取材・写真・文:
映画『ローマの休日』は、オードリー・ヘプバーンが主演で1953年に制作された映画ですが、今でも世界中の人々を魅了し続けている有名な映画です。この映画によってとても人気の観光名所になった場所もあります。映画観賞してからローマの街を歩いてみるのも楽しいかもしれませんね。
映画『ローマの休日』では、オードリーヘプバーンがとある国のアン王女を、グレゴリー・ペックが新聞記者を演じています。
映画ではアン王女がヨーロッパの国々を訪問しています。ローマを訪れた際、毎日の堅苦しい任務に嫌気がさした王女は寝室でパニック状態になったため鎮静剤を打たれますが、その後こっそり宮殿を抜け出します。鎮静剤が効いてきたため眠ろうとしていたアン王女を新聞記者のジョーが見つけ、仕方なく家に連れて帰ります。
次の日、自分の部屋に寝ているのが宮殿を抜け出した王女と気付いたジョーは、スクープとして新聞社に高く買ってもらおうと画策します。しかし2人とも身分を明かさないまま時を過ごすうちに惹かれあっていきます。コメディ要素もあり、美しく切ない、観る人の心をきれいにしてくれるようなラブストーリーです。
それでは、映画『ローマの休日』に登場するロケ地13ヶ所をご紹介します。
アン王女の寝室、舞踏会のシーンで使用されました。ナポリの貴族、メアリー・エリザベートとサルバトーレ・ブランカッチョの依頼により、1880年から建設が始まりました。
現在は、国立オリエント博物館として東洋の芸術作品が展示されています。建物の一部はイベント会場や結婚式の会場として使用されていますが、予約すると見学ができます。
アン王女がトラックの荷台に乗って、滞在先の大使館から抜け出すときに映し出される門はバルベリーニ宮で撮影されました。最後の方の2人の別れのシーンで、アン王女が車から降りた時にも登場します。
典型的なバロック式の宮殿で、1600年代に活躍した建築士3人(カルロ・マデルノ、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ、フランチェスコ・ボッロミー二)によって建てられました。今は国立古典絵画展として、ラファエロ、カラヴァッジォなどの絵画が展示されています。
アン王女がトラックの荷台から降りた場所が共和国広場です。メトロのRepubblica駅を出てすぐの場所にある広場で、ローマの中心といえるテルミニ駅からも、歩いて5分くらいです。
共和国広場
住所:Piazza della Repubblica,Roma Italy
アン王女とジョーが出会った場所です。アン王女はこのフォロ・ロマーノをバックに眠ろうとしていて、通りかかったジョーが起こしてタクシーに乗せてあげます。
フォロ・ロマーノとは古代ローマの公共広場という意味で、「すべての道はローマに通ず」という言葉の生まれた場所でもあります。ここがイタリアのすべての道の終着点となることを目指して、カエサル・アウグスツスがフォロ・ロマーノに石柱を立てました。
かつては神殿や凱旋門、裁判所などが建っており、今もなお発掘作業が続いています。
フォロ・ロマーノ
住所:Via di San Gregorio,30,00100 Roma
タクシーに乗り、家はどこかとジョーから聞かれたアン王女は「コロッセオ」と答えます。映画の中ではその後、観光でも訪れています。
コロッセオは円形競技場として古代ローマ市民の娯楽のために、皇帝ヴァスパシアヌスによって建設されました。剣闘士同士の闘いや動物との闘いが見世物にされ、5万人以上の観客を収容できました。近くで見るとその存在感に圧倒されます。
コロッセオ
住所:iazza del Colosseo, 1, 00184 Roma
どこが家か答えないままタクシーの中で寝てしまったアン王女を、ジョーが連れて帰ってくるアパートの住所が「マルグッタ51番」です。アパートを出て少し歩くと、アン王女が買い物を楽しんだ青空市場のある Bocca di Leone 通りが出てきます。
今でもローマ市民の住居となっていますので、見学は外観のみです。
マルグッタ51番地(ジョー・ブラドリーのアパート)
住所:Via Margutta 51,Roma ltaly
アン王女がジョーの家を出て、ふらりと美容室に入るシーンの前に通ります。ローマは噴水の多い街ですが、特に有名な、美しい噴水です。
