新型コロナウイルスによる肺炎の広がりを受け、香川県が中国・陝西(せんせい)省にマスクを送ったことに対し、「県民に配れ」といった苦情が相次いでいる。県内でもマスクが買えない状況になっていることが背景にあるとみられる。県は、県民に配る予定はないという。

 県は6日、県と市町の備蓄物資からマスク約2万7千枚を送った。友好提携を結ぶ同省の要請に基づくもので、「加油(がんばれ)陝西!!」などと書いた段ボール箱に詰めた。同省はウイルスが発生した武漢市がある湖北省の隣で、5日時点で165人の感染者が確認されていた。

 県内では、スーパーや薬局からマスクが消え、手に入りづらい状況が続く。県によると、「県民も手に入らないのに、なぜ中国に送るのか」「県民に配布しろ」などの苦情が、7日夕までにメール12件、電話9件寄せられた。電話には、「医療用マスクで、事態が深刻な医療現場に人道的に送っている」と説明しているという。

 一方、岡山県総社市は5~7日、市民や医療機関、学校向けに備蓄のマスク40万枚を配った。市の担当者は「手に入らず、市民に不安が広がっていた。備蓄物資はいざというときのものだが、今こそそのときと判断をした」と話した。(大野正智)