竹内涼真:「テセウスの船」4カ月やり切った“心さん”役「苦しかった」 最終回は「僕自身は好きなラストに」

ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」で主人公・田村心を演じる俳優の竹内涼真さん(C)TBS
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ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」で主人公・田村心を演じる俳優の竹内涼真さん(C)TBS

 「あっという間、という感じではないですね」。4カ月に及ぶ撮影をこう振り返ったのは、連続ドラマ日曜劇場「 テセウスの船」(TBS系、日曜午後9時)で主演を務めた俳優の竹内涼真さん(26)だ。竹内さん演じる主人公・田村心が、タイムスリップした過去で無差別殺人事件の謎を追う姿を描く物語。3月22日の放送でいよいよ最終回を迎える。今作での経験を“宝物”と語る竹内さんに、「がむしゃらにやった」という撮影を通して感じた思いや、父・文吾役の鈴木亮平さんとのエピソード、最終回について直撃した。

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 ◇精神的にも、肉体的にも「きつかった」

 原作はマンガ誌「モーニング」(講談社)で連載された東元俊哉さんの同名マンガ。主人公の田村心(竹内さん)が31年前にタイムスリップし、父で警察官の佐野文吾(鈴木さん)が逮捕された「音臼小無差別殺人事件」の謎を追う……というストーリー。

 3月19日にクランクアップを迎え、翌日の電波ジャックの合間に取材に応じてくれた竹内さん。昨年11月から撮影がはじまり、今年1月に行われたドラマの会見では、歴史ある「日曜劇場」での初主演ということで、「クランクインの前夜は、眠れなかった。珍しく緊張してしまった」と話していた。ドラマを手がける渡辺良介プロデューサーも、「もうちょっと肩の力を抜いてくれないかなというくらい思い詰める」と竹内さんの様子を明かしていたが、竹内さんは「(撮影は)大変だった」と率直に振り返る。

 「彼(心)がタイムスリップしたり、現実世界で起こっていることは、やっぱりすごく大変なので、そこをどう見ている人に分かってもらえるか。どういうリアクションをしたら、お客さんが物語に引き込まれていくのかということを大切にしなきゃなと思っていた。毎日毎日、集中を切らさずに、“田村心”としてブレずに気持ちを持っていけるかというのが今回の撮影の勝負だった」

 父のため、家族のために必死に動くも、次々と試練が訪れる心。「やっぱり姉ちゃんの言う通りだったのかな……。結局、俺たちはこういう運命なんだよ。もう何しても、どうせ何も変わらないんだよ……」と絶望に打ちひしがれる姿が描かれたこともあった。竹内さんは、「彼が直面している状況って結構つらいので、やっているうちに(自分も)苦しい気持ちになっちゃうんですよね」と振り返る。

 一方で、佐野鈴役の白鳥玉季ちゃん、佐野慎吾役の番家天嵩くんがいる家族のシーンでは、力をもらったといい、「佐野家の子供たちがとても元気だし無邪気で。彼らと一緒にいると、きつくても撮影が頑張れました」と笑顔を見せる。

 竹内さんによると、精神的に一番きつかったのは、第1話だったといい、「タイムスリップの前は一番きつかったです。殺人犯の息子として生きてきて、自分の唯一の味方である奧さんが冒頭で死ぬって、彼の人生の中でものすごいきついことだと思うんですよ。そこから物語が一気に展開していくので、どれぐらい自分を追い込まなきゃいけないのか、ということを探るまでが一番大変だった」と明かす。

 一方、肉体的に大変だったのは、寒さもあり天候も安定しない雪山での撮影だった。暖冬のため、予定していた場所に雪が降らず、別の場所を探さなければいけないハプニングもあったというが、「行ってみたらものすごい雪で(笑い)。ふぶくし、過酷な環境でした」と振り返る。

 「だけど、ああいう過酷さがあったからこそ、『テセウスの船』っていう作品のイメージだったり、田村心がもがきながらがむしゃらに家族のために頑張ろうとする雰囲気が出た。結果、良かったですね」と続ける。

 ◇“父”鈴木亮平は「兄」のよう

 視聴者を引きつける脚本、竹内さんらキャストの熱演、魅力的な音楽、と三拍子そろい、「今クールナンバーワンドラマ」という声も上がっている。第8話では、事件の犯人として、みきお(安藤政信さん、柴崎楓雅さん)のほかに“黒幕”がいることが分かり、SNSでは考察がさらに盛り上がりを見せている。

 そんな今作での経験を“宝物”と話した竹内さんは、「(出演作は)どの作品も宝物になっていくんですけど、主演という立ち位置で演じていて、今まで見れなかった景色を見ることができたし、それをしっかり肌で感じられることができました。大変でしたが、一方で犯人は誰なんだと、皆さんがすごく盛り上がっているので、頑張ったかいがあったという気持ちですね」と話す。

 中でも、父・文吾役の鈴木さんには、「すごく助けていただいた」といい、「心は気持ちが先行する役なので、どうしても前のめりになりすぎちゃうときがあった。そこは亮平さんが一歩引いて見てくれて、相談しながらシーンを作り上げていきました」と明かす。

 そんな鈴木さんとは、ものの見方、考え方が少し似ている部分があるといい、兄のようだと感じている。「だからこそ、今回の心と文吾さんの距離感というものが、すごく良いバランスで。父と子にも見えるし、バディーにも見えるし。充実感があったので、どのシーンも鮮明に覚えています」と話す。

 ちなみに、最初は鈴木さんを「父さん」と呼ぶのが恥ずかしかったという竹内さんだが、「(今では)父さん父さんって言っています(笑い)。佐野さんより圧倒的に『父さん』のほうがいい」。

 ◇黒幕は? 最終回は「1話から積み上げてきたものが完結」

 クランクアップを迎えての思いを、「本当にきつかった(笑い)、スッキリしたなって思う」と語り、すがすがしい表情を見せた竹内さん。最終回は25分拡大で放送され、黒幕をはじめ、事件のすべての真相が明らかにされる。

 「『なぜ黒幕になったのか?』という理由がちゃんと台本に描かれているので、僕は割とスッキリしています」と明かし、「1話から積み上げてきたものがちゃんと完結する感じもあって。悔いはないですね」と語る。

 最後に、視聴者に向けて「皆さんが待ちに待った黒幕が明らかになります。どんな結末になるかは言えないですけど、僕自身はすごく好きなラストなので、最後まで応援していただきたいし、ラストの1秒まで温かく見守っていただけたらうれしいです」と呼びかけた。“心さん”の時を超えた苦難の旅路に今夜、ピリオドが打たれる。

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