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NFTで話題の若手が登場!10月8日〜15日サザビーズ(ロンドン)落札額TOP4と作品解説

2021年10月8日から15日にかけて、サザビーズ「Contemporary Art Day Auction」がロンドンで開催された。ANDARTでも取り扱い中のバンクシーやダミアン・ハーストを始め、近年注目の高まる現代アーティストの作品が続々登場。本記事では、落札額TOP4の作品と、ANDARTに関連する注目作品をピックアップして紹介する。落札価格は手数料込み、1ポンド=157.01円(10月15日終値)で計算。

4)バンクシー《Keep It Real》

落札価格:約7,834万円(£499,000)

《Keep It Real》(2003年)
画像引用:https://www.sothebys.com/

4位には3作品が同額で並んだ。そのうちのひとつが、チンパンジーを描いたバンクシーの作品。擬人化したチンパンジーはバンクシーの作品にたびたび登場する。本作と同じモチーフで、胸に掲げる言葉が違う《Laugh now, but one day we’ll be in charge(今は笑えばいい、いつか俺たちの出番が来る)》(2002年)は、バンクシーが無名の頃に描いた人気作。世界を巡回し、2021年12月にとうとう東京に上陸する「BANKSY展 GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展 天才か反逆者か)」のメインビジュアルにも使われている。この作品に書かれている「Keep it real」には、「ありのままの自分自身であれ」というメッセージが込められている。

予想落札価格:約6,280万円〜約9,420万円(£400,000 – 600,000)

4)セシリー・ブラウン《Hard, Fast and Beautiful》

落札価格:約7,834万円(£499,000)

《Hard, Fast and Beautiful》(2000年)
画像引用:https://www.sothebys.com/


セシリー・ブラウンはロンドン出身ニューヨーク在住の女性アーティスト。2021年7月に業界分析会社のArtTacticが発表したレポートで、「今後6ヶ月間で最も活躍が期待される既存のアーティスト」として奈良美智、マーク・ブラッドフォードとともにブラウンの名が挙げられた。アメリカの抽象表現主義の影響をうかがわせつつ、具象と抽象の境界への探究心が感じられる本作は、モノクロームの激しい筆致が印象的だ。

予想落札価格:約4,710万円〜約6,280万円(£300,000 – 400,000)

4)ジョセフ・アルバース《Homage to the Square: Autumn Air》

落札価格:約7,834万円(£499,000)

《Homage to the Square: Autumn Air》(1968年)
画像引用:https://www.sothebys.com/

ドイツ出身のジョセフ・アルバースは、美術教育者としても知られる。バウハウスなどで教鞭をとり、色彩の作用をまとめた『配色の設計 色の知覚と相互作用』を著した。アーティストとしては、色彩理論を応用した幾何学的な式面構成による抽象画で知られる。本作はアルバースが好んで用いたメゾナイト(木材の繊維を固めて作った板)に描いた油絵。予想落札価格を大きく上回り、同列4位にランクインした。

予想落札価格:約3,140万円〜約4,710万円(£200,000 – 300,000)

3)ハッカタオ《Imago, 2k2 a.C》

落札価格:約1億684万円(£680,500)

《Imago, 2k2 a.C》(2020年)
画像引用:https://www.sothebys.com/

2007年にイタリア・ミラノで結成したアーティストデュオ、ハックタオ。2018年からNFTに参入して以来、急速に人気が高まっている。本作のタイトルは、「Imago 2020 after Covid(COVIDの後の成虫)」を意味し、パンデミックの最中に制作された。昆虫の成長の最終段階を、神話の女神ヴィーナスとも戦士とも見えるような姿で描き、アフターコロナの新しいステージに踏み出す決意を表現している。

予想落札価格:非公開

2)ジャデ・ファドユティミ《A Muddled Mind That’s Never Confined》

落札価格:約1億6,383万円(£1,043,500)

