【Plastic Tree】Plastic Treeできれ
いな絵を描きたかった
L→R ナカヤマアキラ(Gu)、佐藤ケンケン(Dr)、有村竜太朗(Vo)、長谷川正(Ba)
前作「マイム」から約半年、36枚目となるニューシングル「スロウ」は繊細なバンドサウンドが奏でるミディアムバラード。緩やかに漂うような世界観が美しい同曲について、有村竜太朗(Vo)と長谷川正(Ba)に訊いた。
取材:舟見佳子
まず“スロウ”というタイトルなのですが、これは“ゆっくり”という意味?
有村
もちろんです。曲の大もとの種みたいなのは結構前からあった曲なんですよね。それを曲にしましょうっていう作業をしたのは去年か一昨年で。種ができて曲になるまで、全てにおいて時間かかったほうじゃないですかね。
“スロウ”だったんですね?
有村
そうですね(笑)。そういった意味でもまさにスロウな作り方をした曲でしたね。
楽曲は竜太朗くんと正くんの共作という。
長谷川
こういう曲にしたいんだろうなっていう世界観が分かりやすかったので、取り組みやすい曲ではありましたね。絵で例えると、すごくラフにガーッと描いてあるんだけど、こういう絵が描きたいんだろうなぁっていうのが伝わってきたんで、その続きを俺が描いていった、って感じですかね。
歌詞についてはどうでしたか?
有村
物量がないと自分的に納得しないだろうなっていうのは思ってました。まず出てくる言葉みたいなのをバンバン自分の中で溜めていって、結構溜まり切ったなぁってところで、いろいろ整理して作ってみようとなった時に、だんだんテーマが自分の中で見えてきたというか。“あぁ、これ、時間のことを歌ってるんだな”って。
時間、ですか?
有村
でも、それくらいで、あとはあんまりまとめてないんですよね。どっちかって言うと、この曲にはあんまり意味を持たせたくなくて。時間のことを書いてるんですよねっていうくらいで、あとはもう…ずるい言い方になっちゃうけど、聴き手に任せたいというか。今回、一番やりたかったのは、Plastic Treeできれいな絵を描きたいっていうこと。バラード…こういう曲調のもので俺が一番好きなのは、音楽的なところというよりも“きれい”なところなんですよ。メロディーだったり、アンサンブルだったり、もちろんそれに対しての言葉だったり。曲を聴いた時に、なんとなく、理由もなく出てくる風景だったりっていうのが、きれいだといいなっていうのがあって。それを突き詰めたかったっていうのが今回、個人的なテーマではあったかな。
では、カップリングの「カオスリロン」ですが、歌詞はケンケンくん、曲はアキラくんという作品ですね。
有村
カップリング曲を決める時に、いくつか曲がある中からどの曲にしようみたいなのがあったんだけど、次はケンちゃんが歌詞を書くっていうのが決まってて。だから、この曲の中からケンちゃんが決めていいよ、みたいな。ナカちゃん(ナカヤマ アキラ)が曲を作ってきたんですけど、すごいカッコ良かったんで、バンドとしてもこの曲は早くやりたいよねっていうのもあったし、それですんなり決まりました。
前作に続いて、今回もCDジャケットは劇団イヌカレーさんのイラストですね。4枚を組み合わせると一枚の大きな絵になるという。
長谷川
イラストに関してはお任せです。曲がちょっとずつ出来上がっていく、その都度その都度音を送って。だから、裏でイヌカレーさんが僕らと一緒に作業をしてた、みたいな感じですね。
また、今回のシングルは4パターンでリリースされますが、それぞれにMVなどのDVDやリミックス音源が収録されているという。初回限定盤Bの特典DVDの「スロウ」Lyric Videoというのは?
有村
いわゆるタイポグラフィーみたいな感じのPVです。文字だけで表現できることってないかなぁみたいな感じで。ほんと歌詞だけに焦点を当てたようなPVですかね。
初回限定盤Cの特典DVDには、竜太朗くんの弾き語りバージョンで「スロウ」の映像が収録されていますが。
有村
これは最近よくやってる弾き語りですね。曲調が弾き語りができるタイプだったんで、じゃあ記録として映像で撮ってみようか、みたいな感じで。で、いざやろうと思ったら、弾き語りだとこのコードじゃないなって話になって、その場でコードを変えたりもして。それも一要素として楽しんでもらえたらと思ってます。
初回限定盤Aの特典DVDは「スロウ」のMVなのですが、どんな映像になっているのですか?
有村
今回モノクロにこだわりましたね。うち、白黒のイメージあると思うんですけど、実は完全なモノクロって撮ったことなくて。演奏シーンが多いんですけど、ライヴとはまた違うバンドの演奏してる感じというか…そういうところも観てほしいですね。
そして、通常盤には正くんがリミックスを担当した「マイム(Voodoo Carnival Remix)」が収録されていますが。
長谷川
自分が主導でやったリミックスは初めてなんですけど、エンジニアさんと一緒にああでもないこうでもないってやっていきました。最初にパッと浮かんだのが、カーニバルっぽい感じに作ってみたいなと。かといって、普通のカーニバルでもなくて、ちょっとヴードゥーなというか…。
呪術的な感じ?
長谷川
そうそう、そうなったらいいなぁと思って作りました。
3月からは春ツアー『Slow Dive』もスタートしますね。
長谷川
このツアータイトルは結構大事にしたい気がするんですよね、“ゆっくり飛び込む”みたいな。音楽ってそうじゃないですか、聴く時にも、その音楽の世界にゆっくりひたるような、時にはザバッと飛び込むような。そういうイメージの沸くライヴができたらいいですね。
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