“人事を尽くして天命を待つ”に隠された、もう1つの意味


公開日:2015年3月13日( 最終更新日:2023年9月2日 ) [ 記事 ]
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人事を尽くして天命を待つ
誰もが一度は耳にしたことがあることわざではないかと思います。

しかし実は、この誰でも知っていることわざの裏には、もっと深い意味が隠されているかもしれないと言ったら、あなたは驚くでしょうか?

それは、あなたの人生を大きく変えてしまう可能性すら秘めています。

そして、その影響はあなただけに止まるものではなく、人類の歴史にとってすら大きなインパクトのある大変化だとさえ言えるでしょう。

この記事では、その謎を少しづつ、ひも解いていきましょう……。

「人事を尽くして天命を待つ」とは?―その辞書的な意味

ではまず最初に、このことざわの一般的な意味を確認しておきましょう。


人事を尽くして天命を待つ(じんじをつくしててんめいをまつ)とは、「人間にできることはやり切った上で、その結果がどうなるかは天に任せる」というような意味を表しています。


例えば、『ことわざ学習室』というサイトでは、次のように説明されていました。

意味
人としてやれることを全てやり尽くして、後は、天の運命にまかせるという心境を言ったことば。

解説
何かをしようとする時、結果については、どのようになっても後悔しないという思いを決め、その時々に応じて自分のやれることを全てやり尽くし、 あとは、余計なことを考えず、ただ、天から与えられた運命に全てをまかせ、愚痴や不満などを口にしないで時を過ごしてゆく、 という思いを言い表した言葉のようです。

重要語の意味
人事=「じんじ」と読み、人間の力でできることがら。 尽くす=「つくす」と読み、できる限りの力を出しきること。 天命=「てんめい」と読み、天が人間に与える運命。 待つ=「まつ」と読み、結果がどのようになるのか、その時その時を過ごしてゆくこと。 運命=「うんめい」と読み、人の意志では予測も変えることもできない目に見えない力のようなもの。 心境=「しんきょう」と読み、心の状態。 天=地球などの自然界を成り立たせている力のようなもの。
ことわざ学習室 「人事を尽くして天命を待つ」より


だいたいこのような理解が、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉の一般的な意味だと思います。

もちろん、そういう意味でもこの言葉は良い言葉だと思います。

しかし、もう少し別の側面からこの言葉を捉える事も出来るのではないかと、私は思っています。

“天命”とは何か?

その意味を考えるためには、まず、“天命”という言葉について、もう少し深く考えてみる必要があります。

私が捉えている、“天命”という言葉の意味は、おおよそ次のようなものです。


(ものすごく簡単に言ってしまえば、)“天命”とは、自分に与えられた“天与の才能”を活かすこと。

“天与の才能”とは、天から与えられた才能という意味ですから、それを活かすことは、まさに“天命”と呼ぶにふさわしいでしょう。

【 参考記事 】

そして、“天与の才能”を活かすということは、言い方を変えれば、次のように言うこともできると思います。


  • あなた本来の個性を発揮すること
  • あなたが自分らしく生きること
  • あなたが、あなただけに与えられた喜びを受け取ること

なぜならば、ある意味では“天与の才能”とは、あなた本来の個性と言うことができるからです。

そしてそれは、あなたらしさと言うことも出来るし、(あなただけに与えられた才能を発揮することは、)あなただけに与えられた喜びだということも出来るでしょう。

そのような“天から与えられたもの”を活かすことは、まさに“天命”と呼ぶにふさわしいことでしょう。


ところで、こういった才能や能力のほかに、天から与えられたと言えそうなものはないでしょうか?

例えば、まるで雷に打たれたかのようなインスピレーションやひらめきが、天から降りてきたという話を聞いたことはないでしょうか?


天から伸びる稲妻のような天命を待つ

もちろん、「雷に打たれた」という程の衝撃的な経験はあまりあるものではないかもしれませんが、ふとした瞬間に、いいアイディアが降ってきたという経験であれば、どんな人でも一度や二度は経験しているのではないかと思います。

こういったインスピレーションやひらめきも、天から与えられたものと捉えることができるかもしれません。


それ以外にも、生まれた家、街、国、時代、通った学校、出会った同級生……etc.

