「感染症は一時的なものだが、友情は末永いものだ」。強気な発言で知られる中国外務省の華春瑩報道局長が4日、新型肺炎が広がる中国に寄せられた日本からの声援や物資の支援について、日本の「思いやり」に謝意を表明した。こうした言葉の背景には、「思いやりのない」米国を批判する意図もありそうだ。

 中国外務省は、多くの人が会見場に集まると感染のリスクが強まることから「記者の健康のため」として、3日からSNS「微信」のグループチャットを通じて各国の記者の質問に応じている。華氏の日本についての発言は定例会見に代わって始まったSNS上の質疑応答で、中国メディアの質問に答えたものだ。

 華氏は「非常に感動した」こととして、新型肺炎の流行以降、在日本中国大使館の公式ツイッターアカウントには多くの「中国がんばれ」といったメッセージが投稿されている▽日本政府や自治体、企業などからマスクや防護服が中国に贈られている▽日本のドラッグストアの店頭に「武漢がんばれ」などと貼り紙がされている▽武漢を応援する意味で東京スカイツリーを赤色にライトアップした――など数々の事例をあげた。

 こうした日本での出来事は、中国メディアやSNSでも大きく取り上げられている。華氏は「日本人の温かく良心的な振る舞いに注目している。苦難の時、海外の人々からの中国に対する思いやりに心からの感謝を表したい」とグループチャットに投稿。さらにほぼ同様の文言を読み上げた約2分間の音声もアップした。ほかの質問には文字で答えただけだった。

 華氏はこの4日前、米国が過去14日以内に中国に滞在した外国人の入国拒否を打ち出したことに対して、「米国は思いやりがない」と強い態度で批判しており、日本の「思いやり」を褒めたたえる回答とは対照的な対応になった。