プリキュアが「男の子だってお姫様になれる!」と叫んだ。はぐプリ19話が伝えた、すごいこと

「ジェンダーの多様性に切り込んだ歴史に残る回」
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HUGっと!プリキュア
HUGっと!プリキュア公式サイトより

テレビ朝日系列で放送されているアニメ「HUGっと!プリキュア」。2004年から続く人気アニメシリーズ「プリキュア」の通算15作目として、2018年2月から放送されている。

「はぐプリ」は、中学生の女の子・野乃はな達が、不思議な赤ちゃん「はぐたん」を守るため、そして世界の未来を守るために、伝説の戦士「プリキュア」に変身して悪に立ち向かっていくストーリーだ。

そんな「はぐプリ」の19話(6月10日放送)でのキャラクターの発言が、Twitter上で「ジェンダーに切り込んでいる」と反響を呼んでいる。

19話では、主人公・野乃はなの妹の同級生・愛崎えみるが、新進気鋭のデザイナー吉見リタ氏からギターの腕を買われてファッションショー出演のオファーを受けるところから始まる。

ショーのテーマは「女の子もヒーローになれる!」だ。

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愛崎えみる
HUGっと!プリキュア公式youtubeより

えみるは、ヒーローに憧れる、エレキギターが好きな女の子。だが、いまいち自分に自信が持てず、心配性も相まってオファーを受けることを渋っていた。ギターも兄・正人に「女の子らしくないし、家風に合わない」と反対されている。

そして正人は、同じくファッションショーでモデルを務める同級生の男子、若宮アンリにも、敵意を向けていた。

アニメの中ではネクタイをリボンのように結んでいたアンリに向かって「女子みたいだよ、君の格好。男子の中で浮いているのが心配なんだ」とからかい、ショーのテーマに反発して、えみるに「自分の考える理想の女子像」を押し付ける。

「おかしいよね、ヒーローって男のための言葉だよ。女の子は守られる側だ。言葉は正しく使わなきゃ。女の子はヒーローになれない」

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正人に対抗する野乃はな
HUGっと!プリキュア公式youtubeより

そこに、はなが駆けつけ「誰の心にだってヒーローはいる!人の心を縛るな!」と叫ぶのだ。

そして、白いドレスを着たアンリが現れる。「君、男だろ」と鼻で笑う正人に、アンリは「すごく素敵だって思ったからだ。僕は自分のしたい格好をする。自分の心に制約をかける。それこそ時間、人生の無駄」と言い放つ。

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吉見リタとドレスを着た若宮アンリ(右)
HUGっと!プリキュア公式youtubeより

男の子だってお姫様になれる

そんななか、ストレスをためた正人の心につけいる悪の組織・クライアス社によって、正人は怪物オシマイダーにされてしまう。オシマイダーはショーに乗り込み、会場をぶち壊しにする。

一大事にプリキュアに変身したはな達が現れるが、がれきからえみるを守ろうとしたアンリが鷲掴みにされてしまった。

「遅いよ、ヒーロー。僕、お姫様ポジションになっちゃってない?」と苦笑いするアンリに、「いいんだよ!」と力強く答えるキュアエール(はな)。

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オシマイダーと戦うキュアエール(野乃はな)
HUGっと!プリキュア公式youtubeより

そして「男の子だってお姫様になれる!」とオシマイダーを倒しに行くのだ。

このセリフに、Twitter上がざわめいた。

君も苦しいのか

戦いのラスト、 ストレスをため込み、オシマイダーになった正人に向かって、アンリは「そうか、君も苦しいのか」と語り掛ける。

「ごめんね。けど、僕は君のために僕を変えることはできない。誰に何を言われたって、かまわない。僕の人生は僕のものだ。僕は僕の心を大切にする。だって、これが僕、若宮アンリだから」

男女のステレオタイプに囚われる正人の気持ちに対し「君ももっと、君の心を愛して」と伝えた。

このシーンに対し、やりたいことをやることを許す大切さに触れる声もあった。

横山光輝先生の「魔法使いサリー」から始まった魔女っ子アニメ。

ひみつのアッコちゃん、そして女性としての魅力を、男性を意識したものではなく女の子自身のパワーとして描いた、魔女っ子メグちゃん。少し大人になった自分に変身し、最終的には魔法を失うことで自分のアイデンティティに気が付くクリィミーマミ。

そして、「かわいさ」と「強さ」という対立をあっさりと否定し、ガールズパワーの爆発とジェンダーの概念を変えていったセーラームーンなど、少女向けアニメは時代を反映して、時にはリードしてきた。

プリキュアシリーズは当初から肉弾戦がメインの戦う女の子が主人公だった。

少女向けといわれるアニメが「女の子もヒーローになれる!」というメッセージを出すのは、いままでもあった。プリキュアのすごいところは、「男の子もお姫様になれる」とまで言及したことだ。

多様性に切り込んだ「はぐプリ」19話は、「女らしさ」「男らしさ」に囚われない、名作回だった。