ヤフー、19期連続で増収増益--ヤフオク!堅調も「メルカリにだいぶ詰められた」と宮坂氏

 ヤフーは4月28日、2015年度通期および第4四半期の決算を発表した。

(左から)ヤフー副社長執行役員CFOの大矢俊樹氏、ヤフー代表取締役社長CEOの宮坂学氏
(左から)ヤフー副社長執行役員CFOの大矢俊樹氏、ヤフー代表取締役社長CEOの宮坂学氏

 通期の売上高は、6523億円で前年度比52.2%増。また営業利益は2249億円で前年度比14.1%増。当期利益も1716億円で前年度比29.0%増と、19期連続の増収増益を達成した。また、今回の決算には子会社化したアスクルの売上高、営業利益なども加わっている。

 業種別での通期の業績では、主軸の広告関連事業が堅調に推移し、売上高が2669億円と前年度比6.8%増加。ディスプレイ広告を展開する「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」が成長を牽引。検索クエリ減少による検索連動型広告が前年度比7.7%減の1404億円だった一方で、ディスプレイ型広告が前年度比29.4%増の1264億円と伸び、売上高増につながっている。

 YDNが好調だった要因として、スマートフォン向け「Yahoo! JAPAN」トップページのリニューアルが挙げられる。表示スタイルをタイムライン方式に変更し、従来のバナー広告に代わりインフィード広告を導入。結果、トップページの広告クリック数が2.2倍に伸び、スマートフォン広告売上高比率も初めて4割を超える44.1%を達成している。

 Eコマース事業では、「Yahoo!ショッピング」の急速な伸び、アスクルが法人向けに展開するECサービス「ASKUL」が連結になったこともあり、国内流通総額が初の1兆5000億円超えを達成した。オークションサービスの「ヤフオク!」は、落札システム利用料の改定の影響も少なく、ヤフオク!単体の流通額も5.9%増の8667億円で堅調に推移した。

 特に、先行投資事業と位置づけられているYahoo!ショッピングは、商品数が2億と国内最大となり、取扱高も2015年度第4四半期単体で1128億円と1000億円を突破した。また、もう一つの先行投資事業であるクレジットカード事業は、「Yahoo! JAPANカード(YJカード)」発行開始にともない、有効会員が前年度比3.7倍の221万人を達成。取扱高も堅調に推移している。

 また、これまで“ヤフオク!を利用するため”の色合いが強かったプレミアム会員の待遇改善をはかるべく、Yahoo!ショッピングでの買い物時に「Tポイント」が通常の5倍となるキャンペーン施策を実施。Yahoo!ショッピングを利用するための“理由作り”に力を入れている。このほか、動画配信サービス「プレミアムGYAO!」のプレミアム会員向け割引施策などを実施している。

  • 決算ハイライト。19期連続で増収増益を達成

  • 業績ハイライト。広告関連事業の売上高が前年度比6.8%増の2669億円に

  • 2015年度通期の連結キャッシュフロー

ヤフオク!について「メルカリにだいぶ詰められた1年だった」

 ヤフーでは、「スマホシフト」の一環として、スマートフォン向けアプリを多数提供している。2016年度では、サービスの競争力強化のためフラッグシップアプリを中核としてアプリの集約を図る。同社のスマートフォンアプリは累計で3億8000万ダウンロードを達成しており、ゲーム系を除くと国内トップのパブリッシャーに成長している。スマートフォンでの広告配信の成功などもあり、今後もスマホシフトを継続していく。

 また、2016年夏ごろにはフィンテック領域の強化として、「Yahoo!ウォレット」にて電子マネー「Yahoo!マネー」を提供する。インハウスでの決済方法として、YJカード、ジャパンネット銀行、Yahoo!マネーなどの利用率を上げていく。ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏は「電子マネーで一番難しいのはチャージ」とし、「ヤフオク!などC2Cの取引にYahoo!マネーを利用してもらい、それをYaho!ショッピングで利用してもらう。オークションのC2Cの流通がショッピングに加算されるチャンス」と述べた。

 なお、ヤフオク!での取引を簡略化する「取引ナビ」のベータ版については、落ち着いた頃に正式提供するとしている。宮坂氏は「オークションはメルカリさんにだいぶ詰められた1年だった。やはりもっと簡単に買えるようにしないといけない」と、他社の動向について言及した。また、「シェアリングエコノミーが話題だが、元祖はヤフオク!だと思っている。オークションもシェアリングエコノミーもやっていきたい」と述べた。

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