泉の水は、ローマ市内から13キロ程離れたところから引かれている水路を通ってきます。ベルニーニが手がけ、ニコラ・サルヴィが完成させました。海がテーマになっていて、中央にはギリシャ神話の中で海を司る神である、ポセイドンの像があります。
トレビの泉
住所:Piazza di Trevi, 00187 Roma
アン王女がスペイン階段でジェラートを食べていると、後をつけていたジョーが偶然を装って再会する場所です。今は保全のため、階段でジェラートを食べることはできません。17世紀、広場の南側にスペイン大使館があったためスペイン広場と名づけられました。137段あるスペイン階段を上まで登っていくと、ローマ市内を一望できます。
スペイン広場
住所:Piazza di Spagna, 00187 Roma
パンテオン近くのRocca Caféというカフェでシャンパンを飲んだアン王女。今Rocca Caféはありませんが、パンテオン近くにはおいしいカフェがたくさんあります。
パンテオンは、高さと直径どちらも43.3メートルで、石で造られたドーム型建築物としては世界最大の傑作と言われています。アグリッパにより紀元前27年に建設されましたが一度消失し、ハドリアヌス帝によって118年から128年までの間に再建されました。元々はローマの全ての神々のために建てられた神殿でしたが、後にカトリックの聖堂となりました。
パンテオン
住所:Piazza della Rotonda,00186 Roma
映画では、スクーターに乗った2人がローマの街を走るときに、この建物の前を通ります。暴走したために警察に止められるシーンです。
記念堂は1870年にイタリア半島を統一し、イタリア王国を設立したエマヌエーレ2世を記念するために建てられました。記念堂の前に、馬に乗ったエマヌエーレ2世の像があります。1911年に完成したヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂は、ローマの建造物の中では新しいと言えます。ここには無名戦士の墓もあります。
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂
住所:Piazza Venezia,00186 Roma
ジョーが真実の口に手を入れると手がなくなっていて、アン王女は驚きのあまり叫びます。お茶目なグレゴリー・ペックのアドリブだったそうです。Santa Maria in Cosmedin教会の外壁にあります。真実の口は、海神の顔がモチーフにされた、古代の井戸の蓋だったといわれています。
真実の口
住所:Piazza della Bocca della Verità,18,00186 Roma
サンタ・マリア・コスメディアン教会
住所:Piazza della Bocca della Verità,18,00186 Roma
アン王女は美容師からテベレ川の船上パーティーに誘われます。パーティー会場から見えている建物はサンタンジェロ城。アン王女を連れ戻すための追っ手から逃れるため、2人は川に飛び込み、Ponte Vittorio Emanuele IIの橋の下まで泳ぎます。
サンタンジェロ城は、139年にハドリアヌス帝の霊廟として建設され、後に軍事施設や牢獄などに転用されてきた建築物です。建物の頂上に見えるのは、剣を持つ天使の長ミカエルの像です。
サンタンジェロ城
住所:Lungotevere Castello, 50, 00193 Roma, イタリア
アン王女が記者会見を行うシーンで使用されました。記者として現れたジョーとアン王女がここで再会します。
ローマの貴族、コロンナ家の依頼により建てられました。外観は地味な建物ですが、中に入るとその豪華絢爛さはベルサイユ宮殿以上とも言われています。土曜日の午前中のみ開館していますが、予約をすると土曜日以外でも見学できます。
トラベルライター
毎日が旅の続き
人生は旅の連続。時には行ったことのないところに行ってみたり、食べたことのないものにチャレンジしてみたり、知らなかったことを吸収しながら旅を楽しんでいます。意外と身近なところに隠れていた新しい発見をするのが楽しいです。緑や海など自然豊かなところが好きですが、美術館や歴史ある建造物を見るのも好きです。今はイタリアに住んでいるので、ヨーロッパの観光スポットやお土産などの紹介をしていきたいと思っています。
同じテーマの記事
あなたにオススメの記事