このような、生まれもった環境も、天から与えられたものだと捉えることができるでしょう。


私は、このような“天与の才能”や“天与のひらめき”、そして“天与の環境”などといった、“天与のものすべて”を活かすことが“天命”と呼ぶのに相応しいのではないかと感じています。

最初のとっかかりとしては一般的な言葉の“天与の才能”がわかりやすいと思ったので、上では「“天命”とは“天与の才能”を活かすこと」だと書きましたが、その真意は、“天与のものすべて”を活かすことにありました。

ですから、ここでもう一度、“天命”の意味について書いておきましょう。

“天命”とは、自分に与えられた“天与のものすべて”を活かすこと。

これが、私の捉えている“天命”という言葉の1つの側面です。

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“天命”とは、“和楽の道”を生きること!?

もちろん、わざわざ「1つの側面」という書き方をするからには、別の側面もあるということになります。

ここまでに考えてきた“天命”の意味は、主に個人に着目した視点でした。

次は、もう少し全体的な視点から考えてみましょう。


ちょっと考えてみてください。

当たり前のことですが、あなたは一人の人間です。

しかし、あなたの体に着目すると、手や足と言った体の部位、心臓や胃などの臓器、あるいは数十兆個にも及ぶといわれている細胞といったように、たくさんの部分が集まって、あなたの体を構成していることがわかります。

そして、あなたはそれらのすべてを包括した存在です。


少し唐突に感じられるかもしれませんが、ここで、“天命”の“天”という言葉について考えてみましょう。

この“天”という言葉には、すべてを包み込むというような意味があります。

例えば、「天下」という世界全体を表す言葉がありますが、これなどはまさに、「すべてを包み込む天の下(=世界全体)」という意味ですね。


私たちが何十兆もの細胞を包括する存在であるのと同じように、天は世界全体を包括するのです。

何が言いたいのかといえば、もし私たちが、“天の視点”から私たち一人ひとりの人間を見ることができたとしたら、それは私たち人間が自分の細胞を見るような気分だろうということです。

もちろん、それはただ単に上空から地上を見るという意味ではなく、いわゆる「お天道様が見てる」などと言うときのような全体を見守る視点のことをいっています。

それは、我が身のように子供たちを見守る親のような視点と言ってもいいかもしれません。


もし、そのような全体を見守るような視点を“天”と呼ぶとしたら、“天命”という言葉はいったいどのような意味になるでしょうか?

私たちが、自分の体の細胞を見るとき、あるいは我が身のように思っている子供たちを見守るとき、いったいどのようなことを望むでしょうか?

ひとつは、ひとつひとつの細胞や子供たちが生まれもった才能を十分に発揮して、自分の個性を発揮する喜びを味わって欲しいと思うのではないでしょうか?

これは、先ほど書いた“天命”の1つの側面です。


しかし同時に、こんなことも思うのではないでしょうか?

筋細胞には筋細胞に与えられた役割を、そして神経細胞は神経細胞の役割をしっかりと果たして、全身の各組織が協力し合って健康を維持して欲しい。

一人ひとりの子供たちが、個性を発揮し、その喜びを味わうのと同時に、兄弟姉妹で助け合って仲良く暮らして欲しい。

そんなことは思わないでしょうか?

これが、私が捉えている“天命”という言葉の、もう1つの側面です。


簡単に言ってしまえば、個々の存在が、全体の視点(“天の視点”)も視野に入れて全体に貢献するということです。


全体を包み込む視点(家族を自分の腕で包み込む人)

ここで重要なのは、これまでに書いてきたような“天の視点”をもった、まるで神様のような存在が本当に存在するのかどうかではありません

「存在する」と信じたい方はそう信じて頂いて結構ですし、「存在しない」と信じたい方はそれを信じて頂ければ結構です。

そんなことよりも、ここで気付いて頂きたいことは、“天の存在”が存在しようが、存在しまいが、私たちが“天の視点”も視野に入れて生きていかなければ、やがて私たち自身を苦しめることになるということです。

なぜならば、例えば筋細胞が運動をすることを、神経細胞が情報伝達することを拒否したとしたならばどうでしょう?

