使われている「安来鋼(やすきはがね)」を採用。これを、叩いて(鍛造プレス)、焼いて(焼入)、研ぐ(研削)という、日本刀と同様の製法で加工することで、硬く、丈夫で、サビづらい刃に仕上げている。ちなみに、刃の交換時期は、従来モデル「ES-LV9F」では、外刃が約1年で内刃約が2年ごとだったが、本モデルでは外刃6枚と「30°鋭角ナノエッジ内刃」がセットになった仕様で、約1.5年ごとの交換が推奨されている。
刃の駆動には、「ラムダッシュ」シリーズおなじみの「高速リニアモーター」を使用。同ブランド史上最速となる1秒間で約220回のストロークにより、「6枚刃システム」によって捕らえたヒゲを残さずに剃り切る。これらにより、あご下の長いくせヒゲのカット率は、同社従来品「ES-LV9F」の約4倍まで向上したという。
ヘッド部と刃の動きも進化している。
本モデルはヘッド部に「密着5Dヘッド」を採用。前後、左右、上下に加え、前後にスライド&ツイストの5パターンで可動して360°全方位にスイングするので、顔の形状に合わせてぴったり密着してくれる。
ヘッド部は、人の首のようにグニングニン動く。大抵の凹凸には密着できるだろう
また、6枚の刃が独立して1枚ずつ上下に大きく可動し、刃それぞれが肌にやさしくフィットする「密着フロート刃機構」も搭載しており、アゴ下の複雑な凹凸、頬や首回りのやわらかい部分にもぴったりと密着し、肌への負担を抑えながらやさしく深剃りする。なお、6枚刃による圧力分散により、肌の負担が従来の「ES−LV」シリーズと比べ、10%低減されている。
いちばん手前の「フィニッシュ刃」を指で押し下げたところ。左に深く下がっていることがわかる。6枚とも、同じように上下する
何気に重宝しそうなのが、本体を収納したまま、USBケーブル(Type-A-Type-C)で充電できる収納ケースだ。出張や旅行などで持ち運んだ際に、わざわざ本体を出さずに充電できるのはありがたい。
最上位モデル「ES-LS9AX」にのみ付属する「USB充電ケース」。ケース下部にはUSB Type-Cの端子が搭載されており、本体を入れたまま充電できる
充電時間は、「ES-LS9AX」と「ES-LS9N」に付属する全自動洗浄充電器での充電時間が1時間で、「USB充電ケース」を使ったUSB充電が2時間。フル充電で約14日間使用可能(1日1回、約3分間ドライ剃り、室温20〜30℃で使用した場合)だ。なお、使用日数に関しては、前・最上位モデル「ES-LV9FX」と同じだ。
デザインは、「ラムダッシュ」史上初の6枚刃モデルにふさわしく、上質感にあふれる。従来はシルバーカラーやメタリック調のボディが多かったが、本モデルはマットな「クラフトブラック」を採用。ハンド部は、手にしっくりとなじむ洗練されたボディラインに仕上げており、さまざまな持ち方に対応しそうだ。
白色LEDを採用したディスプレイ。電池残量、充電表示、刃点検催促、洗浄催促、ロックマークのみのシンプルな設計だ
最後に、実際にシェービングして、その進化を体験してみた。今回剃るのは、3日間伸ばしたヒゲだ。
口ヒゲやアゴヒゲはしっかりと、頬やあごのヒゲもまばらに生えている
まずは、約4倍剃れるようになったという、あご下の長いくせヒゲに対してワンストローク使ってみた。
その結果が下の写真。
写真の右半分をワンストロークだけ剃ってみた。それだけで、長いくせヒゲがここまで剃れる
ワンストロークのスゴさに驚きながら、全体もシェービング。あごや口周りも密着感は問題なし。本体重量は、前・最上位モデル「ES-LV9FX」よりも5g重い220gだが、ハンドリングには影響はない。スルスルとシェービングできる
シェービング中は、「ジジジジジジ」という音とともに剃れている感触が伝わってくる。とはいえ、ひげが引っ張られている感触(あれは痛い)は1度もなく、ただ肌の上を滑らせているだけで剃れているようだ。剃り上げるまでの時間は、2分30秒だった。筆者は普段、ブラウンの最上位モデル「シリーズ9」を使用しているが、それよりも多少早く剃り上げられた印象。
口とあご周りは、ブラウン「シリーズ9」よりも多少深剃りできた印象だ。あご下もしっかりと剃り上がっている
とにかく、あご下のくせヒゲをワンストロークであれだけ剃り上げる深剃り性能には、ただただ驚いた。このおかげで、シェービング時のストローク数が少なくてすむので、肌にもやさしいと言えるはずだ。
パナソニック調べによると、テレワークが日常化した昨今、毎日剃る人よりも、「3日に1回剃る人」が増加傾向にあるという。
コロナ禍前と比べ、3日に1回剃る人は約2倍に増加
個人差はあるものの、3日間伸ばしたひげは基本的に長いために、一般の電気シェーバーだとしっかりキャッチできず、なかなか剃りにくい。そんなヒゲに対して、早く、深く、やさしくシェービングできる本機は、コロナ禍の今、もってこいのモデルと言えるだろう。
6枚刃シリーズは、最上位モデルゆえに、なかなかの高級品ではある。しかし、それぞれ1万円の価格差がついた3モデルがラインアップされている点はうれしいポイント。「全自動洗浄器とUSB充電ケースが揃ったうえに、風呂剃り対応な全部入りが欲しい人」は「ES-LS9AX」を、「USB充電ケースが付かず、風呂剃りにも対応しないが、充電しながら剃れる6枚刃モデルでよい」なら「ES-LS9N」を、「付属品はないが、6枚刃および風呂剃りを体験したい人」は、「ES-LS5A」を選ぶといいだろう。