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タワマンの階層カースト、「挨拶」から「メルカリ利用」まで火種に

「20階より下は、挨拶もできない子供が多いんですよね」  こんな声を聞いたのは、筆者が住む某タワーマンションのエレベーター内。マンション住人だけが参加できるイベントが終わり、パーティールームから帰るタイミングでのことだ。  住人の間では着実に「マンションカースト」なるものが作られているのだなと実感した言葉であった。不動産業界で働く筆者から見ても、住民同士の対立は頭が痛い問題だ。

タワマンカーストの区分は“最上階・中高層・低層”

タワマンカースト

写真はイメージです(以下同じ)

 筆者が住むマンションは35階建て。60階近いものが建ち始めている中では低い部類だろうが、いちおう“タワーマンション”という括りには入っている。最上階はもちろん億ションではあるものの、それを除けばどこも6000万円前後の価格帯。 「マンションカースト」という言葉は、“住んでいるフロアが、そのまま住民同士の上下関係にまで反映されている”という意味で使われる。タワマンがTVドラマで取り上げられた際も、そんな設定になっていた。階が上がるにつれて(どういうわけだか)ステイタスまであがっていくという不可思議な現象。奇妙な話である、たかが同じマンションの階なのにカーストが形成されるとは。  どうやらその区分は、最上階・中高層階・低層階で分かれているようだ。

最上階は、投資目的や別格のリッチ層

 最上階は、主に投資や節税が購入目的となっていることが多く、その場合は組合はおろか日々の生活にもあまり関わってくることはない。また仮に、所有や居住を目的としている場合でも、最上階を買える世帯はズバぬけて裕福だったりして、下の階の人にマウンティングする気もない。  筆者の経験上、彼らはいつも穏やかな雰囲気を身にまとっている。エレベーターで乗り合わせたときに、服装を見れば大体わかる。見た目に派手さやブランド感はないが、会釈や笑顔からも余裕がにじみ出ているのだ。いたって普通の服装ながらも、最上階付近のボタンを押すと、その佇(たたず)まいには妙に納得してしまう部分がある。

火種は、中高層階VS下層階のカースト意識

 これに対して、やっかいなのは中高層階と下層階のカースト意識だ。どちらも頑張って住宅ローンを払っている世帯で、年収に多少違いはあっても社会階層としては同じようなものだ。だからこそ、中高層の住民はマウンティングして差をつけようとするのだろう。  冒頭の「下層階の人は、挨拶もしない」という話は、筆者のマンションでは実際にあることだ(すべてのタワマンがそうとは思わないが)。エレベーターで乗り合わせても、挨拶はおろか会釈さえせずに、そそくさと降りていく下層階=6階以下の人もいる。エレベーターホールに複数の人間が溜まっているのを見て、階段で昇っていく人もいる。  挨拶をできないほど民度が違うわけはないから、「中上層階とあまり顔を合わせたくない」というコンプレックスがあるのかもしれない。本来は、下層階だって平均よりはるかにリッチだし、恥じる必要など全くない。だが、そこには中高層の住人による日頃のマウンティングが関係している可能性が高い。
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「メルカリで売る」と言ったら下層?
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