もし、そうやって全身の中での自分の役割を果たさない細胞の数が一定数を超えれば、全身の健康は損なわれ、やがてそれを拒否した細胞自身も苦しむことになるでしょう。

人間社会だって、いつも他人のことなど顧みずに自己中心的にふるまっている人は、勢いがあるときは飛ぶ鳥を落とす勢いでも、歯車が少しずれた途端に砂上の楼閣のように崩れ去っていくということは珍しくありません。

このことについて詳しく書き始めるとキリがありませんので、詳しくは下の参考記事を参照してみてください。

【 参考記事 】

ではこのあたりで、今度は“天の視点”(全体の視点)も盛り込んだ“天命”の意味についてまとめておきましょう。

“天命”とは、全体に貢献する意志を持ち“天の視点”と共鳴しながら、“天与のものすべて”を活かし、自分だけに与えられた喜びを味わうこと。
(もちろん、先ほども書いたように、これは私の捉えている感覚です。少しでも伝わりやすいかたちで表現するために思考を積み重ねた表現にはなっていますが、その根本の部分は感覚的なものです。ですから、これが絶対という意味では決してなく、あなたの感覚を強制したいわけではないことはもう一度書いておきたいと思います。)

ところで、“天の視点”と同調して全体に貢献することを一言で表せば、“和”と表現することができるでしょう。

なぜならば、もしそんな生き方を実現できれば、それは平“和”や調“和”につながるからです。

そして、「“天与のものすべて”活かすこと」、「自分だけに与えられた喜びを味わうこと」を一言で表せば、“楽”と表現することができるでしょう。

なぜならば、それは、“楽”しく“楽々”と生きることにつながるからです。

(“楽々”は少しイメージしにくいかもしれませんが、これは、「自分に与えられている才能やひらめき・環境など」を活かすことと、「自分に与えられていない才能やひらめき・環境など」を求めることのどちらが楽かを思い浮かべればイメージしやすいと思います。天才と呼ぶにふさわしい音楽家だって、例えば「なんで私は数学が出来ないんだろう?」と悩み始めれば苦しくなってしまい、“楽”な状態ではいられないでしょう。)

そのような“和”と“楽”を両立していく道というのが、このサイトの名前である“和楽の道”が意味することの1つですから、“天命”を生きるということは“和楽の道”を生きることだと言ってしまってもいいかもしれません。

「人事を尽くして天命を待つ」に隠された、もう1つの意味

さて。ここまでで、私が捉えている“天命”という言葉について説明してきました。

このまま“天命”について詳しく書き始めるとキリがありませんので、そろそろ本題の「人事を尽くして天命を待つ」に隠されたもう1つの意味について書いていきたいと思います。

次は、「人事を尽くして天命を待つ」の「人事を尽くして」の部分について考えていきましょう。


では、ちょっと想像してみてください。

私たちには、(現実的に選ぼうと思えるかどうかは別として、)常に360度無限の選択肢が与えられています。


進める方向は、360度無限の可能性

そして、その無限の選択肢の中には、その無限の可能性の中でもっとも理想的な選択肢が含まれていることは間違いないでしょう。


無限の選択肢の中には、その中でもっとも理想の方向に向かう選択肢が含まれている

そして、理想の道から外れれば外れるほどに、苦しんだり嫌な思いをすることになるはずです。

逆に言えば、嫌な思いをしているときは理想の道から外れている合図であり、その合図を道しるべとすることが出来れば、理想の道に近づくことが出来るとも言うことができます。


理想から外れた分だけ、望まない体験をする。逆に言えば、望まない体験こそが現在の道から理想の道に至るための「道しるべ」となるとも言える。




【 参考記事 】

ところで、この理想の道とは、いったいどんな道なのでしょうか?

私は、上で説明してきたような“天命”、つまり“天の道”を生きることこそが、この理想の道を進むことになるのではないかと思っています。

(もちろん、人は一人ひとり個性を持った存在ですから、一人ひとり理想と感じる方向性は違って当然です。)

そして、先ほどの参考記事『人生に迷ったときの道しるべ―あなたの理想を見つける方法』では、その理想の道(“天命”)を見つけるための方法には、理想から外れた嫌な感覚を道しるべとすることができると書きました。

また、別の記事では、あなたが無意識に“問題発見”を志向してしまった方向性や、文章を書くことを通して“天与の才能”(“天命”)を見つける方法なども紹介してきました。

【 参考記事 】

これらの方法を実行するためには、「理想の方向がわからなかったとしても進んでみる」、「自分の“問題発見”志向を探求する」、「文章を書いてみる」などの一定の行動が必要になります。