《A Muddled Mind That’s Never Confined》(2021年)
画像引用:https://www.sothebys.com/

ジャデ・ファドユティミは、1993年イギリス生まれの女性アーティスト。27歳の時、史上最年少で作品がテートのコレクションに加わり、注目が高まっている。2021年10月9日に開催されたサザビーズ(香港)で自身のオークションレコードを更新したばかりだったが、今回それをさらに上回る結果となった。アイデンティティが形成される過程を探求し、快楽や欲望といった概念を理解することの重要性を、エネルギーが爆発するようなアクションペインティングで表現している。

予想落札価格:約1,256万円〜約1,884万円(£80,000 – 120,000)

1)FEWOCiOUS《Nice to meet you, I’m Mr. MiSUNDERSTOOD》

落札価格:約3億2,532万円(£2,072,000)

《Nice to meet you, I’m Mr. MiSUNDERSTOOD》(2021年)
画像引用:https://www.sothebys.com/

2位以下と大きな差をつけて、トランスジェンダーを公表している10代の新星アーティストFEWOCiOUS(フュウオシャス)の立体作品がランクイン。FEWOCiOUSは2020年、NFTを積極的に活用しながらデジタルアートを発表しはじめた。2021年6月には、クリスティーズに出品された作品にNFTの入札者が殺到し、オークションサイトがダウンするほどの人気ぶりを見せた。本作はFEWOCiOUSのメタバース「FewoWorld」から生まれたキャラクターで、落札者はオリジンストーリーのNFTも合わせて入手することができる。

予想落札価格:非公開

ANDART編集部が落札情報をピックアップ!

ダミアン・ハースト《Apomorphine》

落札価格:約4,352万円(£277,200)

《Apomorphine》(1991年)
画像引用:https://www.sothebys.com/


動物をホルマリン漬けにした作品など、センセーショナルな作風で知られるダミアン・ハースト。ハーストのペインティング作品の中でも高い人気を誇る「スポット・ペインティング」シリーズは、ポップな見た目ながら薬物をイメージしているというところがハーストらしい。NFTプロジェクト「The Currency」の一貫で制作されたり、アートコレクティブ「MSCHF」によってバラバラにして販売されたりと、たびたび話題を呼んでいる。今回、予想落札価格を大きく上回る結果となった。

ANDARTでは、同じく「スポット・ペインティング」シリーズの作品《M-Fluorobenzylamine》を扱っている。ハーストはビジネスとしてアート活動を行うことでも有名なので、今後の動きにも引き続き注目したい。

予想落札価格:約1,884万円〜約2,826万円(£120,000 – 180,000)

ダミアン・ハースト《Enter the Infinite (The Visions), Ecstasy》

落札価格:約2,373万円(£151,200)

《Enter the Infinite (The Visions), Ecstasy》(2016年)
画像引用:https://www.sothebys.com/

同じくハーストによる本作は、予想最高落札価格のおよそ2.5倍となる価格をマークした。国際的なアートサービス会社「HENI Productions」制作による、約2.5m四方のジャガード織りのタペストリー。万華鏡のような左右対称の模様の「Enter the Infinite」シリーズにはいくつか色と模様のバリエーションがあり、「予言」「超自然」といったサブタイトルが付けられている。本作の「Ecstasy」は「恍惚」の意味。

予想落札価格:約628万円〜約942万円(£40,000 – 60,000)

アンディー・ウォーホル《Portrait of Susanne Stahel》

落札価格:約6,314万円(£402,200)

Portrait of Susanne Stahel》(1980年)
画像引用:https://www.sothebys.com/

アンディー・ウォーホルのポートレイトシリーズも、予想最高落札価格をはるかに上回る好成績を記録。ポップアートの騎手ウォーホルは、1960年代から死を迎える1987年まで、数多くのポートレイトを制作しており、その中にはミック・ジャガーやイヴ・サン=ローランなど各界の著名人もいれば、全く無名の一般人もいた。本作のような平面的なイメージの反復は、大量生産をテーマとしたウォーホルがよく用いた手法である。

予想落札価格:約2,512万円〜約3,768万円(£160,000 – 240,000)

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文:ANDART編集部