【7月22日 AFP】17日に25歳で他界したフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)のジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)選手の葬儀が21日、故郷の仏ニース(Nice)で行われ、多くの選手や関係者が参列した。

 日本GP(Japan Grand Prix 2014)で大事故に遭ってから9か月後に亡くなった元マルシャ(Marussia F1 Team)のビアンキ選手の葬儀には、親族や友人だけでなく、F1年間王者ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)や、ピットレーンで肩を並べた仲間たちが姿をみせた。

 葬儀が行われた大聖堂の正面玄関には、レース用のウエアに身を包んだビアンキ選手の写真が2枚飾られた。

 17番のヘルメットを乗せたビアンキ選手のひつぎは、シルベイン・ブリソン(Sylvain Brison)神父によって「レースの兄弟」と表現された若手ドライバーたちの手によって、霊きゅう車から大聖堂の中へ運び込まれた。

 1970年代に大ヒットしたイーグルス(Eagles)の名曲『ホテル・カリフォルニア(Hotel California)』がBGMに流れる中、ひつぎは大聖堂の中央通路を進んだ。

 ハミルトンと、メルセデスAMG(Mercedes AMG)の同僚ニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)は、葬儀に参列するためモナコから渡航。ビアンキ選手の両親が希望したという密葬には、他にも国際自動車連盟(FIA)のジャン・トッド(Jean Todt)会長、フランスのティエリー・ブライヤール(Thierry Braillard)スポーツ担当相が出席した。

 ニースの旧市街にあるサン・レパラート大聖堂(Sainte-Reparate Cathedral)で営まれた葬儀の中で、ブリソン神父は、「ジュールの死は不条理なものです」とすると、「彼は幸せだったでしょう。夢を現実のものにしたのですから」と語りかけた。

「(F1は)彼の人生であり、天職でした。たぐいまれな才能に恵まれたチャンピオンで、彼の人物像は、その懐の深さを象徴しているようです」

 ブリソン神父は、「ジュールはF1で表彰台に立つことはありませんでした。ですから皆さん、ここで盛大な拍手をお願いします」と締めくくると、会場の内外で心打たれた人々が、数分間にわたって拍手かっさいした。

 葬儀は、ルノー(Renaud)による1980年代の名曲『ミストラル・ガニャン(Mistral Gagnant)』とともに終了した。