BABYMETALの2016年大総括インタビュー!「世界は広い。もっと誰かの笑顔の理由になりたい」

BABYMETALの2016年大総括インタビュー!「世界は広い。もっと誰かの笑顔の理由になりたい」

RO69では『ROCKIN'ON JAPAN』2017年2月号より、BABYMETALの2016年大総括インタビューを一部抜粋してお届けします。

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『あ、自分たちの音楽って、本当に国を超えるんだな』って感じて、より自信を持てました

――今日は2016年を振り返るということをメインのテーマにしたいんだけれども。まずひとりずつ、どういう年だったかをざっくり振り返ってもらってもいいですか?

SU-METAL「すごくざっくり言うと、大きく変わった年だなって思います。自分の気持ちもそうですし。たとえばフェスに出ても、今までは、『BABYMETALってなんだ?』っていう、みんな名前も知らない状態だったものが、『BABYMETALってすごいらしいね』っていうふうに評価が変わってきたということはすごく感じていて。今までは、アウェイであることに戸惑っていたんですけど、逆に、知られているからこそ、もっと頑張らなきゃいけない。『すごい人たちなんだろうな』っていう期待値が上がっていることをすごく実感したので。今まで以上のものを見せていかなきゃいけないなっていうことは常に感じていましたね」

――YUIMETAL、MOAMETALはどうでした?

YUIMETAL「ウェンブリー、東京ドームとか、自分がびっくりするような大きな出来事がたくさんあって。日本でも海外でも、たくさんの方に知っていただけることも増えて。最初のウェンブリーも、まだ日本人が誰もワンマンはやったことのないステージで、ちゃんと伝説として残せるくらいのライブができるのかとか、最初は不安だったし。でも、1個1個のライブを終えていくごとに自信もついていくし、スタッフさんやメンバーとの信頼度もどんどん高まってきて、すごく強くなれたのかなって。もっと先に進みたいと思える1年でしたね」

MOAMETAL「ほんとに周りの環境がすごく変わってきたなあと思っていて。さっきSU-METALも言ったんですけど、たくさんの方がBABYMETALのことを知ってくださるようになって。どうBABYMETALを届けていけばいいのかすごく悩んで。でも、悩むんだったら進んでいくべきだなって」

――MOAMETALは、前回のインタビューでも、「どんな状況でもとにかく前に進むしかないんだ」と言っていたんだけども。その姿勢がより強くなった1年だったのかな。

MOAMETAL「SU-METALとYUIMETALがいるから、やってこれた1年だなって。ふたりが強いから自分も強くいたいし、3人で強くなったら最強じゃないですか(笑)。だから、私たちはどんどん強くなってます」

――今も言ってくれた、3人の結束力がBABYMETALの一番の強さのひとつなんだけれども、その点はこの1年でどういうふうに強くなっていったと思いますか?

SU-METAL「ここ何年かで――ワールドツアーを回り始めてからだと思うんですけど、なんとなく3人で目を合わせれば、誰が何を考えているかがわかるぐらいの状態にあるんですよ。最初の頃にアウェイな状態でずっとやってきたので、そこで鍛えられたものだと思うんですけど。今、お客さんがこういうふうにノっているからこう行こうとか。そういう空気感がうまく揃わなかった時期もあったんですけど、最近は何も言ってないはずなのに、『3人ともすごいテンション上がってたよ』って観てる人に言われたりして。そういうものは、ライブで経験を積んでいく中で感じ取ったものなんですよね」

――SU-METALは真ん中で歌う立場として、今までも大きいものを背負ってきたんだけれども。この1年の中で、自分が背負うべきものの意味合いが変わってきた感じはする?

SU-METAL「今年初めて、ライブで緊張するということを覚えたんですよ。ウェンブリーの時に、初めてというか、ほんと何年ぶりかに緊張して。今までは、よくわからないままステージに立っていたことが多かったんだと思うんですけど、ようやくことの重大さを認識したのかな(笑)。その時にふたりにすごく励まされたんですよね」

――へえ。ライブが終わったあとの3人もいつものライブと違っていたの?

