三菱UFJ銀行と三井住友銀行が22日から、駅前や商業施設など約2800拠点のATMを共通化する。預金者は相手行のATMでも、自行と同じ手数料で使える。現金を使わないキャッシュレスが広がり、自前のATM網充実を競ったメガバンク同士も共同利用で効率化する時代を迎えた。

 対象は三菱UFJ約1600拠点・三井住友約1200拠点の店舗外ATM。22日午前4時から始める。これまで相手行のATMを使う際、平日の日中は手数料108円がかかったが、互いに無料になる。休日は手数料体系の違いから、両行で料金が異なる。

 例えば、三菱UFJの預金者が休日に三井住友の店舗外ATMを使う場合、これまで必要だった216円の手数料が無料になる。一方で、逆のケースだと、手数料はこれまでの216円から108円になる。

 「スイカ」「イコカ」など電子マネーの広がりもあり、ATMの利用件数は「10年間で2割減った」(三井住友の担当者)。両行は共同利用で、近接する600~700ほどを今後廃止・集約する計画だ。店舗外だけでなく、支店など店舗内での共通化も考える。年数十億円の経費削減を見込んでいる。

 銀行関係者らによると、ATMの購入費は1台数百万円。賃料や警備費や障害対応費などと合わせ、維持費も月30万円ほどかかる。現金輸送など人件費を含めた費用は業界全体で年2兆円にのぼるという。顧客からの手数料ではカバーできないのが実情だ。

 これまではATMの「赤字分」を、預金を貸し出して得る金利収入などで補ってきた。長引く超低金利で金利収入が減り、維持費は重荷。銀行業界は10年間で約6千台減らした。削減だけでは利便性が落ちるため、共通化に取り組んでいる。地方銀行は数年前から近隣行同士で進めており、信用金庫も全国257の信金の預金者がATMを相互に使える。

 三菱UFJと三井住友は今後、さらなる共通化を進める可能性がある。三井住友の泉純・チャネル戦略部長は「両行でやれば(共通化の)モデルができる。ゆくゆくは他行にも参加頂きたいし、機械の保守などの運営も一緒にしたい」と話す。三菱UFJの幹部も「悩みはみんな同じ。オールジャパンでやりたい」。