仏教を守る四人の最強守護神・四天王 其の一

お不動さん

2016年11月18日 11:38


密教に於ける仏像とは、何か?  仏教の信仰対象である仏の姿を表現した像のこと。仏の世界にも大きくわけて4グループに分類されています。細かく紐解き説明し、日々の生活に役立たせたいと思います。




仏様は、須弥山(しゅみせん)の上空に居られると言います。
梵網経(ぼんもうきょう)という経典に、蓮華蔵世界観として書かれています。
その須弥山とは。
守護神四天王とは何処か。




仏教では、海と縁が深いです。

有名なダライ・ラマ法王の名前の意味は
チベット仏教ゲルク派の高位のラマであり、チベット仏教で最上位クラスに位置する化身ラマの名跡です。
名前は、大海を意味するモンゴル語の「ダライ」と、師を意味するチベット語の「ラマ」と、合わせたものです。
海のないチベットにおいて、大いなる海が名前とは、海に対する憧れや仏教思想からなのでしょうね。

話を須弥山にもどします。
大きな海があります。
そこに、大きな蓮華が一つ咲き出ています。
その蓮華の上部もまた海になっており、そこに小さな蓮華が無数咲いています。
各小蓮華の上部もまた海となり、その各中心に須弥山があるというのです。
この小蓮華の海を外周からみると、鉄の山で囲まれ、その内海の四方に須弥四州という大きな島が存在します。

東方に在る島を、東勝身州(とうしょうしん)。
南方に、南贍部州(なんせんぶ)。
西方に、西牛貨州(さいこか)。
北方に、北倶廬州(はっくる)といい、各島の周囲には、三百の小さい島があります。
私たち人間や動物は、南の島南贍部州にいると言われています。

須弥四州の中央には、金の山が七重と重なり、各金山と金山の間には香水が充満しています。
その七金山の中心に、大きな島が一と在ります。
これが須弥山ですが、その上空に仏様たちが居られますので、そこに悪魔達が登れないように、この須弥山では、麓(根元)から頂上まで、諸天や鬼神が常勤して防衛に勤めているのです。

二匹の竜王が、根元に絡み付いています。
そこから、頂上までには五段の城楼(じょうろう)があり、下から三段には夜叉神、四段目に四天王がおり、頂上を忉利天(とうりてん)という配置になります。
忉利天では、梵天・帝釈天をはじめとする三十三天がいて、仏様たちを防衛しているといわれています。
三十三天には、それぞれに持ち場が定められていますので、仏界では完全な防衛体制が整っています。
夜叉神は、根元から駆け上ろうとする悪魔に向かい、恐ろしい形相で守り、忉利天の三十三天は上空の仏界を防衛し、四天王は須弥四州を防衛しているのです。

四天王は、持国天・多聞天・広目天・増長天がいらっしゃいます。


(持国天と多聞天)



(広目天と増長天)



持国天は東方において東勝身州を守ります。
増長天は南方において南贍部州を守ります。
広目天は西方において西牛貨州を守ります。
多聞天は北方において北倶廬州を守ります。

このように、彼らの防衛範囲からみると、四天王だけが須弥四州を守り、他は仏様達を守っているということになりますので、四天王以外は、私達には無縁のようにも見えます。
一方、仏様達からいいますと、「我々のすべては、皆、お前達衆生の為にいて、お前達を守っているのだから、結果的には、諸天、鬼神も皆、お前達衆生を守っていることになる。」ということです。


望遠レンズの様な眼で見守る四天王
仏教でいう須弥山とは、聖なる高山とされています。
インド人やネパール人にとっては、それはヒマラヤ山のようだと考えているのです。
高山の頂上に近い所から、下界の須弥四州を守っているのが四天王なのです。
ですから四天王の目は、遠くまで見透す瞳でなければ成りません。
その瞳は、望遠レンズのように、私たち一人一人にピントを合わせて見守って下さっているのです。

この四天王の心と、望遠鏡的な瞳という大きなスケールを、見事に表現し芸術的にもすばらしい表現に成功しているのが、東大寺・戒壇堂の四天王だと私は思います。
この四天王像は、塑像(そぞう)といいます。
粘土で造型され、瞳には黒曜石(こくようせき)がはめ込まれています。
この堅くつめたい感じの瞳が、すばらしい性能をもつ眼力を感じさせています。
初めてこの四天王像を拝観したのは、30年以上経ちますが特に広目天の顔つきや目の眼力が魅力でとりこになり、時たま非常に会いに行きたくなります。




(持国天と増長天)




(広目天と多聞天)


四天王は、私達に近寄る悪魔を見つけた時、その瞳は、悪魔達を焼き殺す光線のように光り、手に持つ武器を投じて悪魔を倒し、私達を守って下さるのです。
また、像として表現する場合、鬼神の上に乗っています。
この事は、一般的に悪魔を踏みつけていることが多いのですが、この鬼神たちは悪魔ではなく、須弥山の中腹で活躍している夜叉神たちです。
四天王の下段に、夜叉神たちの城楼があることを示していると同時に、その足の下の夜叉神は、四天王の命令を待っている状態を表しています。




四天王は、須弥山の頂上に近い所から下界の私達を守護し見守っています。

悪魔の大群が私達に近づいて来たとします。
一番手、二番手の悪魔は、四天王の眼力だけでも攻撃し退散できます。
しかい、大軍となると、四天王は、足下の夜叉神に命じて悪魔と戦わせるのです。

このように四天王は、須弥山を中心として、四方に広く、無限界にまで警戒の眼を配っているのです。

つづく

























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