SU-METAL「ウェンブリーはやっぱり、私たちが2016年をどう進むべきかを、お客さんが見せてくれたライブだったと思うので。嬉しかったですね。『あ、道が見えた』っていう安心感があって。最初はふわふわーっとしてたお客さんが、私たちの曲を通してどんどんひとつになっていったという感覚があって。ウェンブリーのクラスになると、やっぱりコアな人ばっかりじゃないから。『あ、自分たちの音楽って、本当に国を超えるんだな』って感じて、より自分の音楽に自信を持てました」


世界中の人が70億人以上いるって考えたら、11万人って、まだまだほんの少しの人にしか会えてないんだなと思って

――その中で、『METAL RESISTANCE』というアルバムは、世界で非常に受け入れられましたよね。BABYMETALという存在が大きくなっていって、きっと3人は、BABYMETALという存在が独り歩きしていくような感覚も感じていたんではないかなあと思うんだけども。

SU-METAL「BABYMETALというもののハードルが上がっていって。私たちの場合はライブでしか表に出ることがないので、そのハードルをどう越えていったらいいのか、毎回、悩んでいたところはありますね。やっぱりライブって、いろんなことが起こるけど、何も言い訳ができないし。でも、そのライブを成功させてきたからこそ、こうやって受け入れられているんだっていう現状もあるんだと思うんですよ」

MOAMETAL「ライブは生ものだから、ライブ中にも話し合うようになったよね。ウェンブリーから」

YUIMETAL「ああ、確かに」

MOAMETAL「今まではライブが終わったあとに、明日はこうしようとか話してたんですけど。ウェンブリーあたりから、ライブ中に、ここからはこう持っていこうとか、お客さんの雰囲気を見て、もっとこうしていきたいねって話し合うようになって」

YUIMETAL「今までは攻めしかできなかったけど、守りっていう技も覚えたというか(笑)。引っ込んでばっかりっていうわけでもなくって、ちゃんと意味のある守りっていうか。全体を通して、ここはセーブして、ここを頂点にしようっていうのを、ちゃんと3人で、ライブ前に話し合ってから、ライブに臨むようになりました」

――3人のライブをこの1年間観てきて、これまでは、ひとりひとりが自分自身の限界に挑戦するようなところがあったと思うんだけれども。今年1年を経て、あくまで3人でひとつなんだと。そういう意味での団結感がこれまで以上に出てきたんじゃない?

SU-METAL「個々で頑張っても、頑張り方が違ったら、意味がないなっていうのはすごく感じていて。今までは、がむしゃら感も大切だったと思うし、いいところでもあったと思うんですけど、個々だったものがようやく3人での戦い方を理解できて。大変だった時も、『3人で戦ってるんだ』っていう意識があるので。心強くなりますね」

YUIMETAL「毎年思ってることなんですけど、ライブを重ねていくごとに、どんどんBABYMETALというものを手放せなくなるというか。ほんとに好きなんだなって感じることが増えてるんですよ。3人はもちろんなんですけど、スタッフさんとかお客さんも含めての団結力がどんどん高まっていくところが好きで。3人だけじゃなくて、BABYMETAL全体のチームワーク度もすごく高まってるなって、いつも以上に感じました」

MOAMETAL「今までのBABYMETALだったら、それぞれが100%の力を出してやってたんですけど、そうすると、BABYMETALの中で戦っちゃって、全然外に届かない、お客さんにBABYMETALらしさが伝わらなかったりするんです。それなら、ひとりひとりは50%でも150%のものをお客さんに届けたほうが、絶対いいなって思うようになって」


ふたりはずっとちっちゃいままだと思ってたけど、私よりも大人だなあって最近は思っていて

――これまでのBABYMETALって、役割として、やっぱりひとりとふたりだったと思うんだよね。圧倒的な歌を聴かせるひとりと、完璧にシンクロしたダンスを見せながら魅力を振りまいていくふたり。でもこの1年を経て、その1と2という分担感がなくなってきたなあと思うんだよね。

