アイドルグループ「SMAP」の元メンバーをテレビ番組に出演させないよう圧力をかけた場合は独占禁止法に触れるおそれがあるとして、公正取引委員会が元メンバーが所属していたジャニーズ事務所(東京都)に対して注意していたことがわかった。

 関係者によると、ジャニーズ事務所から独立した元メンバーの稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんをテレビ出演させないよう同事務所が圧力をかけているとの情報があり、公取委が聞き取り調査などを実施。しかし、違反行為を認定するには至らなかったという。

 ただ、こうした圧力をかけていれば独禁法に触れるおそれがあると公取委は判断。ジャニーズ事務所に対し、注意を行ったという。独禁法は、本来自由である契約を不当に妨害する行為を禁じている。

 公取委による注意は、違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られなくても、違反につながるおそれのある行為がみられた場合に、未然防止を図る観点から行われている。2017年度に公取委が処理した118件のうち、違反事実を認定して排除措置命令を出したのが13件、違反の疑いがあるとして警告したのが3件、注意は88件だった。

SMAPは16年12月31日に解散。メンバーのうち、稲垣さん、草彅さん、香取さんの3人は17年にジャニーズ事務所を離れ、「新しい地図」を立ち上げて再出発していた。3人はそれぞれレギュラー番組に出演していたが、19年3月までにすべて終了した。(中野浩至