川の護岸に埋め込まれたはしごの上で、震える一匹の猫。救出に一肌脱いだのは、スーツにネクタイ姿の男性だった。

 22日午前10時半ごろ、長崎市中心部の商店街「浜町アーケード」を抜けた先にある中島川の橋の下で、その猫は見つかった。気づいた買い物客らが集まるなか、傘や買い物かごを持った複数の男性が登場。上から猫の様子を確認すると、そのうちの一人が上着やワイシャツ、靴下を脱ぎ、欄干をまたいではしごを下りた。

 男性は買い物かごに猫を入れようとしたが入れられず、猫を右腕で抱え、左手だけではしごを握って上までのぼり、無事に猫を助け出した。見守っていた人たちからは拍手が起こった。

 記者が男性に話を聞こうとしたが、「大丈夫っす」「大丈夫っす」と言って、足早にその場を立ち去った。(岩田正洋)