SU-METAL「今までは、とりあえず前を見なきゃいけないと思っていて。自分が頑張らなきゃいけないっていう責任感があって、私が引っ張っていくんだっていう意識のほうが強かったんですけど。ウェンブリーの時もそうだけど、緊張してたら、ぽんぽんって(肩を叩いて)、『大丈夫だよ、頑張ろう!』って言ってくれたりして。ふたりはずっとちっちゃいままだと思ってたけど、私よりも大人だなあって最近は思っていて。そういうふたりだからこそ、こうやって今、『3人』になれてるのかなあ。気づいたらふたりとも、大人になってた(笑)」

MOAMETAL・YUIMETAL「ははははは」

――時系列に戻りますけども、春から夏にかけては、とにかく海外ツアーで。その集大成として、東京ドーム公演が2日間あって。この公演は、まさに最高のバランスと最高のパワーが出せていたんだろうなと。そこはどうですか?

SU-METAL「そうですね、ツアーをやったからできたんだと思います。そういう意味でもほんとに集大成だったのかなと思いますね」

YUIMETAL「初めて東京ドームでライブをするって聞いた時の自分は、まだそこに立てるレベルじゃないというか。ちゃんと自信を持って立てるようになりたいと思ったんですよね。そこから、海外ツアーを回る中でいろんなものを吸収していって、パワーをつけて、3人の絆もより深まった中で東京ドームを迎えられたのはすごく嬉しかったし。今出せる最大限のものを出せたのが東京ドームかなと思ってます」

MOAMETAL「こんなにたくさんの方たちがBABYMETALを追いかけてくれてるんだなあと思ったし、海外のお客さんも、東京ドームの公演のために足を運んでくださって。私たちが元気をあげたいのに、むしろ私たちのほうが元気をもらっちゃって。こんなに幸せでいいのかなって。でも、東京ドーム公演が終わって、まだまだいけちゃうんじゃないかなって思っちゃったので、これからもっと上に行きたいねって3人で話してます」

――この1年間で、3人の中で、BABYMETALというものをどう見せればいいのかということがすごくよくわかったんだと思うんだよね。それによって、挑むべきステージというよりも、3人の中にある、ある種の理想をきっちり出すべきステージというふうに、意味が変わったんじゃないかな。

SU-METAL「そうですね……これも感覚的なものなので、うまく言葉にできないんですけど。今までとライブに対する考え方とか、お客さんとの関係性が変わってきたからこそ、『もっともっと』といっても、それは会場の大きさについてではなくて。もちろん完全燃焼はしたんですけど、ドームが終わっても、いつもと一緒なのかなあって思ったんですよね。『あ、これが終わった。じゃあもっと上に行けるよね』って。それは単純に壁を越えたっていうことなのかな」

――その感覚はふたりもあった?

YUIMETAL「東京ドームに立つ緊張は、自分が想像してたより大きくて、ほんとに心臓つぶれちゃうんじゃないかって思ったくらい怖かったし。いつもは楽しみと緊張が交ざってたんですけど、明らかに緊張のほうが多くて。でも、SU-METALもMOAMETALも同じ気持ちで、3人で乗り越えようっていう思いがふたりからも伝わってきたので。自分がいろんなステージをこなしてきて、みんながどんどんどんどん成長していったから、東京ドームに負けないくらいまで心が強くなったから、『もっと!』っていう気持ちになれたのかなって思うんですよね。それが成長した証なんじゃないかなって思います」

MOAMETAL「今、自分でじっくり考えてみると、なんで『もっと!』って思えたのか私もよくわかってなくて。でも、みんなの話を聞いて、確かにそうだなと思ったのは、大きいステージとかじゃなくて――世界中の人が70億人以上いるって考えたら、11万人って、まだまだほんの少しの人にしか会えてないんだなと思って。世界ってもっと広いんだから、もっといろんな人に会って、もっと、誰かの笑顔の理由になりたい」

――本当に素晴らしい1年だったよね。

SU-METAL「ほんとに大成長期ですよね。でも、ここまで来たからこそ、やっぱりもっと上を目指していかなきゃいけないし。もちろんそのプレッシャーが負担になってしまう部分もあるんですけど。この大成長期を2017年は超えられるように頑張っていきたいですね」


インタビュー=小栁大輔

『ROCKIN'ON JAPAN』2017年2月号より一部抜粋
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