そして、そういった探求は、自分の本質(“天命”)に近づけば近づくほどに努力が必要なものになってきます。

その理由は、「好きなことを見つける文章力!―なぜ“言葉の力”が、あなたと世界に“和楽”をもたらすのか?【その1】」が参考になると思います。

ただ、私が言っている「努力」や「人事を尽くすこと」は、悲壮感ただようストイックな努力のことではありません

誰に頼まれなくても、時間を忘れて熱中してしまうような、あなたの“楽”に少しでも近い方向での「努力」や「人事を尽くす」ことを言っています。

これは、その時点で出来る限りの“天命”を生きることだと言うことも出来るかもしれません。

悲壮感ただよう必死の努力は、あなたを“和楽”や“天命”から遠ざけてしまうでしょう。

なぜならば、そんな努力は、あなたを満たすことが出来ないからです。

【 参考記事 】

何はともあれ、私が言いたいことは、“天命”を見つけるためには、それなりの“人事を尽くす”必要があるということです。

これが、私の捉えている「人事を尽くして天命を待つ」の、もう1つの意味です。

“人事を尽く”さねば、天命は得られない。そして……

そして、もうひとつ。

「天命を待って、人事を尽くす」

ということも言えるのではないかと思っています。

例えば、先ほど、理想の道(“天命”)から外れれば外れるほどに、辛さや嫌な思いを感じることになると書きました。

ということは、もし“天命”(理想の道)を捉えることが出来る前に、全力疾走で“天命”から外れた方向に突っ走ったとするならばどうでしょう?

速く走った分だけ、苦しみや嫌な感覚もたくさん味わうことになるのではないでしょうか。

そして、その軋轢を味わうことになるのは突っ走った本人だけにとどまらず、周囲の人にも全力疾走で突撃を繰り返すことにもなりかねません。


私が常々、“言葉の力”は強力だからこそ注意が必要だと言っている裏には、実はこのような背景があるのです。

“天命”を捉えられていない人が、“言葉の力”のような強力な力を表面的なテクニックとして使うことは、まだ刃物の扱い方を知らない小さな子供がナイフを振り回すようなものなのです。

これは、いわゆる「引き寄せの法則」などと呼ばれるような思考やイメージの現実化作用についても同じことが言えるでしょう。

だからこそ私は、最初は“大きな一歩”ではなく“小さな一歩”を踏み出すことの大切さを、何度も書いてきたのです。

【 参考記事 】

心をひとつに道を切り拓く

“天命”(理想の道)を捉えることなしに、“人事を尽くす”(全力疾走する)と危険(道を外れる)なことはわかりました。

また、“天命”を得るためには、“天命”を得るための努力(“人事を尽くす”)が必要であることもわかりました。

ということは、次のような姿勢が大切だともいえるでしょう。


人事を尽くして天命を待ち、天命を待って人事を尽くす。

“天命”が得られるまでは、“天命”を得るために“人事を尽くし”、ひとたび“天命”を得たならば、今度はその実現のためにまた“人事を尽くす”。

これを別の側面から考えれば、「“天命”がなければいくら“人事を尽くして”も徒労に終わり、“人事を尽くす”ことがなければ“天命”は実現しない」のだと見ることはできないでしょうか?


“天命”なき“人事”は「暴走」であり、“人事”なき“天命”は「叶わぬ夢」である。

もしそうだとすれば、“人事”も“天命”も、どちらか片方でけでは十分に成り立つことが出来ず“天”と“人”が心をひとつにすることによってはじめて、“人事”と”天命”が十分に成り立つのだと言うことが出来ます。

それは、「自分のために全体を犠牲にするのか?」、それとも「全体のために自分を犠牲にするのか?」という綱引き”の対立を越えて、自分(“人”)と全体(“天”)の意志を両立していくということです。

【 参考記事 】
ところで、「人事を尽くして天命を待つ」の通常の意味は、「人間にできることはやり切った上で、その結果がどうなるかは天に任せる」でした。

これもある意味では、「人間の努力だけでは事をなすことはできない」、「それ相応の努力がなければ、いくら待っても天命は訪れない」ということを言っています。


ということは、です。

どちらの意味にしても「人事を尽くして天命を待つ」という言葉は、結局は同じことを言っているのではないでしょうか?


“人事を尽くして天命を待ち、天命を待って人事を尽くす” ―― それは、“天”と“人”が心をひとつに道を拓くこと。

これが私の捉えている、「人事を尽くして天命を待つ」という有名なことわざに秘められたもう1つの意味(解釈)です。

もちろん、ここで言う“天”という存在は、そう信じたい人は、いわゆる神様のような存在をイメージして頂いても構いませんし、あなた自身が“天の視点”から世界を見たときに、あなたの内からわきあがってくる想いのことを“天の意志”と捉えて頂いても構いません。


どちらにしても、そんな風に生きられる人の数が一人でも増えることが、地球と人類と、そして何よりもあなた自身のためになるのだと、私は思っています。


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