【3月29日 AFP】2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)の欧州予選で、カタール国内で会場建設に携わる移民労働者の劣悪な状況の改善を訴える動きが広がっており、28日にはデンマーク代表チームが抗議の輪に加わった。

 モルドバと対戦したデンマークは、選手が「Football supports CHANGE(サッカーは変化を支持する)」と書かれたTシャツを着て写真撮影に臨んだ。デンマークサッカー協会(DBU)は、Tシャツを一般販売し、売り上げをカタールの移民労働者に寄付すると話している。

 前週から始まった欧州予選では、各チームがカタールの人権問題に抗議している。

 ノルウェーはエースのアーリング・ブラウト・ハーランド(Erling Braut Haaland)を含めた各選手が、試合前に「HUMAN RIGHTS On and off the pitch(ピッチの内外で人権を)」と書かれたTシャツを着用し、オランダも27日のラトビア戦で、デンマーク代表と同じメッセージを記したTシャツをまとった。

 ドイツもアルファベットが書かれたTシャツを着用して「HUMAN RIGHTS(人権)」というメッセージを発した。同国代表のレオン・ゴレツカ(Leon Goretzka)は「W杯が迫るにつれて、そのことについての議論が起きるだろう。それから目を背けていないということを僕らは証明したかった」とコメントし、「僕らには大きな影響力があるし、それを利用して自分たちが支持したい価値観を示すことができる」と主張した。

 こうした動きが広がる中で、実際にW杯をボイコットする選手や国は現れるのかという疑問が持ち上がっている。ノルウェーのいくつかのクラブは、代表チームが行動を示す前からボイコットを支持する意向を表明し、同国サッカー協会(NFF)も、6月にこの件を話し合う見通しとなっている。

 10年前に開催が決まったカタールW杯については、招致活動中の買収に関する疑惑もいまだにくすぶっている。