軽自動車限定免許での「軽自動車運転」は無免許運転にあたらず

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1968年に廃止された軽自動車限定の運転免許で乗用車を運転し、道路交通法違反で検挙された65歳の男性の処分を巡り、最高裁第1小法廷は12日、検事総長からの非常上告を受けて松阪簡裁が出した罰金20万円の略式命令を破棄し、公訴棄却の判決を言い渡した。

問題の事件は今年2月に起きた。1968年以前に排気量360ccのクルマまで運転可能な“軽自動車限定免許”を取得していた三重県勢和村に在住する65歳の男性が、多気町内の町道で「軽自動車(排気量660cc)を運転した」として警察の摘発を受けた。取り締まった警察官は道路交通法違反(無免許運転)として摘発。検察庁・松阪区検は同罪で略式起訴、松阪簡裁も罰金20万円の略式命令を出した。

だが、1975年9月1日の道路運送車両法改正によって軽自動車の規格改定が行われて排気量が550ccまで向上した際、それまでの軽自動車限定免許保有者に対しては、既得権益として限定解除試験を受ければ普通乗用車まで運転できるように法令で定められた。

この決定が存在するため、男性の違反は「無免許運転」には当たらず、実際には「運転免許条件違反」となり、本来は反則金相当の違反だった。この場合、反則金納付を違反者に通告し、その納付期間が経過した後でなければ略式起訴はできないため、男性に対しての略式命令は法令と法律の運用に反する。

確定してしまった略式命令を取り消すためには、刑事訴訟法の規定に従って検事総長が最高裁に対して非常上告する必要があり、検察側はこれを実施。最高裁第1小法廷の才口千晴裁判長は12日、「松阪簡裁は公訴棄却の判決をすべきだった」と判断して、略式命令の決定を破棄。公訴棄却の判決を言い渡した。

軽自動車限定免許については、1975年当時にも「クルマとしての基本操作は普通乗用車と変わらず、免許の取り直しを命じることは40万−50万人存在する軽自動車限定免許の既取得者に不利益を与える」として社会問題になった経緯がある。排気量の増大はクルマの性能向上を目的としたものではなく、公害防止の観点から政府主導で実施されたということもあり、軽自動車限定免許も限定解除を行えば普通免許と同じ効力を発するという決定が最終的になされたという。

《石田真一》

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