2019年が目前に迫ってきた。日々多忙なビジネスマンも、お正月ばかりは自宅でゆっくりしたり、実家に帰省したりとのんびりした時間を過ごす人がほとんどのはずだ。ただ、この正月休暇はお餅やおせちをたらふく食べたり、新年を祝うための飲みの席が増えたりすることでお腹周りにお肉が付きやすい時期でもある。

加齢に伴い基礎代謝が減って体重が落ちにくくなるため、このいわゆる「正月太り」で増えた体重は、年を重ねるごとに数字以上の「重荷」になってしまう。休み明けに出社した際に「あれ、ちょっと太った……?」などと言われないようにするには、きちんと対策を講じる必要があると言えよう。

そこで今回、糖尿病専門医、内分泌代謝専門医の山本咲医師に正月太りを防ぐためのコツなどについてうかがった。

  • おせちや餅など、正月には太りやすい食べ物が食卓に並ぶ(写真:マイナビニュース)

    おせちや餅など、正月には太りやすい食べ物が食卓に並ぶ

正月太りが起きる理由

一般的に太る原因として、カロリーの過剰な摂取や運動不足による消費カロリーの低下などがある。正月太りはこれらに加え、食事の内容も太る要因になりうると山本医師は解説する。

「お正月メニューの代表例にはおせちがあります。おせちは昆布巻きや伊達巻き、黒豆、煮しめなど、野菜や海の幸が中心で一見するとヘルシーなメニューに見えます。しかし、『お正月の三が日は火を使わず過ごす』という昔の風習により、おせちには食材が傷みにくくなるための工夫が施されています。具体的には、保存がきくように塩分および糖分を多めに調理しているということです」

例えば、伊達巻き一切れ(約30g)には7gほどの砂糖が入っており、カロリーは約60kcal。約200gの黒豆には約150gの砂糖が入っており、350kcalほどになる(※自社調べ 味付けなどによる増減あり)。

また、餅も正月に欠かせない食べ物だが、五訂増補日本食品標準成分表によると餅(100g)のカロリーは235kcal。一般的な丸餅1つ(約33g)は約80kcalとなり、子ども茶碗一杯のごはん(100g/168kcal)の約半分に相当する計算となる。砂糖やしょうゆなどで味付けした餅を2~3個食べる食事を続けていれば、カロリー過多に陥るのは容易に想像がつく。

塩分や糖分、アルコールも肥満を招く

塩分に注意するものとしては、昆布巻きやかまぼこなどがあげられるという。おせち内のさまざまな食材を複数食べていけば、結果としてトータルではかなりの糖分と塩分を摂取してしまうことになる。

「糖を摂(と)り過ぎると太るというのはよく知られていますが、実は塩分の摂り過ぎも太る原因になります。太るといっても脂肪がたまるのではなく、体内に水がたまることによるむくみが体重増加をもたらします。体内に塩分がたまると、体はその濃度を薄めようとして体内に水分を引き寄せようとします。そのため喉が渇いて水分を摂り過ぎ、水分がたまってむくみを起こし体重が増えるという仕組みです」

また、おめでたい席ではお酒も進みがち。アルコールは食欲を増進させるし、部屋でゆっくりしていれば当然運動不足にもなる。

(1)手軽に食べられるわりにカロリーが高い餅
(2)おせちなどの正月特有の料理に含まれる塩分や糖分
(3)食欲を増進させるアルコール
(4)家でゆっくりすることに伴う運動不足

これらが正月太りを引き起こす主因と覚えておこう。