私はこの先、多くのヤンキースファンが、デレク・ジーターへの口撃を目撃するだろうと予想している。それは気難しいアンチ・ニューヨークのライターが、彼の成績と素晴らしい栄光に、難癖をつけるだろうということである。

そしてそれは、私の意図するところではない。以前に私はジーターが、ホーナス・ワグナーの後ろでカル・リプケンの前に位置する歴代でも2番目に素晴らしいショート選手であると書いたことがある。つまり私は、ジーターがグラウンドで成し遂げてきたことを、本当に高く評価している。しかし最後のシーズンを迎えている彼が、国中の球場で賞賛を受ける中で、私たちが忘れてはならない完成されたチームメイトが彼にはいる。私が訴えたいのは、このことである。

イチロー・スズキは、ジーターよりも優れた選手である。私は、そう言うことができる。

イチローは、27歳だった2001年に米国にやってきた。そして27歳から39歳(今年は2人共に、40歳のシーズンである)のイチローのWARは57.8で、ジーターの43.7を大きく凌いでいるのだ。この議論における基本的な部分はこれである。 

その比較は、適切ではないと思うだろうか? 27歳〜39歳のイチローが良かったからと言って、22歳〜26歳のジーターほど良かっただろうか? もし27歳になる前のイチローがこちらでプレーをしていたら、ジーターよりも良いWARを残せていただろうかという議論は確かにある。ジーターは21歳でメジャーに昇格したが、ルーキーシーズンは、22歳の1996年だった。日本におけるイチローの最初のフルシーズンは、20歳の時で、彼は打率.385を記録した、その年の彼の成績(.385/.445/.549)は、日本での最後のシーズンの成績(.387/.460/.539)と酷似している。つまりイチローは、20歳の時にメジャーに来ていても、成功した可能性が高いと言えるのではないだろうか。

27歳〜39歳のイチローとジーターを比較すると、打席ではジーターの方が有利だが、その差は思ったほど大きくはない。

ジーター:.308/.375/.437
イチロー:.319/.361/.414

本塁打は178本と111本で、ジーターの方がよりパワーがあった。そしてジーターは、より多く出塁しているが、盗塁数は472回と240回で、イチローが倍近く多い。

2001年〜2013年のジーターは、1,252得点で、27アウト当たり6.0得点だった。その間のイチローは、1,357得点で27アウト当たり5.9得点である。

つまり打撃におけるジーターの優位性は、わずかなのである。

しかし守備におけるイチローの優位性は大きい。

本当に熱心なヤンキースファンであっても、そして守備成績をブロンクス・リバーに投げ捨てたとしても、ジーターのショート守備よりもイチローのライト守備のほうが優れていると、不本意でも認めることになると思う。その成績は確かに、圧倒的にイチローが優位である。27歳から39歳のイチローは、平均的な選手よりも106点の失点を防いでいるが、ジーターはマイナス182点である。そして27歳〜39歳のイチローは、1901年以降で18番目に価値がある野手にランクされるが、ジーターは最下位である。

公平を期すために言えば、WARにおけるジーターのベストシーズン2年は1999年(8.0)と1998年(7.5)で、その時の彼は25歳と24歳だった。イチローのベストシーズンは2004年(9.1)と2001年(7.7)だった。再び言うが、20歳のイチローは、日本のスーパースターだった。

もしWARの正確性に疑念を持つにしても、すべての時においてイチローは、守備についてはジータよりも素晴らしい選手だったのだ。私は、最近の彼の衰え(2010年以降は3割を打っていない)と、ジーターが事実上、毎年10月にプレーしているのに対して、イチローは弱小のシアトルでプレーしていたことで、それが見失われていると思っている。